表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/24

第14章 賈詡、初陣の機会到来する

 賈詡は、副将である王武の下で、連日軍事訓練に参加した。

 王武の隊は、当然、賈龔軍の中核を担う。

 それ故、訓練も厳しい。この厳しい訓練の後であっても、かつて賈龔が文の奨励を行った際に応募した者が最も多く、今でも続けている者が多い。それが、王武隊であった。

 

 やはり軍人であって、一番の人気は孫子の兵法であった。

 訓練の時は賈詡の上官であっても、学問に関しては王武がまるで弟子の様に質問して学ぶなど、王武の隊に所属したことは、賈詡にとっても貴重な経験となった。

 

 そして、とうとう、初陣の機会が訪れる。

 賈詡が思っていたものより、思いの外、大規模な軍事活動での初陣となる。

 

 この時、涼州の軍事を束ねていたのは、涼州武威郡姑臧城が生んだ英雄、段熲(ダンコウ)総督であった。現在姑臧城の城主を務める段麓とは親族関係にあるが、段麓のような「小物」と違い、真の英雄と言っても差し支えない大人物である。

 

 その段熲が、武威郡の隣で、異民族の進行が激しい張掖(チョウエキ)郡にて守備に当たっていた。激しい争いの末、段熲軍の損耗も激しかったが、それ以上に異民族に大打撃を与えることに成功、これを機に一気に攻勢に出るために、涼州全体の軍に対して招集がかかったのである。

 

 段熲からの招集に、賈龔は胸を躍らせた。

 賈龔にとって、数少ない、尊敬できる軍人というのが段熲だからである。実は、まだ賈龔が百五十人隊を率いているときにも、段熲からの招集はあり、賈龔隊も参加した。


 賈龔隊の一糸乱れぬ統率と、強力な破壊力を見て、上位の将軍に抜擢し、今の地位にしてくれたのが何を隠そう、段熲なのである。

 その礼もまとも言えぬまま、かなりの年月が経過している。

 今度は、二千人を率いるれっきとした「将軍」なので、軍議にも当然、参加できよう。ようやく、段熲と直接話せる機会が得られるかもしれず、賈龔は人知れず興奮していた。


 この様な、賈龔にとっても「大舞台」といえる戦場が賈詡の初陣になることに、賈龔はやや不安を覚え、王武に聞いた。

「王武よ。この様な大規模な軍事行動に賈詡を伴うことはどう思う?」

「問題ないぜ、将軍。賈詡は本当に軍事演習にもしっかりついてきている。ただ・・・。」

「ただ、なんだ。」

「一兵卒としての初陣というよりは、やはり、軍師として、作戦面にて参画させるべきだろう。」

「軍師として・・・。しかし、他の者どもが納得するだろうか。」

「するさ。将軍は知らないかもしれないが、今や賈詡は我が王武隊一の学識ある者として、多くの兵士たちが師と仰いでいるんだぜ。誰もが別格、として認めているよ。」


こうして賈詡は、賈龔軍の軍師見習いとして、涼州全体の軍が招集された張掖郡の戦いに参加し、初陣を果たすことになるのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