危険な娘、音夢
寧大が、連れてきた娘は、音夢と言った。
僕の見た通り、まだ、高校生。
自称、20歳と話した事を信じて逢った、寧大。
厄介ま事に巻き込まれると思った。
「シーイの声真似。得意なんです」
あの日、直接、彼女と会うまでは、ズームぐらいでしか、逢った事はなかったらしい。
あの数時間前に、生の声を聞いて、これだ!と、思ったとか、思わないとか。
普通の高校生なら、まだ、良かった。
「シーイと一緒に活動できる」
寧大は、そんな勝手な事を言って、誘ったらしい。
彼女は、某企業の社長令嬢だった。
一緒に活動する為、家を飛び出した彼女は、親から、捜索願いを出され、一時、寧大は、未成年者掠取の疑いをかけられた。
危うく、僕まで、巻き込まれそうになったけど、彼女の嘆願で、誤解は解け、寧大は、社会に戻ってこれたけど、厄介なお荷物を抱える事になった。
「約束だからね」
突然、定期的に顔を出す事になった。
「そういう事になったから」
「いや・・・僕ら、別の道を歩くんじゃ・・」
僕は、断った。
寧大の夢と僕の夢は、違う。
そう言って、別れたんじゃ・・。
「確かに、お前と俺の夢は、違う。シーイの件もそうだ。だけどな」
寧大は、濃い眉毛を八の字にして、懇願する。
「お前と、活動させる事が、条件だったんだ」
「それは、虫がよすぎるよ」
僕は、突然、掛かってきた携帯を怒りのあまり、落としそうになった。
「1回だけでも、いいから、一緒に出てくれよ」
「寧大。僕も、契約があるし」
澪のサロンのCMを受ける事になったと、告げた。
「だよな。シーイの名前は、伏せて、自分の名前で、出るのか?」
「まだ、考えていない」
「声で、わかるよな。熱心なファンはさ。あの娘も、お前に逢いたかったんだと」
「それを利用したんだから、寧大が悪いよ」
「俺なりに、売れる方法を考えた結果なんだ」
才能とか、お金の話になると、また、寧大とぶつかるので、その話は、辞めた。
「だからさ。うみ。頼むよ」
そう言う、寧大の声が少し、うわずって聞こえた。携帯電話の向こうで、何かが、聞こえる。
「え?うわぁ、そんな」
「なになに、どうした?」
携帯の向こうで、誰かと言い争う声が聞こえる。
「寧大。僕も、忙しいからさ」
そう言った瞬間、携帯の向こうから、寧大ではない声が聞こえてきた。
「こんにちは。音夢です」
「えぇ?」
携帯の向こうから、聞こえてきたのは、あの時の女の子。
僕の声を持つ、音夢。高校生の女の子だった。
「寧大!何やってんだ!」
僕は、寧大の女癖の悪さを思い出していた。




