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「お勉強はできても、できなくても、どっちでもいいんですよ」
とにっこりと笑って先生は言った。
「自分の好きなものを見つけることが目的なんです」
「好きなもの?」
「そうです。将来の夢、と言っても良いです」
お勉強の途中で休憩をして居るときに、先生は言った。
「それを見つけてくれたら、先生はすごく嬉しいです」
と本当に嬉しそうな顔をしてにっこりと笑って、(きょとんとした顔をしている私に向かって)先生は言った。
私は先生のその言葉を聞いて、私の好きなものっていったいなんだろう? と考えてみた。(でも、答えはよくわからなかった)
私はその答えが知りたくなった。
だからそれ以来、私は自分の好きなものを探すようになった。(でもそれは残念なことになかなか見つけることはできなかたのだけど……)
私はお勉強をするために先生の家に毎日毎日お邪魔をしていたのだけど、先生はあんまりきちんとしたお勉強はしなかった。
全然しないわけじゃなかったけど、よく休憩をしたし、一年の間にこれくらいまでのお勉強をします、と言ったような目安のようなものもなかった。
お勉強する科目も、日によってまちまちだった。(先生がその日の気分で決めて居るみたいだった)
それでも午前中の時間は椅子に座って、切り株のテーブルの上に教科書とノートと筆箱を出してお勉強をした。
でも、お昼ごはんを食べてから、午後の時間になるとだいたいいつも、先生は私を家の外に連れ出して、二人で一緒に森の中でよく遊んだりした。(それはとても、本当にとても楽しい時間だった)