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ヒトラーが告げる  作者: 猫提督
収容所の怪
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収容所の怪 17

1958年 ドイツ第三帝国 シュトラウツ収容所


 6号と合流したルセフたち一同は、謎の肉塊に追われながらも雑木林を何とか抜け出していた。

 どうやら、ルセフ以外のグループもそれなりに残っており、中隊の半分がこの場に集まっていた。

 「大尉。無事でしたか」

 帰りて汚れている少尉が大尉の元に近づいてくる。

 「おお。君も無事でよかったよ」

 「驚きましたよ。あんな増援を用意しているなんて」

 少尉がそう言って、空を指差す。

 そこには、6号の同族であろうピンク色のむし達が、手に持った機械にて肉塊の進行を抑えこんでくれていたのである。

 「6号さん。あの気持ち悪いのは一体何なの?」

 全国指導員が6号に対してあそこにある肉隗について尋ねる。

 「アレハ、きみたちガヨクしってイルじんぶつのしゅうごうたいダヨ」

 「まさか・・・・あれって」

 6号の言葉に理解したくない全国指導員は、しばらく吐きそうな顔で少し離れる。

 「6号殿。あの肉塊が君たちの知っているのもだとするなら、対抗策もわかるのではないかな?」

 「アイツラハきみたちトおなジたいしつヲもッテイル。ダガさいせいりょくハとてつモナクはやイカラふつうノじゅうだんデハころすコトはできないデス」

 「だったら。銃や砲は意味をなさないな。大尉。何かいい方法はないかね?」

 記者は、軽く考えた後に大尉へと意見を求める。

 「だったら、火炎放射器なんかどうだ?弾丸を使う武器と違って継続的なダメージを与えられるから」

 「トテモイイせんたくダ。ヤツノからだハかわノナイにんげんノようナモノデス。ひハこうかてきトナルデショウ」

6号の回答に作戦方針を決めた大尉は、直ちにクロー大佐の降下猟兵旅団に合流して、とモアの化け物にあたることを決定した。

 ルセフたち非戦闘員を中央で守る様に部隊を展開した大尉麾下の中隊は、周囲を警戒しつつゆっくりと収容所横の茂みを抜けていった。

 茂みの出口には、施設内に居た改造人間に対しての砲兵部隊が展開しており、そこの砲兵士官によりクローが指揮所を置く民家に足を運んだ。

 「閣下!ご無事で何よりです」

 「大佐。心配をかけてしまってすまない。大尉たちと君たちのおかげで助かったよ」

 「なんとありがたい。さあ、ここでは気持ちが落ち着かないでしょう。車両を用意しますので本部にて吉報をお待ちください」

 クローがルセフを後方に下げようと車両を用意するように部下を呼んでいると、彼は手を前に出して不要であることを伝える。

 「私もここで戦況を見たいのです。ここに居てもよろしいでしょう」

 「そうですか。ならばこの司令部にて報告をお待ちください」

 ルセフを司令部に残すことを承認した後、クローは大尉たちの下に向かった。

 「報告を聞こう。一体何がったのかね?あの気持ちの悪い生き物は一体何なんだね」

 大尉は、無言でクロー大佐を外に招くと、収容所の現状を見せる。

 収容所は、すでに8割以上が先の肉塊に包まれており、包囲している部隊も徐々に撤退していた。

 「あれは、一体何なのだね」

 「わかりませんが。それに詳しい事は、そこに居る”気持ち悪い生き物”がよく知っております」

 大尉は、近くで異様な気配を放っている6号を手で指し示す。

 「あいつが?いったい何なんのだ」

 「彼は、あの施設にて研究を行っている科学者に協力していたモノでしてね。あの肉塊についても関わっていたらしいので」

 「っと言う事は、あれを作ったのは・・・・」

 大尉が呆れたように手を上げると、クローが困った顔で6号の方を見る。

 「しきかん。わたしカラ、アノにくかいノたいおうニツイテいけんヲのベタイトおもイマシテ」

 クローの困惑をよそに6号は、彼に大尉たちに先ほど話した事を再度説明する。

 「・・・・つまり、奴の体は人間と変わらないが、銃火器のように点での攻撃よりも面で制圧できる火炎放射のような方が良いという事だんな」

 「そうなります。そこで、大佐のお力をお借りしたく思いましてね」

 クローは、大尉の顔を見た後にさらなる困惑顔を浮かべてから目を抑えた。

 「君のやりたいことは分かったが、それを要請するのに少し時間がかかる。その間の抑えは、どうするというのだね」

 「それについては、ここにあるもので何とかする事しかできませんな」

 「わかった。君に一任しよう」

 クローがそう言って大尉の肩を叩くと、彼の顔に満面の笑みを浮かべていた。

 「了解しました」

 「自動車部隊は、大尉の指揮下に入れ!残りの部隊市街地近郊に後退し、部隊の再編をお行う」

 クローは、近くに居る部隊長たちに指示を飛ばすと、自動車部隊の部隊長が大尉の下に走ってくる。

 「大尉。クロー旅団長より、君を支援するように命令を受けた。何なりと行ってくれ」

 「よろしくお願いします。では・・・・」

 大尉は自動車部隊長に地図を指差しながら指示を飛ばすと、各員が車両や周辺の装備を集めていった。

 6号の仲間により、足止めされていた肉隗であったが、次第に収容所近くの茂みを越えて大尉たちの居る街道から見え始めていた。

 「大尉!肉隗が収容施設を飲み込んでいきます」

 観測員が大尉に報告を上げると、彼は大声で号令をかける。

 あの肉隗をいかに止めるのか?大尉が考えている作戦とは。


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