乗り物大好きな宇奈月探偵の事件簿3-暇な事務所
今回は乗り物要素がほぼありません。
一応ガールズラブにチェックを入れましたが、2本目の方で同性カップルが出てくるので一応入れました。
宇奈月益海は事務所の主で夫の宇奈月啓太に「新しい依頼。来てない?」と聞く。
啓太は新聞を読みながら、「来てないし、まだ取ってないね」と言う。
益海は言う。「私が依頼を取ってきます!!!」
啓太は「やめとけ」と言うが、益海はその言葉を聞かずに事務所を飛び出した。
啓太はインスタントのコーヒー淹れて、それを飲む。
そして新聞片手にコーヒーを飲んで、ゆっくりしている時だった。
益海が依頼を取って帰ってきた。
人捜しの依頼だった。
しかし、啓太は嫌な予感がした。
啓太は益海に「さすがにこの依頼は無理かな?」と言い、断るように勧めた。
しかし、益海は「えー、今さら断りにくい」と言う。
益海はやる気いっぱいだった。
仕方ないので、溜め息を一つ吐いて「さぁ、やるよ」と啓太は言う。
啓太はまず、最後の目撃された場所に行く。
しかし、全く収穫が無く無駄足に終わってしまう。
近隣の聞き込みをするも、収穫は無い。
それでも受けてしまった依頼。
最後までやると啓太は決める。
最後に目撃された町の隣の町へと行く。
そこでは住んでいるかのごとく目撃情報が集まり、そして生活基盤もこっちで確立しているようだった。
啓太は連れ戻して良いものか、迷っていた。
そうやって、街のアーケードの中を歩いている時だった。
益海がどこかから狙撃されてしまう。
啓太は偶然持っていた包帯で止血をする。
そして、救急車を呼ぶ。
病院で益海は一命を取り留める。
啓太は「益海!!!無事で良かった」と言う。
益海は「私は益海というのですか…」と、困惑した表情だった。
益海は今までの記憶を失っていたのだ。
啓太はショックを受けた。
益海が記憶喪失になってしまったことに対して。
啓太は依頼を中断して、回復した益海を連れ帰った。
益海は啓太が何故優しくするのか理解が出来なかった。
啓太は悲しく思った。
しかし、悲しみに暮れていても事態が良くなるわけで無い事は啓太が一番よく知っていた。
啓太は益海に記憶を取り戻してもらうべく行動を開始した。
まず、事務所で思い出の話をした。
しかし、益海は思い出せない様子だった。
啓太は高山までの旅券を二人分を取る。
そして、過去に何度か依頼で行った高山まで益海を連れて行く。
しかし、益海の反応はあんまり変わらなかった。
二日の旅行を終えて、啓太は残念そうに事務所に戻ってきた。
啓太は最終手段として、益海が撃たれて記憶を失った現場のある市へと連れて行く。
駅から降りたときだった。
益海の表情が変わった。
益海は言う「怖い」とだけ。
しかし、啓太は益海を現場へと連れて行く。
益海は固まってしまった。
啓太は「大丈夫か?」と聞くが益海は答えれられ無い。
啓太は慌てて帰りの乗車券を手配して、益海と一緒に帰ることにした。
啓太は自分の部屋にこもって考えた。
その時だった、益海は啓太の部屋のドアをノックした。
益海は啓太に「私、啓太さんの事がやっぱり好きみたい。優しくしてくれるし…」と言う。
そして益海は「結婚して下さい!!!」と顔を真っ赤にしながら言う。
啓太にとっては益海からのプロポーズは二回目だった。
啓太は「いいよ、僕だって同じ気持ちだ」と言い益海を喜ばす。
益海は喜んでくれた。
しかし、啓太は悩んだ。
既に結婚してるから、婚姻届は出せない。
啓太はどうしたら良いか考えた。
啓太は正直に話して、益海に納得してもらおうとする。
啓太は過去に自分達で書いた婚姻届を出して、益海を呼ぶ。
益海はそれを見て、全てを思い出したようで。
そして、益海は思い出したことを楽しそうに啓太に語る。
啓太はそれを見て泣いてしまった。
二人は熱く抱きしめあった。
啓太は記憶を取り戻した益海と依頼主の元へ行く。
啓太は依頼主に「お子さんは、向こうにしっかりした生活基盤を持っています…。無理に連れ戻すのは得策では無いと思います」と言う。
依頼主は「良いから、強引に連れ戻して!!!」と言う。
啓太は「それは出来ません」
依頼主は言う。「どうして!!!あなた探偵でしょ!!!」
啓太は「成人した息子で向こうでしっかりしたとした経済基盤もある。それだけ強固に言うのでしたら、ご自分で連れ戻したらどうですか?」と言う。
啓太は益海と依頼主の屋敷を後にする。
益海は「良かったの?」と言う。
