第65話 防衛線
三日間、町の中に足止めされた僕達は、やる気を出した幼馴染(お嬢様&馬鹿)に引きずられるようにして、防衛線に参加することになった。
僕達、というのはいつもの僕を含めた三人じゃない。
クラスメイト含めて、だ。
あれだよな。
類は友を呼ぶんじゃなくて、類は友を染めるだよな。
三年間あのお人よし共と一緒にいたクラスメイト達も、それなりにお人よしになってたらしい。
そういうわけだから、魔物達は本格終結して、町を取り囲んだ三日目に、僕達は剣をとった。
各生徒は、割り振られた場所で、町の自警団の人と共に魔物と戦っている。(ちなみに引率の教師は文系方面の教師なので、早々に魔物にやれて戦線離脱してた)
町はすでに魔物の群れに取り囲まれているから、脱出は不可能。
もう少し早く町を放棄すれば、もしかしたら安全に避難できたかもしれないけど、急な事だったのと、詳しい状況を把握できなかったことで判断が遅れてしまった。
で、僕が割り振られた地域は、一番やばい場所だ。
魔物が多い場所。
当然ながら、そんな場所には幼馴染共もいる。
「俺達が戦わなかったら、こいつら中に入ってきちゃうんだろ。気合入れないとな!」
「そうよ。町の人たちを守らなくちゃ!」
テンション高いな。
まあ、人助けの時は元からそうだけど。
僕はそれほど、そういうの興味ないからな。
あいつらの影で適当に頑張ろう。
で、肩を並べて魔物の軍勢と戦ってみたものの、かなりやっかいな連中だと分かった。
体力のない僕は早々に、後方支援の方へひっこませてもらった。
今日一日でつぶれてたら、明日以降が大変だ。
体力を温存させなければならない。
まだ、全体的に余裕があるからな一応。
しかし……。
「おい、こいつらぜんぜん減らないじゃないか。尋常じゃない数だぞ」
押し寄せる魔物は次から次へと補充される。
切っても切っても、まるで減らない。
きりがなかった。
加えて、負い目がある馬鹿やお嬢様は、極力魔物を傷つけないようにしている。
おまえらが暴れた所と、ここは関係ないってのに。
仲間が襲われていたら切り捨てるくらいはするが、逃げる魔物は怪我をした魔物に剣を向ける事はしなかった。
そいつらがまた戻ってきて人を傷つけたらどうすんだよ。
ってか。
どんだけ魔物いるんだよ。
普段あんまり群れて行動なんてしないだろ。
こんな時だけ、一致団結して終結すんなよ。
それに、あの不審者も戦えよ。
元勇者だろ。
どこにいるんだよ。
この規格外の人間やめた幼馴染達より強いくせに。
正義がどうとか言ってたけど。
こっちは何それ、って感じだよ。
あいつの物差し一体どうなってんだよ。