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ヒトラーが告げる  作者: 猫提督
収容所の怪
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収容所の怪 10


1958年 ドイツ第三帝国 シュトラウツ収容所

 応接室の周りに部隊を展開して中の状況を確認するSS兵士は、目を血走らせながらサブマシンガンと拳銃を備えて配置についていた。

 「突入」

 先頭に居る兵士がそのように行って扉に手をかけると、勢いよく扉をこじ開け雪崩れ込んで入って行く。

 中に飛び込んでいったSS兵士たちは、もぬけの殻になっている室内を調査し始めつつ上層部への報告に兵士を走らせる。

 「危ないところでしたね」

 地下に降りるための鉄製扉の窓を除きながら、全国指導員が呟く。

 「博士。助かりましたが、なぜ我らを助けたのですか?」

 地下の階段を下りながら、ルセフがバルトホッフに尋ねる。

 「私は、総統閣下に助けられたにも関わらず、彼に対してあまりに非道な事をしてしまったのであります。その為に、この国に暗い影を残してしまった」

 シャイドルが階段を下りながらポツポツと呟きながらルセフ達に話し始める。

 「博士。私に一体何をしたのでありますか?」

 「私は、とある者たちの協力を受け、人類が到達していない生物学的技術に触れる事が出来ました。それが、いかなるものかを理解する間がなくあの事件が起こったのであります」

 シャイドルは、そう言って階段の先にある扉を開く。

 「・・・・なんなんだ。これは」

 「・・・・うそでしょ」

 扉の向こう側を見たルセフら一同は唖然とするほかなく、記者に至ってはその場で嘔吐してしまったのである。

 「これが、私が作ってしまった代償であります」

 先の人体実験の時と同一人物とは思えない口調で目の前に展開する”代償”について説明した。

 そこには、幾本もの縦長水槽が立ち並び、それなりの研究員がデータを取りながらそれらを管理していた。

 「これは、彼らの技術を用いて作り出した培養施設というべき所であります。ここでは、ある機関に頼まれているものを培養しております」

 シャイドルがそう言って、培養されているケースを指差すと、肉をより集めた気味の悪い造形物が前進を脈打たせながら浮き上がっていた。

 肉塊は、周囲の研究員が投入した血肉を吸収しながら次第におぞましくも見覚えのある形へと変異していく。

 「我々の生物学ではなしえない神の領域。人間の複製”クローニング”であります」

 シャイドルは、培養ケースを手でなぞりながら答える。

 「そんな事が・・・・一体どうやって」

 「其処にツイては、私がセツメイしましょう」

 耳障りなノイズ音のような音質の声が一同の耳へと入って来る。

 全員が声の主の方へと顔を向けると、更に目を疑いたくなる光景が飛び込んできた。

 それは、人用の白衣を身にまとっているものの、その腕は人間より多く、体の構造は虫に近い存在であった。

 頭の形は、料理用のボールのようなものに無数に生えた触手のようなものは、しゃべっている声と共にかすかに振動して、声帯のような役割をしている事が分かる。

 「初めまして、ライキャクの皆様。私は、カレラの協力者である、=====だ」

 聞き取れない言葉で彼が自身の名前名乗った後、バルトホッフが軽く咳払いをする。

 「おっと、失礼。ここでは、ソウショウして”M”または”6号”と呼ばれている」

 虫の足のような手で彼の身分書を提示してくれると、そのには確かにナンバー6と書かれていた。

 「君は、一体・・・・その様な質問は愚問か」

 ルセフの隣何とか整理ができた大尉が口を開く。

 「その質問は、ダイジだ。相手のショウタイを知らないでシンヨウを得ることはデキない。クワしく話すコトはできないが、おハナシしましょう」

 6号は、ルセフ達に椅子を案内した後で、自身も椅子のようなものに腰を下ろす。

 「私ども====は、元々君たちの恒星系の資源やセイタイチョウサを行うタメに外側のテンタイ。君たちのメイショウでは冥王星とヨんでいる所をキョテンとして、この星などにライホウしている。まぁ、その辺りはどうでもいいコトか」

 6号が語る内容は、シャイドルも含めほとんどが理解できないような会話内容であったが、6号の方は気にせずに話を続けていった。

 「私がこのホシにたどり着いたのは、キミたちが言う『ゆーらしあタイセン』という戦いがハジまった頃でね。落ちぶれていたカレに、我らのチシキの断片をアタえた。それが、君たちが『そうとう』を作ることになったのだよ」

 「ちょっと待て!じゃあ、あそこで浮いているのは」

 驚いた大尉は、奥にある培養ケースを指差しながら6号に問う。

 「あそこにあるのは、アドルフ・ヒトラー・・・・我らが総統閣下の”クローン”だ」

 唖然とする一同にシャイドルは、静かに答える。

 6号は、ルセフ達が驚いているのを疑問に覚えながらも、彼らが落ち着くまでゆっくり座って待っていた。

 真っ先に落ち着いたルセフは、動揺していながらも6号とシャイドルにとあることを聞く。

 「なぜ、その事を私に伝えよう思ったのだ?私が影武者であったらどうしようと思っていたのだ」

 ルセフの問いに6号は、理解に困っているようなそぶりをしていたが、シャイドルの方は、顔を近づけながら答える。

 「あなたは、間違いなく総統閣下のご子息様であると確信したからであります」

 シャイドルは、そう言いながらさっきとは違う和やかな笑みを浮かべる。

 「待ってくれ!何時から、彼が総統閣下でないことを知っていたのだ」

 我に返った大尉が驚き交じりに問いかける。

 この収容所で行われていた異常な実験に驚愕する一同。一体シャイドルは、何を考えているのか?彼らと「総統の子供たち」の計画とは?

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