Chapter1 †The fate begins to move† 記憶の底
鐘は一度なったきりピタリと止まっといた。
鐘突き塔の位置は修道院全体に響き渡るよう丁度真ん中に位置している。
修道女たちは皆鐘がなったのを不信に思い、皆金突き塔に集まっていた。
鐘突き塔の中はそれなりに広く、皆順に中へ入っていく。
そして、ノアも修道女たちに続き中へ入ろうとしていた。
《待って》
ノアの腕をアシュレイがつかみ制止した。
「どうしたの?」
ノアはアシュレイの方を振り返り彼女の顔みた。
アシュレイからはさっきまでの困惑は消え、鐘突き塔とは別の方向を見ていた。
《こっちよ》
アシュレイはノアの腕を引き、修道女たちの波を横切って、鐘突き塔の入り口とは少し外れたところへ行った。
「一回鐘突き塔の様子を見に行かなくて良いのか?」
《えぇ・・・そよりも行きたいところがあるわ、着いてきて》
アシュレイはノアの腕を放すと、歩き出す。
ノアは鐘突き塔のようすが気になったが、いくら自分より年上とはいえ、彼女を一人にするわけにもいかないと思い、アシュレイについていくことにした。
修道女たちは皆鐘突き塔に向かっていたので少し外れたところはとても静かだった。
《・・・》
「アシュレイ?」
《この辺ね》
「・・・」
鐘突き塔から少し離れたところ、建物の影になっていて月明かりは射し込まず、人が滅多に来ることにない場所だった。
そこに、小さな古びた小屋があった、誰がなんのために建てたのかはわからないが、しばらく人が使っていた形跡はない。
「アシュレイ、ここって・・・」
ノアはその小屋とアシュレイを交互に見た。
《覚えてる?》
「・・・いいや」
ノアは首を横に振った、それを見たアシュレイは少し残念そうな表情をした。
《小さい頃二人で来たわ》
「あぁ・・・」
ノアはもう一度小屋を見る。
しかし、彼が思い出すことはない。
何にも執着を持たなくなったノアは、自分の幼い頃の記憶も覚えていなかった、遊んだ記憶などなおさらだ。
《行きましょう》
「え・・・」
アシュレイはノアに構わず小屋向かった、ノアもそれにつられて歩き出す。
ギッ・・・ギギィ――――・・・
扉を開ければ、木のきしむ音が響く、小屋の中は暗く埃っぽい。
床を踏めば、今にも抜けてしまうのではないかと思うほど酷く軋んでいる。
アシュレイは迷うこと無くひとつの場所を目指して歩いていく。
ギシ―――・・・
アシュレイは部屋の端までいくと立ち止まる。
彼女の前には彼女の乃腰ほどある高さの埃を被った本棚があった。
「・・・本棚?」
アシュレイは前にある本棚に手を置き頷いた。
ノアもその本棚を見てみるが、特に変わったことはない。
《ノア、ちょっとそっち側持ってくれる?》
「え、あぁ」
そう言ってアシュレイは本棚の右を、ノアは左側にそれぞれ立つ。
《持ち上げて、この場所からどかしてほしいの、いい?》
アシュレイは音にはならない声でノアに尋ねた、ノアはそのまま無言で頷く。
《じゃあ、このまま前にずらして・・・せーの》
ガタンっ・・・
二人は同時本棚を持ち上げた。
そのまま前へ本棚をずらす。
《・・・あった》
本棚の下は誇りが無く、周りの床とは色が違った。
「・・・!!」
そして、その埃をかぶっていない床を中心に四角く周りに切れ目のようなものが見えた。
どうやら本棚はそれが見えないように隠していたらしい。
アシュレイはその場にしゃがみこみ、四角い切れ込みの間へ指の先を引っ掛け一気に持ち上げる。
ガコ・・・ガコン
音を立てて板外れ周りの埃が舞い上がり煙たくなる。
「・・・風が吹いてる」
板が外れるとそこの見えない空間が広がっている。
中からは風が吹き抜けている、風が吹いているということはどこかにつながっているのだろう。
《この先に行けば鐘が何で鳴ったのか分かるはずだわ》
アシュレイはそのまま空間の奥を見つめる。
しばらく見つめていると目が慣れてきた、さっきまで暗くて見えなかった階段が見えてくる。
どうやらこの階段で下に下りるようだ。
「こんなところがあったんだ・・・」
この小屋の存在はノアも知っていたが、入った記憶も無く、こんなところに地下に通じる通路があることなど知るはずも無かった。
「行ってみる・・・か」
《えぇ・・・》
ノアが先に穴の中に入り、その後にアシュレイも続く。
開けてはならない
パンドラの箱
閉めてはならない
パンドラの箱
最後に残るは真実だから・・・
書いている本人が続き気になっている・・・^^;
この小説二人で書いているので、続きがどうなるのかまったく分からない状態です(笑)
皆さんにも楽しんでいただける小説になっていけば幸いです!
感想お気軽にどうぞ^^
著者 イブノア