第49話 馬鹿の悪知恵
追いつかれたら即キル&デス。
生者の国から、黄泉の国へ強制移動。
危険極まりない逃走劇が数分続いた。
しかし、こちらは連戦に次ぐ連戦だ。
疲労がたまっていた。
そんな僕らと凶悪な魔物。
結果なんて知れている。
勝負は明らかだ。
結果的との距離はじりじりと縮まっていって、採取的にはわずか数センチになった。
もう、追いつかれる。
そう思ったとき。
幼馴染(馬鹿)が足をとめて、白狼を迎え撃った。
「おい、馬鹿が馬鹿してどうする。やめろ」
「こうなったら、イチかバチかだ。うりゃあああっ!」
正面から迎えうった。
勢いを殺さずに百狼が衝突しようとする。
しかし、馬鹿はさすがに鍛えていた。
哀れ木っ端みじんになるかと思いきや、ギリギリでそれを回避して、白狼の鼻に剣を突き立てていた。
『ギャウ!』
弱点に攻撃された白狼が動きをとめる。
なるほど、鼻をつぶして、匂いで追跡されないようにしたのか。
痛みに悶えている白狼の視界から外れるようにして、身を低くし、僕達は遠くへ移動する。
「馬鹿のくせに考えたな(小声)」
「へへっ、ヨルンのまねだ。今の内にいこうぜ(小声)」
幼馴染(馬鹿)は馬鹿なりに成長していたようだ。
まあ、勉強はからっきしだけど、こういう悪知恵ならよく働くしな。