表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流浪の軍師ー三国志・賈詡文和伝ー  作者: 涼風隼人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/51

第38章 賈詡、偽降の計を献策する

 この頃の曹操陣営は、献帝を擁し、優秀な人材が集結し、日に日に体制が整ってきた過度期にあったと言える。

 軍師で言えば、荀彧、荀攸、郭嘉、程昱。

 将軍で言えば一族の曹仁、曹洪、夏侯惇、夏侯淵に加えて、張遼、楽進、李典、于禁など。

 名だたる人物が集結していた。

 

 そして、この名だたる人物を有する曹操勢力が狙うのは天下であり、第一の敵は当時の最大勢力、冀州の袁紹であった。

 

 その袁紹と対峙するのに一番邪魔な存在が、宛城の張繡であった。しかも、張繡の下に賈詡が軍師と入り、劉表と同盟を締結したという情報が入ってきた。

 

 曹操は、自分が献帝を擁することになったのは、賈詡の画策であると聞いていた。

 曹操は賈詡に会ったことは無いが、賈詡は周囲の情報や情勢の分析で、曹操が献帝擁立に動く、とよみ、見事的中させ、今がある。

 

 その賈詡の存在を、曹操は捨て置くのは危険であると考えた。そして、曹操は決断したのだ。

 「宛城の張繡を討つ。すぐに準備せよ。」

 

 張繡討伐軍は、すぐに編成をされた。

 総兵力は四万。

 曹操の見立てとしては、張繡軍の総兵力は一万ほどとみている。

 曹操は前軍を曹洪、後軍を長男の曹昂に各一万、中軍を自ら二万の兵の配置とした。

 

 「曹操軍来る」

 この一報は、すぐに宛城の張繡の下に届いた。

 

 張繡は賈詡に言う。

 「曹操の全兵力は四万くらいだという。我が軍は全兵力を招集しても一万程度である。先生、どうすればよいか。」

 賈詡はしばし、目を瞑りながら熟考した。そして、静かに目を開けて答えた。

 「城門を開いて迎撃の陣を張っても、恐らくは勝てませぬ。籠城して、劉表様に援軍を請い、耐え忍ぶにしてもその間に城門を破られましょう。ここは、潔く、降伏すべきです。」

 

 張繡は、大きな声で言う。

 「馬鹿な!一戦も交えずに、曹操に膝を屈せと申すか!」

 賈詡は興奮している張繡に、冷静に返す。

 「はい。戦っても勝ち目はない。そんな戦に、大事な兵たちに命を賭けさせるわけにはまいりません。しかし、私の言い方が悪かったことをお詫びします。まずは、一旦、降伏いたしましょう。」

 

 張繡が少し落ち着いた声で問い返す。

 「先生、一旦、とは?」

 

 賈詡が説明をする。

 まず、単純兵力で四万と一万で野戦での勝負は無謀。

 次に、籠城戦であるが、食糧が十二分にあり、耐えている間に、劉表が援軍を送ってくれれば勝ち目はあるかもしれないが、宛城の兵糧はそれほどの備蓄が無いこと、劉表は即断即決のできる男ではないことを挙げ、こちらも勝機は見えてこない。


 野戦も籠城戦も勝ち目がないのであれば、一時の恥を忍んで降伏するべきである。

 曹操も袁紹との決戦前に、一兵たりとも無駄にはしたくないはずであり、こちらの降伏をむしろ喜び、受け入れる。

 城内に曹操を向かい入れ、もてなしの宴を連日開くなどすれば、必ずこちらに心を許す。その時を待って、反撃をする。


 ここまで話すと、張繡が言った。

 「そうすると、先生、これは偽りの投降、ということか。」

 「そうです。しばらく我慢はしてもらうことになりますが、十日を越さない、とだけお約束させて頂きます。」

 「十日・・・。先生、本当にそんなことが可能なのか。」

 「はい。十日より早まっても、遅くなることは無いと考えております。」


 こうして、張繡は賈詡の「偽降の計」を受け入れ、曹操に降伏した。

 曹操は賈詡の読み通り、喜んで張繡の降伏を受け入れ、宛城に入城をしたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