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Chapter1 †The fate begins to move† 赤を映す刃

つるぎの銀に映るは・・・


クルーネ牧師様が失踪してからすぐに総動員で捜してみたがやはり私達が捜す限りでは見つける事が出来なかった。

だからこそ何時ものようにノアに捜索を頼むしかなくなり、今一人のシスターが頼みに行った。

街は裏道も加えると複雑怪奇とっていいほど入り組んでいる場所もあるし、私達等が入る事の出来ない場所もあるせいで、何時もノアに頼んで捜してもらうしかない。

そして暫くすると黒髪の少年が礼拝堂の方から出て来た、彼が何時もクローネ牧師捜索で駆り出されているノアだ。

彼の方は私に気づいていない様だ。

傘も差さずに出て行こうとしているところが心配だが、注意して聞くような性格では無い事を知っているので無駄に声をかける事はしなかった。

ノアが街へと歩いて行くのを見送った後、部屋へと歩みを進める。


部屋へと向かう途中にドタバタと急がしそうに行ったり来たりを繰り返す人々とすれ違っていく、私がクルーネ牧師様が見つからないと判断して一人の女性にノアに頼んで来るようにお願いしただけなのでこちらではまだ解決していないから捜しているのかもしれない。


「アシュレイ!!」


そんな忙しそうに行きかう人々を見ながら声を掛けられそちらの方を見ると小走りで一人の修道女が此方へ向かって来た。


「やっぱり大勢の人で捜しても見つからないわね」


ノアに捜索を頼んできてもらった修道女だ。

アシュレイは首を縦に振る。


「彼に頼んできて大丈夫なの?」


アシュレイは苦笑いを浮かべながら頷いた。

そんな言葉を聞きながら歩いていると部屋の近くまで来てしまったのでアシュレイはその修道女にお辞儀をして別れ、部屋へと歩いていった。



森の中、雨の中、一振りの刀を持つ赤の髪と目を持つ女性が居る。

ノアを見送った後一度部屋に帰り、形見のような一振りの日本刀を持ち、はずれの森へときた。

傘を差していないのは森の中だからこそ、木が雨を遮ってくれると思ったからこそなのだが、あまり木は雨を遮るような事は無かった。

これでは私も人の事を言えないな。

そして、ただただ日本刀を見つめる。

柄を握り、さやを握り、鞘から刀を抜く。

刃と鞘がこすれる様な澄んだ音が聞こえる。

刃の側面には複雑怪奇な模様が刻まれ、文字の様なものもある。

そして今握っている柄には刃とは違う模様の文字、それ以外はいたって普通の刀だ。

済んだ刃が輝く刀でしかない。


自分と同じ場所にあった刀。

捨てられたときに一緒にいた物。

拾われた時にそばに置かれていた得物。


修道女がこんな物を持っているのは神にも反しているのかもしれない。

それでも私の生まれの意味はこれしかない。

だからこそ大切にしている。

意味が無くとも・・・。

私は口をうっすらと開け、空気を吸い込む。

だが空気を吐き出したときにはこえは出なかった・・・出すことが出来なかった。

一人ならば一人で喋る事だけでも出来ればいいのにそれすら出来ないから、孤独を絶対的に感じてしまう。

そして空を見上げれば、降っていた雨は止んでいた。

そろそろ戻ろうと修道院へと歩みを進める。




    銀の刃に映るは自分自身





                銀の刃に映るは感情





              紅の刃に映るは私





 

                             紅の刃に映るは狂気







                      (あか)の刃に映るは・・・








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