彼の思いが色で、見える
澪は、部屋に入ったきり出てこなかった。
僕は、寧大と話す必要があった。
どうしてなのか。
どうして、シーイのコピーをたくさん計画したり、
世の中に出そうとしたり、
全て、暴露したり。
どうしてなのか。
知る必要があった。
僕の相棒。
そう思ってきた。
話せば、解決できるのか?
そうは、思わないけど。
彼の気持ちを知りたかった。
僕の音楽性とか、私生活とか、全てを曝け出して、
君は、何がしたかったのかと。
「逢いたかったんだ・・・」
しばらく、爆睡した後、寧大は、冷たい水を一気飲みするとそう言った。
「海。俺にとって、なくては、ならない。片割れなんだ」
「寧大。言っている事がわからないよ」
「ずっと、モヤモヤしていて。お前がそばにいるのが、当たり前になっていた。いなくなって、わかったんだ」
「寧大。相棒として、大事にしてくれるのは、わかる。けど、君がした事は」
「どうかしていたんだ・・」
「どうかしていたって・・」
寧大は、両手で、顔を覆った。
「どうしても、お前が離れて行くって言うなら」
「いやいや・・・おかしいでしょ」
僕は、寧大を覗き込んだ。
「衛大。わかっているか?もう、この瞬間にも、もう一人のシーイが、一人歩きし始めている。僕の知らない所で、いろんな事に巻き込まれていくんだ。考えた?」
「海・・・絶対、離れないで居てくれるか?」
「寧大。友達だもの。側に居るよ」
「違うんだ。そうでないんだ」
寧大は、頭を抱え込んだ。
「違うって?」
その時の僕には、寧大が何で、悩んでいるのか、わからなかった。
その時、他の部屋に待機していた澪の後輩が、戸の隙間から、手招きしているのが、わかった。
「寧大。少し、待ててくれる?」
「すぐ、戻ってきて」
「わかった・・・」
僕に縋りつきそうな寧大を置いて、部屋を出ると、
「先輩が、呼んでます」
澪の後輩が、そう言って来た。
「僕に?」
「外で、待っています」
澪は、外で、僕が来るのを待っていた。
「どうしても、伝えておいた方がいいと思って」
「何?大事な事?」
澪が思い詰めた顔をしているので、僕は、聞いた。
「言いにくいけど・・・伝えないといけないから」
澪は、躊躇いながら、話し出す。
「彼は・・ね」
澪は、困っていた。
「何を言っているのか、よく、わからなかったけど。さっき、部屋を離れるときに、少しだけ、見えたの」
「何が?」
「私は、声を色で、感じる事が出来るのは、知っているわね」
「あぁ・・」
この先、言う事が、理解できなかった。
「彼は、友達以上の感情を持っている。それは、あなたを束縛したいって事よ」
「はぁ?」
「これは、真剣に考えないとイケナイレベルよ」
外で、言葉を選びながら、慎重に話す澪だった。




