第二十五話 見えない未来
7月12日
帝国海軍 柱島泊地
第二連合艦隊
旗艦 イージス戦艦 播磨
現在、第二連合艦隊は内地に帰還し、乗組員休養と破損個所の修理を行っていた
翔平
「でっ、親父なんだこの図面は」
武
「レキシントンの改造図面」
翔平
「もうほとんど、面影が残ってないんですけど」
翔平が見た図面は、ほとんど空母という面影を残していなかった
武
「おう、レキシントンの艦体を利用した、航空戦艦だ」
翔平
「・・・条約で巡洋戦艦から航空母艦になった艦を、さらに改造して航空戦艦に?」
武
「そうだ、改造も進んでいる」
翔平
「俺に黙って」
武
「本はと言えば、航空隊のミサイル攻撃で機関室が全滅したから、取り替えて、その時に両艦とも、飛行甲板と艦橋を取っ払ってしまって、それでこの改造案が出たんだ」
翔平
「そ~なのか~」
武
「やめい!多分そのネタは一部の人しかわからん」
翔平
「スマン、それでこの図面か・・・しかも、主砲が51cm砲か・・」
武
「俺のがこの世に送り出した艦で、最高ッと言っても過言ではない航空戦艦だ!!」
翔平
「ほう、搭載機数は?」
武
「艦尾、艦首を延長して、さらに、バルジも増設したから・・・だいたい90機ってとこか」
翔平
「ふっ、」
武
「使えそうだろう」
翔平
「あぁ、充分すぎる程な」
武
「そうだろう」
常陸
「長官!!」
常陸が長官室に転移してきた
翔平
「なんだ、常陸」
その時、長官七の扉が勢いよく開き、啓太と葵が入ってきた
啓太・葵
『長官!!』
翔平
「どうした?!」
常陸・啓太・葵
『ソ連が連合国に降伏しました!!』
翔平・武
『な、なんだって!!』
翔平
「詳しい話を」
啓太
「はい、これは、ナチスドイツとアメリカのラジオ放送を傍受したのですが、7月11日にドイツ空軍がオムスクを攻撃した際に機銃掃射で死亡したそうです」
翔平
「ちょっと待て、今ソ連の最前線はどこだ?」
葵
「最前線はスベルドロフスクというところですが、今はその前線に居たロシア軍将兵が、降伏し、崩壊が始まっています」
啓太
「つい先ほど、軍令部はこれからの対策を改めると言う事で、明日会議を開くそうです」
翔平
「そうか、山本長官も来るのか」
常陸
「無線連絡では、つい先ほど、トラックから、サイパン経由で東京に向かったそうです」
翔平
「よし、すぐに、帝都に向かうぞ、啓太、資料の準備を」
啓太
「了解」
翔平
「親父も来るか?」
武
「おう、頼む、今後の造船スケジュールを艦政本部の戻って大幅に見直さなければならない」
翔平
「頼むぜ、海軍技術中将殿」
武
「おう」
その夜、翔平たちは、電空で帝都東京、軍令部に向かった。
7月13日
帝都 海軍軍令部 (通称:赤レンガ)
武
「帝都にも高層ビルが増えてきたな」
翔平
「そうだな、・・・どこかの誰かさんが、技術支援と都市の再開発を強く推したからだろう」
武
「そうだっけ」
実際に今の大日本帝国は百尺規制を容積地区制度に改正し、多くの高層ビルが建築段階に入り、道路も震災、空襲に備えて、整備を行っていた
翔平
「そうだ、あっ、山本長官」
山本五十六
「やぁ、林君、もう来てたのか」
翔平
「はい、昨夜到着しました」
山本五十六
「そうか、こっちは、ついさっきだ」
翔平
「どうでしたか、深山の乗り心地は」
山本五十六
「うん、爆撃機としては、速かったよ」
武
「そうですか」
翔平
「では、行きましょうか」
山本五十六
「そうだな」
そうして会議が始まった
翔平
「今の帝国の最前線は西はインドラングーン、東はミッドウェーです、少なくとも半年後には、英印軍を駆逐し、インドを開放しなければいけません、さらには、インドの開放が終了次第、ハワイ諸島を攻略し、ハワイから爆撃機を飛ばして、ロスアラモス研究所を破壊します、その後は、ここを攻略して、ここに向かいます」
山本五十六
「さらに、ソ連が崩壊したため、本土防空と日本海側の防衛も重要になってきます」
