第三十七話 真珠湾強襲 後編
皇紀2603年4月24日 現地時間 17:00
アメリカ合衆国
ハワイ諸島 オアフ島 帝国海軍 第二連合艦隊 陸戦隊 橋頭堡
日は完全に太平洋の彼方に没し、暗闇が訪れつつあった・・・
第二連合艦隊陸戦隊の全戦闘車両は、エンジンが回り始め、いつでも進軍可能だった
純平
「全員集まったな・・・では作戦を説明する」
純平は業務用天幕2型に部隊指揮官を集め作戦説明を行おうとしていた
純平
「まず、敵陣営だが、ここから、北西に12キロ離れた箇所、ここだな、ここにM4中戦車10両を中心とする、敵部隊がいる、だが厄介なのはその後方、M4中戦車50両、V号戦車パンター40両、VI号戦車ティーガⅠ25両を中心とした部隊が20キロに亘って展開している、よって現在時刻は、一八〇〇よし、一八二〇より、第一、第二自走砲隊は弾幕射撃を開始する、その後一八二五、に第一戦車大隊は敵防衛線を突破し、敵部隊を撃破する、重要なのは各部隊の通信体制と進撃速度だ、速すぎても遅すぎても駄目だ、このことを注意してほしい以上、質問は」
陸兵1
「隊長、陸軍はどう動くのですか」
一人の士官が質問をする
純平
「あぁ、当初は同時に侵攻するはずだったんだが、パンターとティーガがいることを考慮した上で、陸軍には我々の進攻後、此方から連絡を入れる時に進攻する手はずだ、他質問は」
陸兵2
「航空機の援護は受けられるのですか」
純平
「おう、アパッチ30機、雷神15機が上空警戒と支援が行われる、他質問は・・・ないな、では各員、戦闘準備!」
全員
「「「「「「「「「「了解」」」」」」」」」」
アメリカ合衆国
ハワイ諸島 現地時間18:00・・・・
第二連合艦隊、陸戦隊、進攻開始!
第一、第二自走砲隊は、横一列に整列し、午後6時ジャストに砲撃を開始、上空にはOH-1観測ヘリが絶えず、目標の諸元を20式自走砲に送り、その諸元に従って、自走砲隊砲撃する、だが精密射撃ではない・・・・火力と手数に物を言わせた弾幕射撃だ
弾幕射撃は絶え間なく敵陣地に砲弾を送りこみ、戦車、装甲車両を破壊し将兵を吹き飛ばす、この砲撃が20分間休みなく続けられた
純平
「・・・砲撃止め!第一戦車大隊、全車前進開始!」
第一戦車大隊の25式戦車28両がエンジンを唸らせて、前進する、純平はいつも通り、指揮能力向上型の25式戦車2型に乗り込み指揮を執る
25式戦車はM4中戦車の残骸を踏み砕き、装甲車を突き飛ばし、防衛線を突破する、その後方からは16式装甲戦闘車と10式装輪装甲車が進む、
陸兵3
「隊長!10時の方向に敵戦車ァ!M4です!数3!」
純平
「5号車12号車!応戦しろ!」
陸兵4
『5号車、了解!』
陸兵5
『12号車、分かりました!』
5号車と12号車は指示に従い、M4中戦車の応戦する、
ドオォン ドオォン
5号車と12号車が射撃を開始した数秒後、25式戦車が放った125mm対戦車榴弾はM4中戦車の前面装甲を突き破り、M4中戦車の内部で信管が作動、M4中戦車は砲塔部分が吹き飛び、炎を上げた
陸兵3
「さらに12時の方向に敵戦車ァ!ティーガⅠ!数5!」
純平
「2号車、3号車、続け!砲撃手、正面の敵戦車に照準急げ!」
陸兵6
「了解!」
純平が乗車する、25式戦車が迫りくるⅥ号戦車ティーガに照準を合わせる
陸兵6
「射撃準備完了」
純平
「撃て―ッ!」
ドオォン
その後、現地時間、午後7時10分に陸軍ハワイ諸島攻略師団の主力部隊が進攻を開始し、連合軍は総崩れとなった・・・