啓太は「お金の奴隷にだけはなりたくなかったからね」と言う。
益海はあらためて、啓太のそういう所が素敵だと思う。
経営的には不安だと思ったが、しかし、その事は啓太には言わなかった。
益海は啓太に「今日は依頼は無いのですか?」と聞く。
啓太は「まだ、今日は入ってないかな?」と言う。
すると、事務所の戸が開く。
入ってきた女性は「失踪してしまった女性を探して欲しいのですが…」と言う。
啓太は「最後に聞いた行き先とその女性の特徴はどんな感じですか?」と訊ねた。
その女性は「最後に聞いた行き先は、大須。特徴といえば、金髪青目…。こんなところかしら?」と言う。
啓太は特徴的な見た目だと思った。
その女性は印刷した、失踪人の写真を啓太に渡す。
写真を見て啓太は、これは街がパニックになるほどの美女だな…と思った。
益海は「失踪された方とは、どういったご関係で?」と聞いてしまう。
依頼主の女性は「同性カップルですが…」答えた。
益海は納得したように、ペンを進めた。
啓太は契約書にサインをするように言う。
依頼主の女性は言う。「嫌な予感がするんですよね…」
啓太は「気にしすぎですよ…」と言った。
失踪したのは、斗南華(21)。
依頼主は遠藤遥香(22)。
啓太と益海は斗南華が遥香に行くと言っていた大須の商店街の方に行く。
しかし、目撃証言すら集まらない。
益海は「嘘、ついたんですかね…」と言う。
啓太は「探してくれというのに、わざわざ嘘はつかんだろ」と言う。
啓太と益海は事務所に一旦戻る。
そして、次の日。
啓太は車の鍵を持って出ようとする。
益海は言う。「どこに行くのですか?」
啓太は「大須は二つあるんだ」と言い益海に準備をするように促した。
車を使って、旧大須駅跡の辺りに行く。
周辺で斗南華を見なかったか写真を見せて聞き込みを行った。
目撃証言は集まるが、気になることが一つ。
啓太が遠藤遥香の名前を出すと、皆が口をつぐむのであった。
その事から、住民は遠藤遥香に良い感情を持っていない事は明白であった。
啓太は益海に言う。
「遠藤遥香の過去を調べてくれないか?僕は聞き込みを続けるから」
益海は「分かったわ。調べてみる」と言う。
啓太は益海を近くの喫茶店に送っていく。
そして、啓太は聞き込みを続けた。
夕方、益海を送っていた喫茶店に啓太は迎えに行った。
益海は店の外で待っていた。
啓太は言う。「ごめん、遅くなった」
益海は「ううん、気にしてないよ」と言い、続けて「事務所に戻って報告をしたいことがあるわ」と言った。
事務所に戻ってから、益海は調べた資料を印刷しだした。
遠藤遥香は地元の有名代議士、遠藤一継の娘だった。
啓太は納得する。
「だから、住民がそろいもそろって口をつぐむのか」と。
啓太は益海に「遠藤一継のことも、もうちょっと深く知りたいから調べて欲しい」と頼む。
益海は「もう、人使いが荒いわ。でも、分かったわ」と言った。
しばらくして、益海は事務所のプリンターを使って印刷を開始する。
そして、資料を啓太に渡した。
遠藤一継は地元のゴミ問題に積極的でゴミ処理場を誘致しようとしていた。
しかし、一部地元住民は猛反発し、地元でも世論が二分されてしまう。と益海がまとめた資料には書いてあった。
啓太はまずは斗南華を捜すこと。
それに専念することにする。
啓太と益海は別行動しやすいように、おのおの車を出して斗南華の捜索に当たっているときだった。
益海がコンビニ寄ったときだった。
斗南華に似た女性を見かけた。
その斗南華に似た女性は普通の5ナンバーのセダンに乗ってコンビニを後にする。
益海は慌てて自家用車で追いかける。
しばらくは順調に尾行していたが、益海は気づく。
自分の車のさらに後ろに怪しい黒い色の古い3ナンバーセダンが居ることに気づいた。
益海は尾行を中断して、狭い農道へと入っていった。
その黒いセダンは大通りを通過していく。
益海は、ほっと安堵する。
その事を啓太に電話で報告する。
啓太は電話越しに「益海が無事で良かった」と言った。
その電話と入れ違いに遠藤遥香から電話が掛かってきた。
遠藤遥香は開口一番「斗南華は見つかりましたか?」と言う。
啓太は「すみません、うちの秘書が斗南華を見かけて尾行したのですが、後ろに怪しい車の影を見かけて、安全の為に尾行を中断しました」と言った。
遠藤遥香は納得してない様子だったが、これ以上説明も出来ないので、話を切り上げて電話を切った。
次の日、啓太と益海は地元住民から聞き出した斗南華のアパートへ向かう。
