第45話 僕に言いに来るな
僕には幼馴染が二人いる。
一人は、馬鹿。恰好良いからって言って、就職の希望を騎士にするようなやつだ。
もう一人はお嬢様、真面目で心優しいけれど、ちょっと天然が入っている。いい人なんだけど、困った人をみたら放っておけないという性格が問題だ。
そんな二人に挟まれて育ったのが僕。
当然彼らと親しくなると、振り回される。
めちゃくちゃ振り回される。
普通の生き方をしてたらしなくていい苦労をさせられる。
背負わなくてもいいような苦労を背負う羽目になる。
だってあいつら放っておいたら、どんどんとトラブルに首突っ込んでくんだ。
誰かが尻ぬぐいしてやらないと、今にとんでもない事になるぞ。
そんな面倒な幼馴染達は、たまにとんでもない不運を招き寄せるからいけない。
今日も馬鹿とお嬢様が、ご近所の噂を拾ってきた。
毎回思うけど、誰がこいつらにそういう情報流してんだ。
凄腕の情報やでも徘徊してんのか。
次あったら文句いってやるからな。
子供に頼って情けなくないのかよって。
で、目の前。
二人の末期患者が僕に何か話しかけてきていた。
こういう時の顔つきって、二人とも似てるんだよな。
はい、お嬢様の言葉。
「ヨルン、魔物が大量発生してるみたいなの。討伐しておかないと被害がでちゃうわ」
こっちは馬鹿の言葉。
「ヨルン、ちょっと腕なまってるから、魔物討伐いってくる。来るよな」
はぁあああああああ……(超絶大きなため息をついて)。
何でお前ら、僕にそんな事言ってくるんだよ!
僕の性格分かってるだろ!
『魔物の大量発生、至急討伐求む!』
特異型 魔物 ギガトレントの発生
一部ゴールドドラゴンの発生も確認
地域 シャール森林