表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/173

絡み合う運命の歯車とバイオリンケース

差し出された手を重ねた榊は、何とも言えない、感覚に襲われていた。

「どこかで・・」

言いそうになって、口をつぐんだ。

逢っている訳ないか。こんなに若いんだ。

「一度、紹介したいと思っていたのよ」

萌の声は、弾んでいた。

「ほんの少ししか、時間がなかったの。無理して、来てもらったのよ。パパ」

「時間がないのか、すまないな」

無理してまで、逢いにくる事ないのに。

榊は、ふと思った。

丁度いい、逸材は、見つけてある。

自分がこれから先、一緒に仕事を行いながら、育てていきたい存在。

この子は、若すぎるじゃないか。

「一度、逢って欲しいの。」

萌にせがまれ逢っただけだ。

近くで、ライブがあるらしい。

その合間を縫って、合わせてくれたらしい。

「思っていたのよ。海にあった時。そう、あのシーイに逢った時、誰かに雰囲気、似てるなぁ・・って、思っていて」

萌の表情は、恋する乙女だ。

「海外で、一緒にライブをした事のある、この子に似てるって、思い出したの」

「全く、瞳の色も違うし、顔立ちも違うと、パパは、思うけどな」

「彼のバイオリンを聴いてみて」

鼻息の荒い萌に押し切られた。

こうして、逢って話をしてみると、萌の話が本当なのか、イメージがつかなかった。

持っているバイオリンケースがあるから、バイオリンを弾くのか・・・と思うくらいで。

「どうしても、逢ってくれと、萌姉さんに言われて」

「姉さん?」

榊は、吹き出した。

「いや・・・一緒にライブやった時に、何かと、お世話しちゃったみたいで」

萌は、笑った。

押し切る姉御肌は、海外でも、継続していた。

「日本語、上手だな」

榊は、感心した。

「父親の祖国が、日本なんです」

「日本?」

「父親もバイオリンは、弾いていたんですが・・・」

「お父さんて?あの」

榊は、体の中の血液が逆流するのを感じた。

「世界的バイオリニストで、若くして、この世を去った?」

「四条 光瑠の忘形見よ。パパ。逢いたかったでしょう?」

「えぇ?」

榊は、驚きと喜びで、一杯になった。

「彼には、たくさん、お世話になったんだ。まさか、日本で逢えるなんて・・・。まさかだよ」

「パパが、喜ぶと思って、日本に来たら、絶対、驚かせてやるって、決めていたの」

萌は、満足げだった。

「パパは、四条光瑠を、忘れた事がなかったからね」

「亡くなるには、早すぎたよ。彼は・・・」

そう言いながら、蒼の持っているバイオリンケースに目を落とした。

「もしかして、それは、彼の使っていたバイオリンケースかい?」

「はい。愛用していたケースを使っています。」

榊には、カースの上にある「S」のイニシャルに目を落とした。

「中のバイオリンを見せてくれないか?」

「いいですよ」

ケースを開けた瞬間、蒼の顔色が変わった。

「え?どういう事?」

ケースの中のバイオリンが全く、別の物に変わっていた。

「どうして?ケースは、同じなのに・・・」

榊と萌は、顔を見合わせた。

「ケースが2つ逢って、取り違えたんんじゃ・・・」

「いえ・・・。僕が、持っているのは、このイニシャルのケース、一つだけです。でも、よく見ると、このケースも、僕のじゃない」

蒼は、動揺していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