Chapter1 †The fate begins to move† 水晶、光、輝き、反射
輝く水晶は光を反射させ輝く それは美しい
光の無い水晶は輝く事は出来ない それは美しくない
それでも私はどちらも愛しましょう
双子を呼びに行かせてからまだそう、時間は経っていない。
窓の外に目線をやりながら、微かに肩についたセミロングのオレンジの髪を指に巻き、弄んでいた。
外は曇天で暗く冷たかった。
窓縁に肘をつきながら椅子に座り、窓を眺める。
「う~ん、今日はお日様が見れなくて残念ですね~」
そう呟き残念そうな顔をして俯く少女は顔を上げると手を前に突き出し軽く伸びをすると勢いよく椅子から立った。
「でも暗雲の空も好きです」
さっきまで見せていた残念そうな表情とは反対な笑顔を見せ窓の方へと向き独り言を話した。
その直後、ドアを叩くノックの音がする。
「「アン=フォン=ハーディスお嬢様、ただいま参りました」」
礼儀正しく扉の向こうから重なりを響かせ声が聞こえる。
「エボニー、アイボリーどうぞ入って来てください」
微かに弾んだ声で扉の向こうに語りかけると、扉が開き、顔がそっくりの金髪オッドアイの二人が部屋へと入ってきた。
「「アンお嬢様何か御用でございましょうか」」
お辞儀をしながらエボニーとアイボリーは声をそろえた。
さすが双子、と感激してしまいそうなくらいお辞儀も言葉も揃っていた。
「そんなにかしこまってもらわなくても良いですよ」
何が嬉しいのかアンは顔に笑顔を湛えていた。
その言葉を聞くと双子は頭を上げ、そして彼らの顔にも笑みが浮かんでいた。
そんな上機嫌な双子はさっきの言葉とは口調を変えていた。
「で、アン嬢僕らに何の用?」
ずいぶんと砕けた口調で語りかけてくるエボニー。
アンはその事はあまり気にしていないようだ。
「これから街に気分転換でもしに行こうと思いまして」
双子はその言葉を聞くと呆けた顔をした。
「「・・・・・・」気分転換、てこんな雨の中を?」
アイボリーはどうにか沈黙を破り、自分たちの斜め後ろにある窓を指す。
確かに窓から見る空は暗雲立ち込める空だ。
だがアンは笑顔のまま首を縦に振った。
普通ならば散歩等は晴れた日にやるものだ。
暗雲立ち込める湿った日に外に出て気分転換が出来るなどとは人それぞれでもあるがほとんどのお人がそうは思わないだろう。
「アン嬢、さすがそれは私たちも引くと思うわ」
「て言うより現在進行形で引いてるんだけど」
双子は主である人に構わずそんな言葉をかける。
「いいんですよ、私は晴れも雨も好きなんですから♪」
楽しそうにそんな言葉をこぼしながら部屋を歩く。
「だから貴方達に護衛を頼むために呼んだんですよ」
アンは双子の方へ向き直り簡単な言葉にした用件を言った。
エボニーとアイボリーは用件こそ予想はついていたが、まさか本当にこの雨の中を出かけるとは思っていなかった・・・しかも散歩で。
だが断る意味も無いし、主からの命令だ。
「ここに居ても暇だし」
「何が起こるか分からない楽しさがある方が」
「「面白そう」」
二人は顔を見合わせ笑うと頷いた。
「では雨のピクニックへと参りましょう」
アンの陽気な声が響く。
水晶に映る自分
水晶に反射する貴方
ガラスすら光を受け輝くのに
輝くことの無い水晶
はい、なんか痛い人が出てきてしまいました(汗
アンさんは天然じゃないんです!! ちょっとおかしい人なんです!!
ただそれだけなんです(涙
それとアン嬢って発音難しくないですか?
だからそこは適当に読んでもらってかまいません