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第3話 カルル村



 カルル村 広場


 回想終了。

 

 それで僕達が今生きているというわけだ。

 当然、僕の家は恩や縁を大事にする商人一家だ。

 あの時に出会った二人とは、今も親交が続いている。


 そんな商人一家を乗せた馬車が数時間かけてたどり着いたのは小さな村、カルル村だ。

 そこの広場で、父と共に荷物を並べていく。


 母は村長さんの所にいって、挨拶をしている最中だ。

 前に滞在していた町から鳩を飛ばして、商売の許可をとっておいたので、問題なく進んでいるだろう。


 何度も来た村で顔見知りばかりだし、あと早く商品を売ってくれって連中が多いから、村長への挨拶もそこそこに商売を始める事が多い。


 村長は良い人間で、余所からきた僕達にもかなり良くしてくれている。

 

「ふぅ、これで準備は終わりだな」


 短時間でぱぱっと馬車の見た目をいじり、出店風にして商品を並べた。

 開店準備が整ったのを見てか、様子を見ていた村人達が集まりはじめた。


 これから、父の仕事の時間だ。


 父は集まった人たちに話しかけていく。


「久しぶりですね。カルル村の皆さん。今日は、新しい商品を多く仕入れてきました。どうぞ、自由に見ていってください」

 

 そうこうしているうちに母も合流して、夫婦で仕事をこなす事に。


 この村は小さいため、忙しくなる事はあまりない。

 が、外からわざわざやってくる人が少ないため、世話話で仕事が長引く事があった。


 小さな村で娯楽も少ないからな。


 まあここには、奇行を繰り返す幼馴染の馬鹿が住んでるから、そのおかげで新鮮味には事かからないらしいけど(主にトラブル方面で)。


 今も父が、ご近所の猫がどうとか、甥っ子がどうとかいう老人のオハナシに耳を傾けている。


 そんな様子を見つめていると、一人の少年が話しかけてきた。

 見るからに何も考えてなさそうな、馬鹿そうな面構えの少年だ。


 きっと中身も馬鹿に違いない。


 まあ、そんな事前々から知ってたど。

 というか件の幼馴染だし。


 過去を改ざんして、赤の他人になってしまいたい。


「おう、ヨルン! お前商人の息子だよな」

「挨拶もなしにいきなりそれか。そうだが? そんな事知ってるだろ」


 一体どんな理由があって話しかけてきたのだろう、と警戒。

 この馬鹿は会う時会う時、ロクでもない事しかしてないからな。


 蛇にかまれたとか、熊を捕まえたとか、蜂に刺されたとか。

 馬鹿か。

 いや、馬鹿だからそんなだったか。


 そんな馬鹿は露店風の馬車で並べられている商品を見ながら、喋りかけてくる。


「なあなあ薬草って売ってる?」

「売ってるが?」


 扱ってる商品ののレパートリーを思い出す。

 売り物には、確かそんな物があった気がする。


 客だというのなら、きちんと対応するつもりではあるが。


「じゃ、交換してくれよ」


 と言って話しかけてきた馬鹿は、木の実を出してきた。



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