33 サキュバス玲子の誘惑
魔王城の中を進んでいくと、巨乳の女が行く手に立ちはだかった。
「ここから先へは通しませんことよ!」
スーツを着て、スイカのような巨大な乳房を所有した赤い三角眼鏡の美女が仁王立ちをしている。
「お前は何者だ?!」
「あたくしは魔王キヨハル様に仕える四天王のひとり、サキュバスの玲子ですわ!」
「サキュバスだって!? 大人の色気が半端ないな!」
短いタイトスカートから延びる網タイツに包まれた足は、扇情的に男の欲望を掻き立てる。真っ赤なハイヒール、手にはムチを持っている。
「あたくしの前にひざまずきなさい!」
「うぐっ……か、体が勝手に……!」
「お、お兄ちゃんしっかりして!」
僕は自分の意志とは関係なく、体が勝手に動いて玲子の前にひざまずいてしまった。
「ほほほほほほ! すべての男はあたくしのとりこになるますのよ!」
ぺちん、ぺちん! 玲子はムチで僕をひっぱたいた。痛いはずなのになぜか僕の心は快楽を感じていた。
「女王様とお呼び! 女王様とお呼び!」
「じょ、女王様……もっと、もっと打って!」
僕はよだれを垂らし、女王様のハイヒールをぺろぺろとなめた。
「ああ! お兄ちゃんが誘惑に負けておかしくなってる。こうなったら私がなんとかしないと!」
「女王様とお呼び! 女王様とお呼び!」
「あひん、あひん! き、気持ちいいい!」
「お兄ちゃん、正気に戻って! 特大火炎魔法、ライジングサン!」
ユキがそう唱えると、手のひらから巨大な火の玉が出て僕の全身は炎に焼かれた。その耐え難い灼熱のおかげで僕は正気を取り戻した。
「はっ! ぼくは今まで何をしていたんだ?!」
「お兄ちゃん、正気を取り戻したんだね!」
「お前のおかげだユキ! 危うく相手の術中にはまるところだった!」
「くそ、もう少しで完全にとりこにできたのに!」
「キヨハルに味方する奴を許すわけにはいかないんだ。くらえ!」
ぐさっ!
「ぎゃああああああ! 魔王様に……栄光……あ……れ……ガクリ」
玲子は力尽きた。
「恐ろしい敵だった」
「これで四天王は3人倒したから、あと一人だね」
「うむ、あと一人はあのメフィストだ。メフィストを倒し、キヨハルを倒すぞ! ……ところでユキ、僕の髪の毛どうなってる?」
「アフロヘアみたいになってるよ」
「そうか、まあ、ちょうどイメチェンしようと思ってたからちょうどいいぜ」
僕たちは玲子の死体をまたいで先へ進んだ。