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追い詰められるバイオリニスト

シーイの声が変わった。

あの生き生きとした日差しに輝く若葉の様な色を持った声色が、枯れていった。

「何があったの?」

澪は、自分からは、連絡しないと決めていた携帯を手に取った。

他人には、言えない何かが起きている。

彼の心が泣いている。

そんな気がした。


寧大は、どこでも、生きていける。

お金と女性に汚いが、この世界は、寧大には、住みやすい世界だった。

「お願いします!」

どこに行っても、明るく挨拶し、誰にでも、取り入る才は、この世界で、大いに発揮できた。

女癖が悪いだけではない。

寧大は、女性が好きなのではない。

シーイに、海に似た女性が好きなのだ。

この世界で、派手で、目につく寧大の影で、シーイの存在は、その手の男性達が、興味を惹いていた。

「あいつ、俺がいないとダメなんで」

気落ちが、大きくなってた寧大は、どこでも、海の事をそう言っていた。

寧大がいないとダメなシーイ。

そんな事はない。

だが、そう含みを持った言い方に誤解が生じていった。

「寧大さ。いつも、一緒にいる・・・えっと。シーイって言ったけ?」

その筋では、有名な歌手のMが声を掛けてきた。

「シーイですか?」

寧大は、返事した。

大先輩で、新人の寧大達が、声をかけてもらうなんて、滅多にない。

「なかなか、綺麗な男の子だよね。君とは、また、違って」

何が、言いたいのか、わかったが、寧大は、話を逸らそうと

「あぁ・・あいつは、気が利かなくて、一緒にいても、つまらないですよ」

「君がつまらないって、言うのは、関係ないよ」

Mは、寧大の手を取った。

「一緒に、遊びに来ないか」

「一緒にですか?」

「途中で、君は、帰ってもらうといいから」

「それって・・・どういう?」

「君も、彼が好きで、そういう間なんだろう?」

「違います。彼には、ちゃんとした・・」

恋人が居て。と言おうとしたが、それがタブーと、剣崎に言われているのを思い出し、黙った。

「大丈夫。二人で、話をしたいだけなんだ」

ここで、断ったら、Mに嫌がらせをされるだろう。

かと言って、自分の大事なシーイを酷い目に合わせたくない。

「誰に、相談しても無駄だよ。逆に、僕の友達になれば、怖る事は、ないよ」

Mは、寧大に、メモを渡した。

「ここに来て、待っていると」

メモを受け取った寧大は、それが、何を意味するのか、わかっていた。

振り向く後ろで、シーイはスタッフ達と、何かを打ち合わせをしていた。

「ほんのちょっと、話をするだけだから」

Mは、上機嫌で、寧大の肩を叩いて行った。

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