女装のバイオリニスト
どんな顔をしているのか見てみたい。
シーイ事、僕に届いたメール。
中でも、気になるメールがあった。
「淡い、五月の若葉の様な声。それは、向こうに太陽の光が見えるような声」
珍しい、表現。
「詩人だね」
寧大が、絶賛した。
誰からだろう。僕の突撃、駅前ライブは、ネットで少しだけ、噂になっていて、女性なのか、女装してるだけなのか、素人なのか、プロなのかと、SNSで、チャートに上がるまになっていた。
「人は、飽きっぽいから、すぐ、忘れられるよ」
寧大に言う通りで、真似をした人が出て、すぐ、僕の突撃ライブは、回数が減っていった。地道に、寧大のギターで、歌ったり、バイオリンを弾くという前の生活に戻っていた。
「課題欲が、悩みだったんじゃない?」
花子に指摘された通り、課題曲で、頭がいっぱいだったが、逃げるように破滅的な行動をした事は、間違いなかった。
「このまま、バイオリンは、フリーでやって行くつもりなの?」
花子は、気性が荒い所がある。いつも、彼女に振り回されてきた気がす流。
「他のオーケストラで、頑張っていって、また、戻ってくるんじゃなかったの?」
花子は、僕を問い詰める。
「そのつもりだったよ」
「私と、離れたくないって、言ってたわよね」
その通りだ。花子のそばに居たいとは思う。長く彼女と一緒にいた。
「みんなに認めてもらって、一緒になろうって、言ったのは、嘘だったの?」
花子は、すぐ答えを求める。
僕の今の状況をわかってほしい。
「とにかく、どうするのか、決めて」
そう言って、花子からの携帯は、切れた。
少し、花子との時間が疲れるようになってきた。
「もうさ、フリーで頑張れば?」
寧大は、簡単に言った。
「俺さ。お前の声好き。なんつーか、アニメっぽいって言うか」
アニメかい?サイダーって、言った人もいるけど。
「全身が楽器なんだな」
「その楽器もさ。ステージがないとね」
課題曲。どうするんだ?僕は、本当に、オーケストラを続けたのか?誰の為に、何の為に、弾きたいのか?わからなくなっていった。
「結局、花子の為か?」
若生 花子。音楽一家の一人娘だ。彼女の親に認められたくで、彼女の枠に収まろうとしていたのか。
「合わないって。お前には。最初から、違いすぎるだろう?」
所詮、街の菓子職人の家の子。花子の気持ちが、僕にあったから、見られた夢に過ぎない。
「お前にしかできない事に、目を向けたら」
寧大の助言が嬉しすぎる。
突撃ライブの偽物シーイの件を、忘れかけた頃、事件が起きた。




