34 参謀メフィスト・フェレスの最期
魔王城の最上階にたどり着いた。そこには重々しい扉があった。
「きっとここが魔王の部屋だ」
「ねえ、ちゃんとノックとかした方がいいかな?」とユキが常識的なことを言った。
「うむ、そうだな。たとえ敵とはいえ、そういうことは大事だもんな。もしみられて困るような状況だったりしたらこっちも気まずいし」
僕はゆっくりとノックをした。
コン、コン
「誰だ?」と室内から声がする。
「僕はナイトだ。お前を倒しに来た。入っていいか?」
「いいぞ、入れ」
ドアを開けるとそこは広い部屋だった。部屋の中央に大きな椅子があり、魔王キヨハルがふんぞり返っている。膝に猫を乗せ、片手に赤ワインのグラス。その横にはタキシードにシルクハットのメフィストが立っている。
「待ちかねたぞ、ナイト。この前は邪魔が入ったが、今回はお前の息の根を止めてやるぞ」
「今の僕は前とは一味違うぞ! 勝負だ!」
するとメフィストが前に進み出た。
「ひょっひょっひょ、お前ごとき、魔王様の手を煩わせるほどでもないのである。吾輩が相手をするのである」
「お前、メフィストめ! もとはと言えばすべての元凶はお前だったな。いいだろう。魔王の前にお前を倒す!」
メフィストは幻術を操り僕をほんろうした。
「くそ! 現実と幻がごっちゃになって、これじゃあまるで統合失調症だ!」
「お兄ちゃん、心の目で見て! そうすれば幻に惑わされないよ」
「ナイスアドバイスだユキ!」
僕は目を閉じて精神を統一した。
「ひょひょひょ! そんなのは焼け石に水である! 吾輩の幻術は完璧である!」
僕は目をとして精神を集中させることで、メフィストの居場所が直感的に分かった。
「そこだ! ファルティネーション・アーヴァンクル・ストラッシュ!」
ずばっ!
「ぎゃああああああ! 吾輩の幻術が破れるとはああああああ!」
メフィストは大量のどす黒い血を吐いて倒れた。
「ふっふっふ、メフィストを倒すとはなかなかやるな。ちょっとは腕を上げたようじゃないか」
「今度はお前を血祭りにあげてやる!」
僕は剣をキヨハルに向けた。
「お前に俺が倒せるかな?」
キヨハルが椅子から立ち上がった。手にはまがまがしい闇のオーラをまとった剣が握られている。
僕とキヨハルは対峙してにらみ合った。正真正銘のラストバトルが幕を開けるのだ。