叔母が選んだバイオリニスト
叔母の提案は、いつも気まぐれだ。
度、振り回されたか、わからない。
母親も、同感しているが、父親の妹だから、遠慮して言えない。
可愛い妹に見えるのか、父親は、叔母に甘い。
澪も、叔母の事は、あまり好きではないが、子供がいない事もあるし、叔母の夫が自由奔放で、迷惑をかけているのを知っているから、大目に見ていた。
叔母は、澪が、モデルとして、活躍し、雑誌に取り上げられ、会社の業績を伸ばしている事で、少しずつ、澪を認めてきていた。
モデル事務所・・・と言っても、障害者限定では、あるが、経営者になった時は、反対した。
「障害あるから、絶対、無理」
「それは、今まで。これからは、変わるの。個性の時代なの」
「あなたに、何ができるの?結局、最終的に、兄さんに頼るんでしょう」
「そんな安易な気持ちで、言っているんじゃない」
結構、激しい言い合いをしたが、翌日、叔母は、言葉を変えてきた。
「やっぱり、澪の言う通りね。時代は、変わって行くのね」
事ある毎に、反対していた叔母が、音楽事務所を一緒にやりたいと言ってきたのは、意外だった。
「叔母様、音楽に興味があったの?」
「そうじゃないんだけど・・」
叔母は、少し、はにかんだ。
「ファンになった子がいてね。この度、一時的に日本に帰国する子がいるの。期間限定だけど、活動するのに、受け皿になってくれる所を探してて・・・」
叔母は、極端に、入れ込む。
韓流やら、華流やら。おそらく、その類と思って、澪は、首を縦に振った。
これで、叔母が、機嫌良くなるなら、アジアに目を向けても、いいのかもと。
「最初の1人は、私に任せてくれるの?」
叔母は、目を輝かせた。
「欧州に行った時に、友人の紹介で、彼にあったの。もう、若いのに、才能に溢れてて・・・」
「欧州?」
澪は、自分が、思っていた内容と違う事に気がついた。
「そうよ。ドイツよ。素敵だった・・・あの子。若いのに」
「若い子?」
「バイオリニストよ。私、音楽好きなのよ」
「バイオリニスト?ですって?」
「そうよ。何か、ある?」
叔母の気に入った子が、バイオリニストと聞いて、何故か、海の顔を思い出すのだった。




