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第13章 賈詡、青年になる

 西暦百六十六年(延熹九年)、賈詡は二十歳となり、冠礼の儀を迎えた。

 今まで涼州武威郡で過ごしてきた賈詡であるが、これを契機に彼の活動や活躍の範囲は徐々に広がっていく。

 

 まず、「字」を付けた。

 賈詡は、かなり前から「文和」にすると決めていた。

 「文の力によって争わず、平穏を保つ」といった意味合いである。自分の名の「詡」との相性もよい、賈詡らしい字であった。

 

 この字に対して、父の賈龔も母の白英も賛辞を示した。

 白英が言う。

 「詡よ。文和とは、あなたらしい字ですね。言葉で羽ばたき、文の力で平穏を保つ。本当に素晴らしいですわ。」

 「ありがとうございます。父上に付けて頂いた名前と、自分のこれからの人生を考えたときに、自然と思いつきました。」

 

 賈龔が言う。

 「詡よ。お前もこれで一人前の大人だ。お前はこの地に生まれてから二十年、ここで学問と武の研鑽を積んできた。これからはどうしたい?」

 「色々やりたいことはあります。以前お話をさせていただいた通り、中華全土を旅したり、古戦場を実際に見ながら兵法の研究をしたい、などありますが、一番したいことはまた別にあります。」

 

 「ほう、それは何だ。」

 「父上のもとで、初陣を果たすことでございます。」

 「・・・。戦いの場に出たいと申すか。」

 「はい。兵法を活かすにはやはり、早い段階で実戦の場に臨むべきものと思っています。お願い致します、次の出動機会があるときには、お供をさせて頂きたく。」

 「わかった。それなら、本日より我が軍営で、他の兵士たちと共に生活を共にせよ。」

「畏まりました。早速、そうさせて頂きます。」


 賈龔は、賈詡は恐らく中華全土を巡る旅に出たい、と希望するものと思い、予め静に帯同してくれるようにお願いをしていた。しかし、その前に初陣を果たしたいという。流石に我が子である、と思うと同時に、我が子ゆえに身贔屓は出来ぬことから、ひとまずは王武の下に付けることにした。


 王武が賈龔に言う。

 「将軍、坊ちゃんは、俺の普通の部下として遇すればいいのかい?」

 「ああ、もちろんだ。私の子であるからと遠慮はいらぬ。

訓練にも全て参加させてくれ。」

 「わかった。坊ちゃんは、軍師になりたいんだろ?あれだけ、兵法の研究をしているのだから。まあ、実戦を知っている軍師と知らない軍師、どっちがいいかといえば知っている方に決まっている。坊ちゃんの命、保証できないけど大丈夫かい?」

 「ああ。実戦の場において、誰も命の保証などできるわけがない。いくら安全と思える後方に置いておいたとしても、流れ矢で命を失うこともある。当然、詡本人も、俺自身も覚悟はしている。」

 こうして、賈詡は近い将来の初陣を果たすべく、王武の下で訓練に励むことになるのである。

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