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冷遇された伯爵令嬢、公爵令息に拾われ人生逆転します  作者: もも


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1/5

1 冷遇された少女

よろしくお願いします!

 伯爵令嬢ローズマリーは十歳で両親を事故で亡くした。

一月以上雨が降り続き領地で作物が育たないと報告を受けて視察に行った帰りの事だった。

泥濘んだ山道に車輪を取られて馬車が横転し坂を転げ落ちたと警邏が知らせてくれた。


おいて行かれる不安で心細くなったローズマリーに両親は笑顔で言った。


「良い子でお留守番するんだよ、直ぐ帰って来るからね」と。

それが両親を見た最後になった。


最初は信じられなくて感情が出せなかったローズマリーが大声で泣き出した時、抱きとめてくれたのは侍女長だった。泣くだけの小さな主を守ってくれたのは使用人達だ。



それが短い安寧だったと分かったのは直ぐのことだった。






葬式を終えた途端叔父一家が素早く移り住んで来たのだ。


「兄さんが亡くなった今伯爵家は俺のものだ。俺に逆らう奴はクビにしてやる」


叔父は酒太りの体でそう息巻いた。ぶるっと体を震わせたローズマリーが見たのは怯える使用人達だった。

そうよね、血が繋がった私でさえ怖いのだもの、使用人はもっと怖いはずだ。

私が大人しく言うことを聞けばみんなを守れる。


だがそれは子供の甘い考えだった。

両親が生きていた時は優しかった彼らは手のひらを返し、使用人の様にローズマリーを扱った。


今までのローズマリーの部屋は従妹のエリザベスの物になり、屋根裏部屋が居場所になった。そこは埃っぽく粗末なベッドと小さなチェストがあるだけの質素な場所だった。


最初は三度食べられた食事も叔母の差し金で一回だけの硬いパンと薄いスープになっていった。機嫌が悪いときはそれさえ無いこともあった。


昔からいる使用人は追い出され、新しく来た者も少しでもローズマリーに少しでも同情をした途端クビになった。


こうしてローズマリーの味方は誰一人いなくなってしまった。




「惨めなものね。元伯爵令嬢ローズマリー。このドレスも宝石も綺麗な物はみんな私のものよ。あんたには雑巾がお似合いだわ。あっ紅茶が掛かってしまったわ。メイド服も染みだらけなんてお笑い草ね。汚いからあっちへ行って」


そう言うくせに一日に何度も貶めに来るのはエリザベスの方だった。

悔しがる姿が見たいのだろうがローズマリーにはとっくにそんな感情は無かった。


両親が亡くなり叔父一家という悪魔が来た時点で感情は殺した。


「お父様お母様ローズマリーもそちらに行きたいです。どうして私を一人残して逝ったのですか?早く迎えに来てくださいませ」


眠る前に祈るのはただそれだけだった。






 叔父はローズマリーが成人になるまでは死なない程度にように生かしておくつもりだった。成人になれば相続権が発生するので始末するつもりだったのだが、今はよく働く金のいらない使用人だ。その内存在すら気にも留めないようになっていった。




 数年後あまりにも関心がなさ過ぎて王宮からデビュタントの招待状が来るまで忘れていた。

握り潰そうかと思ったが正式な物だ。仕方がないので安いドレスを買ってやり行かせることにした。帰りの馬車の事故で死んだ事にすればいい。


妻と娘が「ドレスなんて」と騒いでいたがもちろん聞かなかった。


叔父は口の端を上げにやりと笑った。外で死んでくれれば都合がいい。k9仕掛けは言い付けてあった。




 数年ぶりに新しいドレスを着たローズマリーは何がなんだか分からず混乱していた。靴もヒールが高く転びそうだった。これで歩けるのだろうか。

叔父に言いつかったメイドが「宮殿には一人で行くように」と嘲笑うように招待状を投げつけた。



 艶のなくなったぱさぱさの髪を梳かした。一番粗末な馬車でデビュタントに行くらしい。歩いて行かなくていいのでほっとした。


よくあの叔父が許可したものだと思った。きっと生きていると証明したいだけだ。このチャンスに逃げ出したいがローズマリーにはその術がなく唇を噛み締めた。



 数年ぶりの王都はキラキラと輝いて見えた。人々が楽しそうに歩いていた。


建物も昔両親に連れて来てもらった時のようにお洒落だった。


道端には花が飾られ木々がさわさわと風に揺れていた。今は明るいが夕方になればオレンジ色の街灯がともるのだろう。


いつの間にか涙が一雫頬を伝っていた。


あれっ私泣けたんだ、生きていても何も良いことがないと思っていたが外の景色を楽しめたと、ローズマリーは何度も洗ってぼろぼろになったハンカチで涙を拭いながら思った。



 王宮に着くと門番の騎士が手を貸してくれた。小さな頃にされたエスコートだと思い出した。騎士は優しかった。入り口まで案内してくれた。


宮殿は白い壁に金の装飾がしてあり天井には天使が沢山描かれていてシャンデリアが眩しい。貴族の令嬢やパートナーの話し声が賑やかだ。


ローズマリーは身をすくめた。パートナーもいなければ誰一人知り合いもいない。


会場の皆が嘲笑っている様な気がしたが、エリザベスの様に直接何か言ってくるわけではないので平気だった。


目立たないところにいればましだろうと動こうとした時ローズマリーの意識は突然暗転した。そう言えば今日は何も食べていなかった。


何処かで「きゃー」という悲鳴のような声が聞こえた気がした。


読んでいただきありがとうございます!楽しんでいただければ嬉しいです。

以前書いた拙作「裏切りはいらない」に関係する人物を登場させたいと思っていましたが、念願が叶いました。次回から出て来ます。よろしくお願いします。

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