益海は呼び鈴を鳴らし、ドアを優しくノックする。
鍵も掛かっているの確認した。
しばらく待っても出てこないので、留守と判断した。
仕方ないので、事務所に帰ろうとしているとき、堤防に止まる複数台のパトカーと救急車を見て、胸騒ぎを覚えた。
啓太は益海に「車を止めて!!!」と言う。
益海は慌てて、車を止める。
そして、啓太現場にいる警官に話を聞く。
意識不明の女性が川から上がったようだった。
その女性は救急車で運ばれていき、特徴などは部外者の啓太達は見られなかったが、何となく嫌な予感がした啓太だった。
次の日、新聞に身元不明の記憶喪失の女性が川で見つかったと出ていた。
新聞には写真が載っており、特徴は斗南華にそっくりであった。
啓太はその新聞記事を遠藤遥香に共有する。
遠藤遥香と一緒に啓太達は病院に行く。
病室に入る前で啓太は「ちょっと用事ある」と言って、遠藤遥香と益海で病室に入るように促した。
しばらくして、二人は出てきた。
遠藤遥香はまだ現実が受け入れられない様子だった。
啓太は遥香自身が話せるようになるのを待った。
遠藤遥香はしばらくして、ようやく気持ちが整理が出来ない中、話してくれた。
「私の恋人はいつも、自殺したり事故に遭ったりして…。いつも何故か死んでしまうのです…」
遠藤遥香の目には涙が浮かぶ。
啓太はハンカチーフを差し出した。
遠藤遥香はかなり泣いていた。
その時だった、遠藤遥香の携帯電話が鳴る。
遠藤一継が危篤状態だという電話だった。
何か怪しさを感じた啓太は「僕もついて行きます」と言って益海と一緒に遠藤遥香の父の元へ行く。
啓太達が病院に着くと、一継は既に死んでいた。
啓太は担当の刑事がかつての知り合いだったので、話を聞いてみた。
その刑事曰く、何処か高いところから突き落とされた線が濃厚らしい。
啓太はこのタイミングで一継が死んだのは何かがおかしいと感じた。
啓太は一継の情報や斗南華の情報をインターネットで集めようとするが、しかし全くと言って良いほど情報が集まらない…。
啓太は足で稼ぐため、前回に行ったきりだった、旧大須駅跡付近で聞き込みを行った。
地元住民は口を揃えて「斗南華が川に飛び込むなんて絶対なんか裏がある。おかしい」と言うのだった。
斗南華は地域でボランティアをするなど、明るくて人当たりの良い女の子だった。
啓太は思う。
斗南華の評判を聞く限り、悪いと言うことは無かった。
啓太は何故、殺されかけたのかがますます不思議に思った。
啓太は益海に言う。
「悪い予感がする」
啓太は遠藤遥香に疑念の目を向ける。
しかし、遠藤遥香は「何も知らない」と言い切ったのだった。
遠藤遥香が帰ってから、啓太の事務所に怪しいFAXが届いた。
「次はお前だ」とだけ書いてあった。
益海は聞く「何か、ありましたか?」
啓太は「何でも無い。しかし警戒するのにこしたことは無い。だから戸締まりなどをしっかりしてくれ」と言った。
益海は指差しで戸締まりを確認していた。
啓太は日課であった喫茶店を出た所で、暴漢に刺されて病院へと運ばれる。
益海は慌てて運ばれた病院へと来てくれた。
啓太は言う。「命の別状は無いから…。心配掛けてごめんよ…」
益海は「ファクシミリから出た所をとっさに隠したのには、なんて書いてあったの?教えて…」
益海はいつになく真剣な目だった。
啓太は言う。「あの紙には、次はお前だ。と書いてあった」
益海は「あなたを襲った犯人。必ず見つけますから…。私のネットワークを信じて下さい」と言う。
しかし、益海のネットでの交友関係を駆使しても難航してしまう。
退院後、それでもなお探し続けて苦労する益海の姿を見て「もう良いよ…。益海は充分僕のために頑張ってくれた…。だから捜さなくて良いよ…」と言う。
益海は「でも…」と言い、まだ捜す気のようだった。
啓太は益海の頑張りを知っていたので、「休みの日。一緒に海に行こう!!気分転換も大事だし」と言う。
益海は「うん…」とのみ言った。
啓太と益海は休みを利用して海へ来た。
二人とも、泳ぐような格好では無かった。
啓太は半袖とはいえども、ワイシャツネクタイで益海もメイド服であった。
益海は「下に水着を着ていますから、ここで脱いでしまいますね」と言い、大胆にも啓太の前で脱ぎだした。
益海は海に向かって走った。
「啓太さん、こっちこっち」と言い益海は啓太を誘った。
しかし、啓太は立ち止まったままだった。
啓太は「海に誘ったのは僕の方だけど…。泳げない…」と言う。
