第31話 消し去りたい人間
絶望の心境でお嬢様の屋敷に通い始める僕。
いつも要らない時にしゃしゃり出てくる馬鹿は、養成学校で仲良くなった先輩から剣を教えてもらうのに忙しいらしい。しばらく僕達とは絡まない雰囲気だ。
おい、お前の幼馴染(お嬢様)と僕が困ってるぞ。
まあ、わからなくはないけどな。二年から三年に進級するための課題は、厳しい。
他の生徒とパーティーを組んで現役勇者との戦いで善戦する、ってのが条件だし。
しっかり地力をつけておこうと思うのは分かる。
特に馬鹿は平民だから、お金がない。
お嬢様のように、当たり前のように剣の師をやとって、毎日稽古するわけにはいかないだろう。
だから、この変質者の事は、僕がしっかり見ておかないと。
……なんて決意を新たにしていると、お屋敷に向かう道でカルル村の子供達を見つけた。
なんでも、お嬢様と一緒に教えてもらいたい事があるとか。
うわ、それ誰にだよ。
屋敷にいるのはお嬢様とその家族と使用人しかいないぞ。
今の時間稽古の先生は、いないと思うし。
嫌な予感しかしない。
そういうわけで、村の子供達と共に屋敷のドアを叩く。
「いらっしゃい、皆、待ってたわよ!」
「……」
そこで顔を出したのは、僕の幼馴染(お嬢様)とあの変質者だった。
顔をみたら、なんかむかっとしてきた。
誰のせいでこんな悩ましい時間を送ってると思ってるんだよ。
こいつ今すぐ消し去りたい。




