奇妙な関係
そこに、現れたのが、寧大である事が、意外だった。
「どうして、ここに?」
口々に、叫びながら、僕らは、寧大をコテージの部屋に寝かせた。
理由は、こうだ。
音夢と、揉めた寧大は、思い余って、シーイの素顔を公開してしまった。
今までの、活動の裏も、全て、曝け出してしまった。
僕を逃れなくさせる為だったらしい。
音夢は、僕の身代わりである事で、怒り心頭だった。
責められて寧大は、自分の気持ちの底にある、何かに気付いたらしい。
僕の行き先を追いかけてきたが、途中、道路が閉鎖されて行けないので、車を乗り捨てて、ここまで、歩いて来たらしい。
食べる事も、飲む事も、惜しんで来た彼は、脱水状態だったが、少し、眠ると、すぐに起きて、僕を呼んだ。
「行かないで欲しい」
別の部屋で、過ごしていた澪は、僕に、そう言った。
「よくわからないけど。濁った水に、飛び込んで行くようなものよ。もう、彼とは、終わったの」
「うん・・・わかっているよ」
僕は、心配する澪の手を取った。
シーイの偽物の件で、澪は、寧大を警戒していた。
「彼とは、何度も、喧嘩してここまで来た。本当に、もう、これっきりと思った事は、何度もある。」
「何度もあるって、事は、離れた方が良かったのでは?結局、シーイの才能で、持っていたんじゃないの?」
僕は、言葉に詰まった。
澪は、彼をよく思っていない。
「澪。彼は、僕にたくさん、機会をくれた。音楽のセンスだってある。ただ・・・ただ・・・行動が、無計画すぎるだけで」
「無計画だから、シーイのお陰で、持ったのよ。彼とは、離れた方がいいわ」
「澪。彼は、友達なんだ」
澪の言葉を塞ぎたくはなかった。が、ここは、認めてほしかった。
「シーイも、彼が居たから、生まれたんだ」
「海は、優しすぎる。」
澪は、機嫌が悪いのか、僕の手を払った。
「寧大は、あなたを危険に晒す。私には、わかるの」
もう一度、口を開こうとしたが、奥から、寧大が呼ぶので、
「少し、待って」
澪を抱き寄せた言った。
「あれ?そんな仲だったんですか?」
後輩の女の子が、そう言うので、
「知らなかった?」
僕は、寧大が、水が飲みたいと訴えるので、ペットボトルを手に取った。
「少し、話てくる」
シーイを暴露した本当の理由を寧大に聞きたかった。
そして、これから、僕らは、どうしたいのか?
別の道を歩く。
一時は、そう言っていたよね。
最初から、別の道を歩いていたんじゃないか。
僕らは、楽しく、歌い、演奏し、毎日を過ごしてきた。
それだけじゃ、なかったのか。
「海・・・」
澪が、呼んだ。
「あなたの声は、雪の様に白い。そう、氷の様に見える」
そう言うと、澪は、奥の部屋に戻ってしまった。




