作られた偶像だけが、先に
僕が、澪や寧大と話しあって居たその頃、
花子の所や正確に言うと育ての親の店。
僕が関わる所へ、ファンを名乗る人や、話題を探すTV局の人が押しかけていた。
「どこにいるの?」
花子が、何度も、メールを送っていたが、僕は、気が付く事はなかった。
花子とは、距離を置こうと思っていた時で、僕を心配するメールを読む気はなかった。
「やっぱり、血は争えないか」
その時、僕の義兄に、育ての父親は、ため息を吐いたとか。
「なるべく、親の事は、思い出させたくなかった」
育ての母親が言った。
「あの人は、あなたの母親。つまり、自分の妹を可愛がって居たから、あなたを見ると、苦しめていたあの人を思い出したんだと思う」
後から、知った話だった。
当然、僕の住んでいた店にも、シーイ目当ての客が増えた。
知らない間に、僕の居場所がなくなっていった。
「今は、帰ってこない方がいい」
義兄が、連絡をくれた。
「ちょっとした、騒ぎになっている」
「困ったな」
「親戚の家に行くか?」
「いや・・・。迷惑かけるから」
僕は、義兄に迷惑を掛けた事を誤った。
シーイ=僕。だとして、皆は、僕に何を求めていんだろう。
「彼のした事は、重大ね」
澪が、ため息をついた。
「普通で、居られるから、できた事なのに・・」
「遊びの終わりなのかな」
「どこにも、逃げられなくなったシーイを寧大は、どうするつもりだったのかしら」
「え?」
「どこかに、閉じ込めて、独り占めしたかったのか、誰かに渡したくないから、更に高い場所に上げてしまったのか。手の届かない所にね」
「まさか・・・ただ、黙っていられなくなっただけだろう」
「お人よしね。このままだと、自分の居場所が、無くなってしまう」
僕は、澪の顔を見た。
「だったら・・・ね。撮影スタッフとか、連れて来ているんだよね」
「そうよ、あなたが、予定を入れてくれなかったから、空振りになったけど」
「機材もあるし」
「まさか?これから?」
「そうだよ。僕が歌う。モデルは、澪。やってみない?」
「いや・・・無理。私は、無理よ」
「いい機会だよ。澪。やってみようよ」
「だって、歌は、どうするの?新しい曲を載せるっって・・・聞いていたし」
「大丈夫。アカペラで、いくよ」
「え??」
正直、自信がなかった。けど、帰る場所もない。ここまで、騒がれているなら、これを、使って、澪のデビューを飾ろう。
僕は、寧大が、思い詰めている事も知らず、澪のモデルデビューに一役買う事に、心を躍らせていた。




