第39話 長期居候型不審者の強さ
そんなこんなで長期居候型不審者に相手をしてもらう事になった。
毎日授業後、お嬢様の屋敷によって戦う事になったんだけど……。
結果。惨敗だった。
戦っている間ずっと息がつらいし、汗が止まらない。
相手を捕まえるどころか、剣先をかすらせる事すらできない。
「うぅ、手も足もでなかったわ」
「やべー、何だあの人。めっちゃ強っ!」
「ぜぇ、はぁ。まさか、ここまでとは……」
お嬢様、馬鹿、僕の順での感想。
幼馴染共に常日ごろから振り回されている影響で、並みの一般人よりは鍛えられてきた僕だ。普通の盗賊くらいは楽勝で倒せるくらいになったけど、それでもきつかった。
僕を振り回してきた馬鹿&お嬢様の方も息を切らしているのだから、相手の強大さがよくわかる。
あの不審者、それなりの強さがあるとは思ってたけど、やっぱりそうだったか。
それどころか、そこらにいる騎士以上の実力を感じた。
こいつに特訓をつけてもらえたら、きっと僕達は成長できるだろう。
けれど……。
「後で変な事要求してきたりしないよな」
やっぱり、あいつに頼み事するのはあまりいい気持ちじゃないんだよな。
そんな僕の横で、休憩中の馬鹿がお嬢様に焼きもちを焼いていた。
「先生とじゃなくて、俺とも仲良くお喋りしようぜ!」
「いつもやってるでしょ?」
「もっと話したい!」
「いいけど。どうしたのさびしんぼさんになっちゃって」
「さびしんぼさんって子供相手みたいな言葉だな。あれ? なんか残念な気持ちになってきた」
うん、そっちの方はどうでもよかったな。