午後8時25分、防衛線を構築が完了、本日の戦闘は一時終結した・・・
損害報告・・・
損害
25式戦車 5両 小破
16式装甲戦闘車 8両 中破
17式自走高射機関砲 2両 小破
人員 戦死者 無
重傷者 5名
軽傷者 25名
一式中戦車 15両 中破
8両 大破(破棄決定)
九九式155mm自走榴弾砲 3両 小破
人員 戦死者 15名
重傷者 20名
軽傷者 58名
我ガ軍ノ被害ハ軽微ナリ・・・
4月25日 現地時間 5:00
アメリカ合衆国
ハワイ諸島 オアフ島 帝国海軍 第二連合艦隊 陸戦隊 第一防衛拠点
純平
「よし、全員集まったか・・・では、作戦を説明s・・・」
陸兵7
「隊長!電空が到着しました!」
純平の声を遮るように一人の士官が業務用天幕2型に入ってきた。
純平
「なに、そんな予定は・・・」
翔平
「あぁ、スマン、あまりにも暇だったから来てしまった」
純平
「ちょ、長官!」
翔平は暇を持て余して、第二連合艦隊司令長官と言う職権を振りかざして此処まで無理やりやって来た。
純平
「一体どうやって、此処までよく清水参謀長に止められなかったですね」
翔平
「は?何を言っているんだ、内緒で来たのさ、電空のパイロットに頼み込んでな」
純平
「なッ!」
翔平
「作戦会議をしていたんだろう、さっ、第一機動艦隊と第二機動艦隊は燃料・弾薬の都合上、この海域にとどまれるのは後6日間だ、さっさとオアフ島を落とさないと苦しいぞ」
純平
「了解しました、では改めて、本日の作戦内容を説明する」
純平
「まず本日の目標は・・・ヒッカム飛行場の占領を目標とする!」
陸兵1
「そ、そんな無茶です!ヒッカム飛行場とその周囲パールシティ半径約15キロを中心とした、連合軍の防衛線は強固です、並大抵のことでは、突破できません!」
純平
「長官・・・」
翔平
「おう、本日一〇〇〇、第二連合艦隊、第一第二独立戦隊は真珠湾に突っ込む」
陸兵2
「ちょっと待ってください!予定ですと、ハワイ諸島の攻略期間は3週間のはずです!いきなり作戦変更をするなど、無謀です!」
純平
「それは・・「俺が話す」・・長官」
翔平
「聞いてくれ、満州国境付近で大規模な軍の移動を感知した、その規模凡そ200個師団、米・英・独・露の四ヵ国の連合軍だ、現在、満州に駐在している部隊は凡そ満州国陸軍20個師団、帝国陸軍25個師団、合計55個師団、このままでは、満州いや朝鮮半島まで占領されてしまう、そこで軍令部は早急にハワイを陥落させて、海軍を本土に戻したいというのが本音だろう」
陸兵3
「なるほど、分かりました、少なくともあと5日でハワイを攻略しないといけないと言う事ですね」
翔平
「その通りだ」
純平
「長官、でしたら、艦隊には可能な限り支援を行ってほしいものです」
翔平
「何を言っているんだ、もうすでに、第二連合艦隊、第一機動艦隊、第二機動艦隊、第一支援艦隊の全艦載機が対地兵装で発艦準備を行っているぞ、シーホークもヘルファイアを装備して発艦待機中だ、俺の命令次第で、全て艦載機がハワイを襲うというわけだ、要請があれば、46cm榴弾を敵陣地に打ち込むこともできるぞ」
純平
「オアフの地形が変わってしまいます!」
翔平
「それまでの降伏してくれることを祈ろうぜ」
純平
「ハッハッハ、そうですね・・・では、〇五三〇、作戦を実行する」
アメリカ合衆国
ハワイ諸島 現地時間05:30・・・・
第二連合艦隊、陸戦隊、進攻開始!
