思惑
「また、そんな話をする」
澪の父親は、怒鳴りつける
「だって・・・私にだって、権利はあるはずよ。兄さんにだけ、会社を継がせたんじゃない」
澪の叔母、麻美は、感情的だった。
「いつになったら、金の無心を辞めるんだ?」
「私だって、好きでやっているんではない。あの人の為だから」
「また、お前のダメ夫か」
「ダメなんて、言わんで」
澪の叔母 麻美の夫は、投資が趣味で、幾度となく、失敗を重ねている。小さな会社を、任せてはいるが、たいして、利益が上がっていないのに、多額の投資に費やして、何度も、会社を聞きに陥れていた。
それを、咎められると
「兄さんのせいで、好きな人と一緒になれなかった」
そればかりを言う。
何年か前に、澪の父親の会社が危機になった時に、叔母を大手銀行の跡取りに嫁がせる事で、融資を受かられた事があった。
その時、叔母には、恋人がいたが、澪の家族、全員が、反対し、強引に別れさせられていた。
その事もあり、もともと、愛情のない結婚をさせた後ろめたさもあって、叔母には、甘く接していた。
だが、もう、限界である。
麻美の夫、貴大には、投資のセンスは、なかった。
それだけではなく、外に女性を囲い、麻美を傷つけてばかりいる。
「お前には、申し訳ないと思っている」
「何よ、今更」
「だけど、もう、お前に自由に渡せるお金はない」
「兄さんの会社があるでしょう?」
「それは、無理だよ」
「澪に渡すの?目も見えない子に何ができるの?」
「確かに、目は、見えないが、浅見の目はあると信じている」
「どうかしら?」
「それまで言うなら、澪と一緒に仕事をしてみるといい。新たに、企画している案件があるらしい。それで、成果を出したらなら、持ち株を少し、分けてやる」
澪の父親は、少しでも、妹、麻美に自立し、自分で、利益を上げる力をつけて欲しかった。
それで、澪の片腕にでも、なってくれるなら、心強い。
「どんな企画なのかしら」
澪が、自分の思い通りになるかもしれない。
麻美は、目の見えない澪が、自分より、上だとは、信じ難かった。
「何とか、成果を出してくれよ」
「頑張ってみるわ」
そう、返事をしたのが、つい、この間だった。
「最初から、こうだわ。面白くない」
澪と一緒に、行動してみたものの、結局、良い所は、澪に、持っていかれる。
「いくら、身内でも、こればかりは、無理なのよ」
せっかく、逢えた葵も、澪に興味を持ち出している
最初に話を振ったのは、自分なのに。
いくら、姪でも、話は、別である。
「やっぱり、あの時、思い切っていれば良かったわ」
意味深な事を呟やくのだった。




