第二十六話 インド洋波高し
11月11日
帝国海軍 柱島泊地
第二連合艦隊
旗艦 イージス戦艦 播磨
会議室
会議室には翔平を始めとする、首脳陣が集まっていた
翔平
「さて今日集まってくれたわけだが、2週間後、第一機動艦隊がインド攻略作戦のため出撃する、それに伴い我が艦隊からも艦艇を数隻派遣する」
啓太
「派遣する艦艇は?」
翔平
「まず、太平洋の防衛のために主力の戦艦を出すわけにはいかない、そこで、第一戦隊から、巡洋戦艦4隻と第一駆逐戦隊の駆逐艦8隻、それと第一航空戦隊から空母一隻と輸送艦3隻と第一支援艦隊を出す」
葵
「それで艦隊の指揮は」
翔平
「俺がする」
全員
『はい!?』
翔平
「だって暇ジャン」
葵
「・・・そんな理由で艦隊を留守にしないでください!!」
翔平
「・・・そこでだ、俺が留守にしている間、清水中将と栗須中将に本隊を任せる」
翔平は葵の反論を無視した!?
啓太・葵
『はいィ!?』
翔平
「異論は認めないぞ、もう決めたことだ」
啓太・葵
『(身勝手すぎる!!)』
ここで啓太と葵の思考がシンクロした
翔平
「それと、分艦隊がインド洋に出撃すると同時に第二連合艦隊本隊はマーシャル諸島に移動、そこにて索敵、情報収集を行う、以上、何か質問は?」
葵
「何故艦隊を分けるんですか」
翔平
「うん、インド洋に主力艦隊を集中していたら、もしもの時の本土にもしものことがあったらと思ってな、山本長官と会議をしていたら艦隊を分けることで一致したんだ」
啓太
「その訳なら納得する」
翔平
「だろ、しばらくの間、二人に任せるけど頼んだぞ」
啓太・葵
『はい』
こうして会議が終わった
11月25日
帝国海軍 柱島泊地
第二連合艦隊
巡洋戦艦 十六夜 甲板
雄哉
「ようこそ、十六夜へ、お待ちしておりました長官」
翔平
「山崎艦長しばらく世話になるぞ」
雄哉
「いえ、こちらこそ」
翔平
「では・・・全艦出撃準備」
雄哉
「よ~そろ~」
翔平
「播磨、俺がいない間皆を頼んだ、ケンカ等がないように」
播磨
「分かってるわ」
翔平
「太平洋は今後しばらくは平穏だと思うが・・・もしものことがあったら、皆をまとめてくれ、栗須中将、清水中将、播磨」
啓太・葵・播磨
『はい』
翔平
「では、しばらく頼んだぞ」
啓太
「任せてください」
こうして翔平は、第二連合艦隊本隊と別れて、巡洋戦艦十六夜に将旗を移した
イージス巡洋戦艦 十六夜 艦橋
翔平
「全艦出撃準備は」
雄哉
「全艦準備完了」
翔平
「全艦出撃」
十六夜を旗艦とする第二連合艦隊印攻略艦隊は第一支援艦隊と共に、第二連合艦隊本隊に見送られて、柱島泊地を離れた
その後、沖縄沖で、第一機動艦隊と合流さした。
作戦の参加戦力は・・・
第二連合艦隊 印攻略艦隊
司令長官:林翔平大将 旗艦:イージス巡洋戦艦十六夜
巡洋戦艦
天羽 天月 十六夜 十五夜
空母
鳳翔
駆逐艦
秋月型8隻
補給艦
札幌型3隻
第一機動艦隊
司令長官:小沢治三郎中将 旗艦:赤城
戦艦
金剛 比叡 榛名 霧島
空母
赤城 加賀 蒼龍 飛龍 翔鶴 瑞鶴
重巡洋艦
利根 筑摩 足柄 羽黒
防空軽巡洋艦
阿賀野型12隻
駆逐艦
松型32隻
補給艦
一等補給艦5隻
第一支援艦隊
司令長官:山田能貴 旗艦:大型自走浮きドック呉
巡洋戦艦
三宅 八丈
軽空母
神鷹 海鷹
防空軽巡洋艦
阿賀野型10隻
駆逐艦
秋月型15隻 松型20隻
自走浮きドック
呉 佐世保 横須賀 舞鶴 大湊 苫小牧
強襲揚陸艦