本日の戦闘は、昨夜と同様、第一、第二自走砲隊による、弾幕射撃から始まった・・・・
絶え間なく203mmの榴弾は地面を抉り、戦車、装甲車を砕き、将兵を吹き飛ばす
連合軍には全く反撃の隙を与えない、見事な弾幕だった・・・
午前5時45分、第一、第二自走砲隊は指定された弾薬を撃ち尽くし、直後、帝国海軍の攻撃機が飛来した、SH-60K対潜ヘリまでもがヘルファイア対戦車ミサイルを搭載し攻撃を開始した、連合軍はジリジリと戦力を削られていった。
午前6時30分、艦載機は爆弾、機銃を撃ち尽くし撤退したが、オアフ島上空に富嶽では無い巨大な鋼鉄の鳥が飛来した、それはミッドウェー島から出撃した陸上攻撃機深山であった、銀翼の翼を翻した深山は連合軍の防衛陣地に高度一万メートルからの精密爆撃を実行し、第一空挺団が占領し、機械力に物を言わせて修復、拡張されたカネオヘ航空基地に着陸した
午前7時、陸軍ハワイ諸島攻略師団総攻撃を開始
午前8時、第一機動艦隊、第二機動艦隊、陸軍の要請により艦砲射撃を実行。
午前9時、第二連合艦隊陸戦隊、連合軍第三防衛ラインを突破
午前9時50分、第二連合艦隊陸戦隊、ヒッカム飛行場包囲
午前10時、第二連合艦隊、第一第二独立戦隊、真珠湾に強襲
午前11時、ヒッカム飛行場占領!
アメリカ合衆国
ハワイ諸島 現地時間、正午・・・・
太平洋艦隊司令部に日章旗と旭日旗が翻った
刹那
「長~官!」
翔平
「艦長、どうしたんだ?」
刹那
「どうしたんだ?じゃありませんよ!いきなり居なくなって!艦内すべて探しても見つからなくて、電空の機長はなかなか口を割らないし・・・」
翔平
「ほう、機長はどうなったんだ」
刹那
「清水参謀長が物陰に連れて行き、凡そ五分後に・・・」
翔平
「そうか・・・ご苦労だった、機長・・・」
純平
「長官!ニミッツ長官以下米太平洋艦隊首脳部を発見しました!現在、衛生兵により治療を受けています」
翔平
「そうか、ニミッツ長官と話したい30分後播磨の長官公室まで連れてきてくれ」
純平
「了解しました」
翔平
「艦長、戻るぞ」
刹那
「はい」
第二連合艦隊
旗艦 イージス戦艦播磨 長官公室
葵
「まったく、長官、彼方は自分の立場をもっと理解して・・・・・・・」
翔平
「清水参謀、説教は後でだ、栗須参謀」
啓太
「はい?」
葵
「ちょ、長官、まだ話は・・・」
翔平
「BDを用意しておけ」
啓太
「はい・・・えぇ!本気か!長官!」
翔平
「マジだ、山本長官とも話した結果だ、播磨もしばらくおとなしくしてくれ」
播磨
「子ども扱いは止めてほしいわ」
翔平
「そうか・・・さて、どこから話すか・・・」
コンコン
翔平
「入れ」
刹那
「長官、ニミッツ長官をお連れしました」
翔平
「あぁ、清水参謀、コーヒー頼む」
葵
「了解しました」
翔平
「ようこそ、ニミッツ長官、私が第二連合艦隊、司令長官、林翔平です」
チェスター・ニミッツ
「あなたが、アドミラルハヤシですか、スプールアンスが言ってた通りだ」
翔平
「若すぎると、ですか」
チェスター・ニミッツ
「あぁ、そうだ」
翔平
「我が国は実力主義ですから」
チェスター・ニミッツ
「そのようだ、この艦に案内されたときに驚いたのだが、まさか艦長が女性とはな」
翔平
「此花艦長ですか、彼女は優秀ですよ、この大型戦艦、播磨を駆逐艦のように操れる」
チェスター・ニミッツ
「この艦もそうだ、艦内通路を歩くだけで分かる、実に機能的にできていることがな」
翔平
「ハッハッハ、そうですか・・・ニミッツ長官、此処からは本題なんですが」
チェスター・ニミッツ
「将兵の扱いについては、条約通りに・・・日本海軍なら言わなくても分かっているか」
翔平
「もちろんです、ニミッツ長官、此処からは大日本帝国とアメリカ合衆国の未来について話したいと思います」
チェスター・ニミッツ
「未来?」
翔平
「はい・・・・このことは、ニミッツ長官とアメリカ合衆国を信頼してお話ししたいと思うのですが、ニミッツ長官、彼方は一国の軍人として、アメリカと世界の平和のために戦い抜く自信はありますか?」