東條英機
「う~ん、陸軍は戦力的にかなり余裕があるが・・・問題は補給だ」
山本五十六
「その点は、海軍が責任をもって輸送船団を保護し、物資を通どけます」
その後陸軍との協議や、いろいろ話し合ったが、そこは割愛させていただきます。
翔平
「うん、親父どこに行こうとしているんだ」
武
「本田宗一郎さんと豊田喜一郎さんに会いに行く」
翔平
「本田・・・豊田・・・ホンダ・・・、トヨダ・・・、あの自動車メーカの」
武
「創設者に」
翔平
「なぜ!」
武
「これからの自動車業界の事を話しに」
翔平
「・・・帰りは、自分で帰ってこいよ」
武
「あぁ、新幹線で・・・って、この時代には新幹線はまだないんだ~~!」
翔平
「なに、悶えてるんだよ」
武
「畜生、絶対に1950年には新幹線を作ってやる」
翔平
「何を考えてるんだよ」
武
「俺の野望だ」
何かの野望に燃える武
翔平
「とにかく、汽車か、輸送機で呉まで帰ってくるんだな」
武
「分かった」
翔平
「先に戻っているからな」
武
「おう」
翔平はそう言って武と別れた
弘明
「長官」
翔平
「おぉ、弘明久しぶりだな」
弘明
「はい、お久しぶりです」
読者の皆様は覚えているだろうか、
翔平が護衛艦こんごうの艦長をしている頃から、砲雷長をやっていた堀井弘明今の階級は中将
翔平
「どうだ軍令部は」
弘明
「机仕事ばかりで、海が恋しいです」
翔平
「そうか、でも、堀井参謀、貴方には作戦立案と交渉力をもっているこれからも頼んだよ」
弘明
「分かりました、どんな頑固者でも必ず説得して見せますから」
翔平
「頼んだぞ、お前ならできる」
弘明
「プレッシャーを掛けないでください」
翔平
「で、俺に何か用でもあるのか」
弘明
「そうですよ、え~と立ち話もなんですから」
翔平
「そうだな」
とある一室
翔平
「さて、どんな話かな」
翔平は弘明の案内で軍令部のとある一室にいる
弘明
「長官はご存知ですよね、先遣偵察隊の事を」
翔平
「もちろん」
先遣偵察隊とは、敵本土のジャーナリストに成りすまし、敵の情報を取集するための、特殊部隊だ、だが戦闘はしない、
弘明
「その偵察隊から連絡が入ったのですが・・・」
翔平
「よく電波が届いたな」
弘明
「はい、波号情報潜水艦を始め、何か所も経由されていますから」
翔平
「うんで、どんな話だ」
弘明
「はい、現在、米国では、戦艦、空母の建造が急ピッチで進んでいるようで、早ければ、来年の末頃には全艦が戦力化になるとのことです」
翔平
「なんだ、予想していたじゃないか」
弘明
「それが予想よりも遥かに多いんですよ」
翔平
「具体的には」
弘明
「これが偵察隊からの報告書です」
翔平は報告書に目を通した
報告書にはこう書かれてあった
米国の工業は今非常に活発化せり、航空機企業、自動車企業の各工場が24時間のフル操業で、戦車、戦闘機を始め、兵器が増産中、さらに、各造船所、工廠では、戦艦、空母、他大小補助艦艇が、建造中、戦艦の数は少なくとも20隻以上、ノースカロライナ級2隻、サウスダコタ級4隻、アイオワ級6隻、モンタナ級6隻さらに新型戦艦X級を8隻、起工す、空母もエセックス級を中心に、ボーク級、カサブランカ級、合わせて30隻以上・・・
翔平
「・・・米国の国庫は大丈夫か!!」
弘明
「大丈夫ではないと思います」
翔平
「ですよね~、21世紀でこんなことやったら、政権が5回ぐらい吹っ飛ぶぞ」
弘明
「なにか笑えません」
翔平
「そうだよな~」
弘明
「で次に、大和田が欧州の音号無線を解読していますが、欧州でも海軍の再建が行われているみたいです、くわしい内容はまだ入ってきませんが」
翔平
「そうか、新しい情報が入ったら、連絡してくれ」
弘明
「了解」
その後、翔平は弘明と別れて、電空で呉に戻った
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