益海は「私も泳げないわ…」と言う。
啓太にはそれが照れ隠しの嘘だということは分かった。
そして、益海は海で遊びだした。
啓太は一人ビーチパラソルの下で、ぼーっとしていた。
こんな所でパソコンをしようモノなら、一発でパソコンがお釈迦だろう。
啓太は退役させる予定だった古い10年近く前のノートパソコンを開いて、暇つぶし程度にネットサーフィンをした。
その時だった、啓太は数人の女性に取り囲まれていた。
その女性は「日焼け止めを塗って頂けませんか…?」と言う。
啓太は「今日は妻と来ているので、お引き取り願えませんか…」と言う。
その女性達は残念そうに立ち去っていった。
啓太の元に益海が戻ってきた。
益海は言う。「何か変わった事あった?」と言う。
啓太は素直に「数人の女性に日焼け止めを塗ってくれと言われた。もちろん断ったけど」と言う。
益海は言う。「今日はありがとう。そして、忙しいでしょ?帰らなきゃ…」
啓太は言う。「もう、いいの?気分転換になった?」
益海は「えぇ、なったわ。だから、とりあえず帰りましょ…」と言う。
啓太は帰ることを決めた。
事務所に帰ったら、遠藤遥香からメールが来ていた。
父の死の真相を明かして欲しい。との依頼だった。
次の日、遠藤遥香は事務所にやってきて、新たな契約をした。
啓太は再び旧八神駅付近で聞き込みをする。
斗南華は没落期の名家の次女である事が判明した。
そして、一継の所為で家が没落期に入ったとも判明した。
かつて行ったけど留守だった斗南華の家。
斗南華は記憶は無いけど、帰ってきていた。
啓太と益海は事情を話して、家に入れてもらった。
啓太は「記憶は戻りましたか」と言う。
斗南華は「少しずつですね…」と言う。
斗南華は奥の部屋から、「書いた覚えのない手紙がある」と言いそれを持ってきた。
封蝋でしっかりと封のされた手紙だった。
啓太は「開けて良いですか?」と言う。
斗南華は「良いですよ」と言ってくれた。
そして、開けると衝撃的な内容が書かれていた。
親友に当てたと思わしき手紙だったが、「命が何者かに狙われている」と書き記されていた。
斗南家にも行くが、斗南家では華の話題はタブーだったようで、収穫は得られなかった。
斗南家に行ってから、啓太の中で仮説は二つ生まれてしまった。
一継の手下が斗南華を亡き者にしようとした説と斗南家が口封じをした説だった。
啓太の中ではどっちも説としては仮説に過ぎなかったので、裏付けをしようと斗南家との接触を続けていくことにした。
しばらく接触して、斗南家から信頼も得られた頃だった。
斗南家の蔵から大量の睡眠薬が行方不明になっていると、犯人が分からないと報告を受けた。
啓太は検証用に蔵から、少量の睡眠薬を別けてもらい、益海を派遣して消えてしまった防犯カメラの映像を復元させた。
睡眠薬は知り合いの伝で調べた結果、斗南華があの日に飲まされたモノだと判明した。
その頃、斗南家に置いてきた益海からも連絡が来た。
「啓太さん、復元成功しました。そっちのパソコンに送ります」と言いすぐに送られてきた。
とりあえず、心当たりが無いか遠藤遥香に見せてみることにした。
遠藤遥香は驚いた顔して言う。「この人、お父さんの秘書だわ。厳密には元秘書。今は議員じゃないけど、私のお父さんが死んだことによって議員を目指すとか言ってるわ」
遠藤遥香は「許せない、絶対に吐かせるわ!!!」と言い事務所を飛び出そうとしたので、啓太と益海で止めた。
啓太は「一人で行くのは危険すぎるので、僕たちも行きます」と言った。
啓太は車の運転を益海に任して、かつての同僚で現職の刑事に電話をする。
事務所に居る秘書、中納言に遥香と啓太、益海で突撃した。
啓太はコピーした防犯カメラの映像を見せた。
秘書の中納言はメガネを拭きながら悪びれる様子も無く「それなわたくしが盗みましたよ…」と自供した。
しかし、斗南華の殺害未遂や一継の殺害は認めなかった。
益海が中納言の個人用PCの検索履歴を見せて言う。
「これでも否定できますか?」
中納言は声を荒らげて、「お前らも一継のようになりたいのか?」そう言い引き出しから包丁を取り出して遠藤遥香を人質に取ろうとするが、その瞬間、啓太達の後ろから警察が突入して中納言を取り押さえた。
啓太が知り合いの刑事に相談していたからであった。
中納言は取り調べには、素直に応じているらしく、窃盗、斗南華の殺害未遂。
そして、遠藤一継殺害も自供した。
そして、事件は無事解決した。