チェスター・ニミッツ
「はぁ、何を言っているのか意味が分からないのだがアドミラルハヤシ、私は軍人になったその時からアメリカに忠誠を誓い、世界の平和のため戦っているつもりだ」
翔平
「ニミッツ長官・・・我々、第二連合艦隊首脳陣は長官の言葉を信用し、第二連合艦隊最高機密をお話しします、ですがこれを聞いたら少なくとも、この戦争が終わるまでは、アメリカに戻れないでしょう、ですが我々、日本国民は戦争が一日でも早く終結する事を願っているんです、そのためにニミッツ長官、あなたの協力が必要なんですこれ以上両軍で血が流れないためにも」
チェスター・ニミッツ
「・・・・・」
ニミッツは腕を組んで黙り込んだ
その沈黙が10分いや、30分続いた
チェスター・ニミッツ
「分かった・・・協力しよう」
翔平
「本当によろしいのですか」
チェスター・ニミッツ
「あぁ、これ以上合衆国の若者の血が流れるのはごめんだ、この戦争を一日でも早く、終結させたいからな」
翔平
「分かりました」
翔平は椅子から立ち上がり、ニミッツに無言で手を差し伸べた
ニミッツはそれを見て同じように手を差し伸ばし握手をした
翔平
「では、お話しましょう、第二連合艦隊の最高機密を、啓太、葵」
啓太
「アイ・サー!」
葵
「了解!」
パッチ
長官公室の電灯が消され、隠されていた大型液晶テレビが現れる
翔平
「ニミッツ長官、我々第二連合艦隊全ての将兵は西暦2025年の未来からやってきました」
翔平がそういった途端、世界恐慌から2025年までの歴史を3時間にまとめたドキュメンタリービデオが始まった、ニミッツはそれを食い入るように見ていた
ニミッツは三時間休憩なしで見続けた
三時間が経過しビデオが終わり長官公室に明かりが戻る
翔平
「どうでしたか」
チェスター・ニミッツ
「これはもう信じるしかない、まさか私のインタビューが出てくるとはな・・・いいだろう、私はいったい何をすればいいんだ」
翔平
「本来の予定なら、このまま一気にパナマまで行き大西洋に出てポトマック河畔を遡り、ワシントンDCまで出向く予定でしたが」
チェスター・ニミッツ
「大陸側の反攻作戦か」
翔平
「はい、流石にいくら技術的に発展したと言っても、インド洋、シナ大陸、太平洋さらに満州の防衛、弾薬等の生産が許容範囲を超えていますから」
チェスター・ニミッツ
「では、しばらくは、軟禁状態と言うわけか」
翔平
「そんな事はしませんよ、啓太、確か個室が余っていただろう、ニミッツ長官を案内してくれ、しばらくは我が艦隊で暮らしてもらいます」
チェスター・ニミッツ
「いいのか、いつ私が破壊工作を行うとは限らんぞ」
翔平
「大丈夫ですよ、私は人を見る目は確かですから」
チェスター・ニミッツ
「(なんという自信)・・・ではしばらく世話になるとしよう」
その後、連合軍将兵は次々に降伏し、ハワイ諸島は完全に占領された。
損害
25式戦車 15両 小破
16式装甲戦闘車 18両 中破
17式自走高射機関砲 8両 小破
人員 戦死者 無
重傷者 5名
軽傷者 25名
一式中戦車 30両 中破
10両 大破(破棄決定)
九九式155mm自走榴弾砲 9両 小破
人員 戦死者 258名
重傷者 325名
軽傷者 598名
帝国陸海軍の総力を挙げたハワイ諸島攻略作戦・・・宙作戦は当初の予定より早期に占領することが出来たが、その代償として太平洋戦線のために備蓄された弾薬、爆弾の三分の二を消費した、この代償は次の戦線にどんな結果をもたらすかは、誰も知らなかった・・・
天嶽
「今までにない、トンデモ展開!作者自身これからどうなるか分からなくなってきました」
播磨
「ダメだ、早いうちに何とかしないと・・・もう手をくれかしら」
天嶽
「ハッハッハ、例によって次回はいつになるかどうかわかりません!」
十六夜
「なにを言いきっているのかしら、作者」
天嶽
「ッひ!い、十六夜さん」
十六夜
「とりあえず、あちらに行きましょうか」
天嶽
「え、ちょ!・・・・ギャアアアアアァァァァ!!!」
播磨
「ご意見ご感想、お待ちしています」