墨田 江東 品川 目黒 世田谷 仲野
輸送艦
札幌型15隻
総参加艦艇 155隻
総参加航空機 800機以上
11月29日 (現地時間;18:45)
マラッカ海峡
インド攻略艦隊は、マラッカ海峡を通過し海峡の出口に差し掛かっていた
第二連合艦隊 印攻略艦隊
旗艦 イージス巡洋戦艦 十六夜 艦橋
翔平
「ここからが本番だ、山崎艦長、対潜、対空警戒を厳に!」
雄哉
「よ~そろ~」
その時艦内電話が鳴り響く
雄哉
「こちら艦橋」
水兵1
「CIC、艦橋、ソナーに感!敵潜です!」
雄哉
「長官、早速です」
翔平
「そのようだな、全艦対潜戦闘!!」
雄哉
「艦首VLS解放、五式対潜ミサイル発射用意弾数1」
水兵2
「了解、艦首VLS、五式対潜ミサイル、弾数1、データ入力完了、発射準備完了!」
雄哉
「発射!!」
グワッ ズッシャァァァ――――
十六夜の艦首VLSから、五式対潜ミサイルが発射された
第一機動艦隊
旗艦 航空母艦 赤城 防空指揮所
赤城
「もうすぐ、マラッカ海峡を出てインド洋に入るわよ、加賀、皆に注意するように伝えて」
加賀
「分かった」
小沢治三郎
「おいおい、今からそんなに強張ってたら持たないぞ」
赤城
「小沢、暢気なことを・・」
ズッシャァァァ――――
加賀
「被弾したかッ!!」
赤城
「・・・違うわ、墳進弾よ」
小沢治三郎
「早速か、敵潜でも見つけたんだろう」
赤城
「はぁ~、その敵潜は気の毒ね」
小沢治三郎
「あぁ、必ず命中すると言ってたな」
加賀
「・・・」
独逸海軍 潜水艦
U-237
独ソナー員
「推進器音、多数、4時方向、距離約2万5千、速度25ノット」
U-237艦長
「潜望鏡深度へ、無線アンテナ露頂」
独水兵1
「ヤヴォール!!」
U-237
「見つけたよ、日本艦隊・・・」
U-237は艦隊の艦種を確認するため潜望鏡深度に浮上した
U-237艦長
「これは・・・」
U-237の艦長が目にしたのは、
大日本帝国が誇る一大機動艦隊であった
U-237艦長
「・・・友軍基地へ緊急電、速度25ノットでマラッカ海峡を通過中の日本機動艦隊を発見、編成は空母7、戦艦4、巡洋戦艦4、他大小巡洋艦、駆逐艦多数、だ、急げ!!」
独水兵2
「ヤヴォール!!」
独ソナー員
「突発音!魚雷です!!接近中!」
U-237艦長
「なんだと、急速潜航!面舵一杯!!機関一杯だ!!」
独ソナー員
「駄目です、間に合いません、距離100‥80‥60‥40…」
U-237
「駄目、避けられない・・・後は頼んだよ・・姉妹達・・・」
カッ
グワッ
ズッドォォォオォオン
U-237に五式対潜ミサイルが命中した途端、
U-237の外殻を砕き
U-237はその艦体を暗い海に沈めた
第二連合艦隊 印攻略艦隊
旗艦 イージス巡洋戦艦 十六夜 艦橋
水兵2
「敵潜の圧潰音を確認、撃沈です」
翔平
「この先には、Uボート等がうようよ居るだろう」
雄哉
「哨戒機を発艦させますか」
翔平
「そうしよう、各艦に通達、SH-60K、全機発艦、哨戒に当たれ」
水兵3
「了解」
哨戒に対潜弾を腹いっぱい抱えた、SH-60Kが30機、飛び立った
アッズ環礁 イギリス海軍基地
英東洋艦隊
旗艦 戦艦 ネルソン 艦橋
英士官1
「提督!ドイツ潜水艦U-237から、敵艦隊発見との報告です!!」
ジェームズ・サマヴィル提督
「なんだと!規模は?」
英士官1
「はい、報告によりますと、空母7、戦艦4、巡洋戦艦4、他大小巡洋艦、駆逐艦多数、大機動艦隊です」
