表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/173

手が届きそうになると、すれ違う

澪は、自分がモデルを行いながら、新たな挑戦を考えていた。

「止めなさい。僕は、反対だ」

何でも、やってみなさいと言っていた父親が珍しく反対した。

「あら、小さな事務所なんでしょう。やってみたら、いいんじゃない?」

珍しく父親の妹。叔母が賛成した。

「失敗しないでね。あなたと兄さんに何かあったら、私が継ぐんだから」

冗談とも取れない発言をし、澪は、吹き出しそうになる。

叔母は、以前から、父親の会社に興味がある。

元々、父親は、その親から、会社を引き継いだ。

叔母も、小さな会社を任されており、医療機器の会社という事もあって、経営は、順調だ。だが、夫の投資癖もあり、多額の借金を抱えている噂もあり、澪は、叔母が嫌いだった。

何かと、自宅に押しかけ、父親の会社に口を挟む。

澪が、モデルを始めた時も、成功を一緒に喜んでくれた。

障害者支援も手伝って、澪のモデル事務所には、何人かの視覚障害者が、登録するまでになった。

だが・・・。

どうも、叔母の行動は、不可解でしょうがない。

信用できない。

澪が、経営の相談に、父親の会社を訪れると、不思議と叔母が現れる。

どこかに、スパイでも、いるような気がする。

「芸能事務所を立ち上げたいなんて、凄いじゃない?」

叔母の鼻息は、荒かった。

「澪ちゃん、出版会社の社長さん達も、知ってるし、メディアにも、顔が繋がるから、いいかも知れないわ。誰と契約するのかしら」

叔母の妄想は、止まらない。

「芸能事務所なんて、できる訳がない。モデル事務所を、続けられるのも、今のうちだ。いつまで、続くか・・」

「視覚障害のある人に、働く場所を与える事は、続けるつもりよ。今、行なっているのが、モデル業だっただけ。サロンのエステだって、今も、昔も変わらない」

澪は、思わず、ムキになった。

シーイの声が変わった。

よからぬ話も、聞いている。

歌の世界で、生きていくのが辛いなんて、矛盾すぎる。

彼の声は、何人もの人を癒す能力があるのに、今の声は、抜け殻だ。

彼を助けたい。

自由に、昔の様に、歌を堂々と歌わせたい。

自分ができる事は、協力したい。

「パパが、協力してくれなくても、私の力でやってみる」

「あら、澪ちゃん。企画室の女の子達だけでは、無理じゃないの?私の知り合いを紹介しようか?」

「結構です」

自分で、糸口を探るだけ。

父親とも、叔母とも揉めて、憂鬱な日を送る中、テレビで、海が、バイオリンを弾くのを聞いた。

ピアノとのセッションだった。

「ここは・・・会社から近い・・」

昼は、カフェ。夜は、ピアノバーだった。

「歌だけでもなく、バイオリンもお上手なんですね」

司会者が、世辞を言っていた。

海の声が弾んでいた。

やっぱり、バイオリンが、彼の支えなんだ。

澪は、思った。

彼は、歌を続けたい訳ではない。

そして、彼と被るように、話す女性の存在が気になった。

彼女の声が、彼の声に絡んでいたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