表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/38

第4章 賈龔、婚礼の儀をあげる

涼州に入った初日に出会った運命の人ともいえる白英と、正式に婚儀を挙げることになった。時に西暦百四十五年(永憙元年)の一月、初春である。

 

 婚儀は白理の邸宅で盛大に行われた。近隣の住民たちも無礼講で参加させたため、城中の者が集合したかの様な賑わいであった。

 本来、賈龔はこういった「派手」な祝い事などは苦手としているが、白理に異民族と隣接している場所で生活を送り、危険と隣り合わせともいえる涼州の人民は、祝い事には特に力を入れて執り行うのが常なので、その風習に合わせてほしい、と頼まれたので、受け入れた。

 妻となる白英は、賈龔と違い、こういった賑やかな催しを好む質であるので、とても楽しそうにしており、賈龔はそれを見ているだけで幸せな気持ちになれた。

 

 この婚儀の宴は、実に十日連続、休むことなく行われた。

 賈龔の部隊に所属する兵士たちも日替わりで祝いに来た。

 副将の王武の取り計らいである。

 王武自身は、将軍不在時の万が一に備えて常に前線の警備に出ていたという。こういう気質が、部下に厳しく接しながらも、尊敬されている所以であろう。

 

 さて、十日連続の婚儀の祝宴もようやく終わりを告げた。

 賈龔は白英に非番の日以外は、隊の軍営で過ごすことを伝えた。白英は当然の様に受け入れた。

 軍営に戻った賈龔は、当たり前ではあるが、浮かれた様子もなく、いつも通りにふるまった。

 

 王武に言う。

 「王武よ。長々と留守にして済まなかった。流石に疲れただろう。二、三日はゆっくり休むとよい。」

 「将軍こそお疲れじゃないのか?俺は、普段通りに過ごしていただけさ。」

 「ふふふ。まあ、そう言うな。副将に休みを取らせるのも、将たる私の大切な役目。王武、命令だ。三日間、軍営への立ち入りを禁ずる。」

 「えっ!ここにいることもだめなのかい。しょうがない、将軍様の命令だ。久方ぶりに家に戻って酒浸りにでもなろう。」

 「うむ、そうするとよい。ゆっくり休め。」

 王武は軍営を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