ジェームズ・サマヴィル提督
「大艦隊だな・・・我々だけで防ぎ切れるか」
サマヴィル提督は艦橋の窓から外を見た
彼の眼下には
多数の戦艦、空母、巡洋艦、駆逐艦が停泊していた
英参謀1
「提督、敵の機動艦隊の後方には、必ず輸送艦隊がいるはずです、この艦隊に攻撃をし、敵艦隊の輸送路を破壊するのはどうでしょうか」
ジェームズ・サマヴィル提督
「う~ん」
サマヴィル提督は唸りこんだ
そんな海賊まがいなことを行いたくなかったからだ
英参謀2
「提督、もう一つ方法があります、敵の艦隊は艦隊速力25ノットと高速です、この高速巡航を可能とする、日本海軍の戦艦は、コンゴウクラスのみです」
ジェームズ・サマヴィル提督
「ちょっと待ちたまえ、日本海軍はハリマクラスと新鋭のヤマトクラスが就役しているぞ」
英参謀2
「はい、ですが、情報部からの報告では、ハリマクラス、ヤマトクラスの両艦は、27ノットが限界だそうです」
もちろんこの事はブラフであり、連合軍が真実を知るのはもう少し後の事だ
ジェームズ・サマヴィル提督
「それで?」
英参謀2
「我々東洋艦隊の主力戦艦はこのネルソンクラスが2隻、後はRクラスが5隻です、敵がコンゴウクラスなら、主砲は14インチ、ネルソンは16インチ、Rクラスは15インチ、後は、敵の巡洋戦艦ですが、これは今日本海軍が保有している、テンワクラス、テンワクラスの主砲口径は12インチ、火力では日本艦隊を凌駕しています、ですから、敵艦隊に夜戦を挑み、レーダー管制射撃で敵艦隊を撃破するのはどうでしょうか」
金剛型はすでに41センチつまり16インチに主砲が改められており、連合国側はこのことを知らない
ジェームズ・サマヴィル提督
「・・・よしそれで、行こう」
英参謀1
「それでしたら、提督、出撃準備を」
ジェームズ・サマヴィル提督
「うむ、全艦出撃準備・・・日本艦隊の攻撃予測は?」
英参謀1
「セイロン島の泊地攻撃の可能性が一番高いかと」
ジェームズ・サマヴィル提督
「・・・分かった」
英海軍東洋艦隊は、明日の出撃に備え準備に入った
同艦 予備士官室
戦艦ネルソンの予備士官室では、英海軍の艦魂達が集まっていた
ネルソン
「ロドニー、状況を教えてください」
ロドニー
「はい、姉さま、本日、1845頃、ドイツ潜水艦U-237が日本艦隊と接敵しました」
ネルソン
「艦隊の規模は?」
リヴェンジ
「はい、空母7、戦艦4、巡洋戦艦4、他大小巡洋艦、駆逐艦多数を引き連れた大機動艦隊だ」
ロドニー
「艦隊司令のサマヴィル提督は日本艦隊を砲撃戦で戦うと言っていたけれど、敵は空母を中心とした艦隊、大丈夫かしら」
リヴェンジ
「大丈夫だ、作戦行動中の戦艦が航空攻撃で沈められたことは、今まで一度もない、それに砲撃戦だったら我が方が有利だ」
この時点で、帝国海軍は航空攻撃でまだ戦艦を沈めていない
ネルソン
「火力では有利ですか・・・」
ロドニー
「どうかしたの、姉さま」
ネルソン
「・・・いえ、何でもありません」
ネルソンは言い知れぬ不安感を抱いた
第二連合艦隊 印攻略艦隊
旗艦 イージス巡洋戦艦 十六夜 艦橋
雄哉
「長官、播磨から電文が来ています」
翔平
「ほう、見せてくれ」
雄哉
「はい」
翔平
「ありがとう」
翔平は紙に目を通すと、微笑した
翔平
「皆もこちらの様子が気になるようだな」
雄哉
「何と返信しますか」
翔平
「そうだな・・・インド洋波高し、これでいい、平文でいいぞ」
雄哉
「了解」
ご意見ご感想をお待ちしております。




