偏愛過ぎて、壊れる関係
音夢。
寧大に、シーイの声に似ていると、声を掛けられ、家出同然で、現れた。
「田舎から出てきた」
寧大には、そう言っていた。
どう見ても、そうは見えず、大人びて見えた。
普段の話し声も、女性というよりは、男性に近く、ハスキーな声は、確かに、寧大好みだと思っていた。
僕も、寧大の好みだと思っていた。
寧大は、花子もそうだし、次から次へと、付き合う女性を変えていたから、音夢を見た時も、その中の一人だと思っていた。
だから、あの暴露事件が、寧大ではなく、音夢がした事だと、後で聞いて驚いた。
「私は、誰の代わりなの?」
音夢は、逆上した。
寧大は、僕とは正反対のタイプで、どこか、擦れた感じが、女性を惹きつける。音夢は、自分の学業も、全て、投げ出して、寧大に溺れていった。まだ、未成年の彼女が、寧大に溺れていくのを、親が、気づかない訳がなかった。居場所を突き止められ、引き離されたが、音夢は、諦めなかった。口実をつけて、寧大に会いたがり、姉妹には、寧大が逮捕されるまでに至った。
彼女は・・・。
有名俳優の娘だった。
寧大は、とんでもない人の娘に手を付けていた。
「誰かの、代わりという訳ではない」
寧大は、自分の気持ちに気付いていた。
音夢は、知っている。
自分が、誰を見ているか。
ここで、引き下がり、音夢と一緒に過ごすのも、いいだろう。
音夢と一緒にいる時は、夢を見る事ができる。
「私は、知っている。あなたが好きなのは、シーイって事を」
「何言ってる?」
「誤魔化さないで。認めてよ。」
「シーイは、男なの、知っているだろう?」
「そこに、縛られているのは、寧大だけ。そこを認めない限り、同じ事を繰り返すのよ」
寧大は、自分の思いを見抜かれて、呆然としていた。
「それでも、私は、構わない。一緒にいたい」
「音夢・・」
音夢の両親が、寧大と逢う事を快く思っていなかった。この時も、寧大は、音夢としばらく距離を置く話をしていた。
「認めれば、君の気持ちは、落ち着くの?」
「落ち着かない」
誰かの代わりに、愛されるなんて、まだ、未成年の彼女には、酷すぎる。
「それなら・・・」
「でも、別れない」
音夢は、寧大と離れたくない。
「私が、本当に、彼の代わりなのか。考えて」
「どういう事?」
寧大は、何を言われたのか、全く、頭がついていかなかった。
ただ、興奮した音夢が、部屋を飛び出していった事だけ、理解できた。
翌朝、寧大も、彼女が何をしたのか、知る事になる。




