9 ゴブリン討伐
カレンは黒髪ボブでちょっと小柄、男勝りな性格の女子だ。家が近所で、幼いころからの付き合いである。いわゆる幼馴染というやつだ。なかなかの美人で男からはもてる。だが恋人がいたことはない。
「モンスター駆除の依頼か? よし、引き受けよう。今から現場に向かうぞ」
「了解であります!」
「一緒に来て」
僕たちはカレンと共にコンビニに赴いた。
コンビニに到着するとそこはひどいありさまだった。コンビニの駐車場に人間のバラバラ死体が散らばっているのだ。おそらく10人分以上あるだろう。
「こりゃひどいな」と僕は言った。
「あそこに穴が開いてるでしょ? あの穴からこん棒を持ったモンスターが出てきてうちのお客さんをぶっ殺すのよ」
カレンの指す場所には、はたして穴があった。駐車場に穴が開いているのだ。
「これはダンジョンだな……。よし、僕に任せろ」
「頼んだわよ。こんなんじゃ商売あがったりだから」
「あっ、そうだ。忘れてた。料金なんだが……」
「あんた、私からお金とるの?」
「だって商売なんだから当たり前だろ。ダンジョン攻略は30万円だ」
「店長にそう言っとくわ」
「早速乗り込むでありますか?」と朝霧が言う。
「いや、せっかくコンビニに来たんだからちょっとコーヒーでも買って飲んでから行こう」
「了解であります」
僕たちはコンビニに入ってカフェオレを買った。それを、店内の飲食ができる場所で飲んだ。駐車場に死体が転がっているにもかかわらず、店内には僕たち以外にもうひとりお客さんがいた。そのお客さんは、さっきからずっと雑誌コーナーで立ち読みをしている。帽子を深くかぶった長身の男だ。
カフェオレを飲み終えるとゴミをゴミ箱に入れて、僕と朝霧は駐車場の穴に入った。
穴の中はダンジョンになっていた。たいまつが壁に等間隔でともっている。
「これは地底ダンジョンだな。モンスターがいるから気を抜くなよ」
「了解であります」
僕は剣を腰に差した状態。朝霧は迷彩服でアサルトライフルを構えている。
穴の中を進んでいくと、手にこん棒を持った、子供ぐらいの背丈の人型モンスターが現れた。スキンヘッドで皮膚が緑色。目が鋭くて凶暴そうな面構えをしている。
「何かいるであります!」
「あいつはゴブリンだ」
ゴブリンは僕たちを見ると、こん棒を振り上げて襲い掛かってきた。
「あっ、ナイトさん! ゴブリンがこっちに襲い掛かってくるであります!」
「こいつはそんなに強くないから大丈夫だ。僕に任せろ」
飛び掛かってきたゴブリンの攻撃をかわし、それと同時にカンターの斬撃をお見舞いする。ゴブリンの腹が裂け、赤黒い体液と共に内臓がこぼれ落ちる。
「ゴブゴ……ブ……ガクリッ……」
ゴブリンがぶっ倒れて死んだ。
「お見事であります。次は自分にやらせてほしいであります」
「うん、やってみろ」
物音を聞き付けたのか、3匹のゴブリンが同時に現れた。
「死にさらせえええええええ!」
朝霧がアサルトライフルを連射し、3匹のゴブリンたちをハチの巣にした。
がががががががががっ!
「なかなかやるな」
「快感ッ……であります!」
朝霧はアサルトライフルと手りゅう弾で、僕は剣と魔法で戦ってゴブリンたちを蹴散らしながらダンジョンの奥へと進んだ。すると突然広い空間に出た。
「広い空間に出たであります!」
「ここはボス部屋だ!」
ダンジョンの最奥にはボス部屋があり、そこにダンジョンのボスがいるのだ。
「あっ、部屋の真ん中にでっかいゴブリンがいるであります!」
そこには全長10mの巨大ゴブリンがいた。