第24話 善行積み続行
ランクアップできなかったので、善行積みは続行。
そういや、僕も積極的に参加したほうが良いんだろうか。
最後はあの二人に任せっきりだったし。
いや、やめておこう。
慣れない事したくない。
面倒みるのだけで手一杯なんだよ。
で、アンテナはってたら、何か新たに事件がヒットした。
僕の地元の民家に泥棒が入ったらしい。
最近そういった出来事が、町の中で頻発しているとか。
三軒隣りの気の良いおっちゃんも嘆いていた。
僕の家は使われてないけど、多少金目の品物あるから、狙われたら嫌だな。
「と、いうわけなんだが、手伝ってくれ」
「珍しいなヨルンからそういう話持ちかけられるの」
「本当よね。でも嬉しいわ、いつもヨルンにはお世話になってるもの、恩返しができるのって素敵な事よね」
止める側からこういう話をもちかけると、後々に説得力がなくなりそうで嫌だけど、でも被害にあった奴には知り合いもいるしなぁ。
早めになんとかしておきたい。
そういうわけで、いつもより張りきってくれる幼馴染達。
心遣いは嬉しいけど、素直にありがとうとは言えないので、物好きな人に向ける視線だけ送っておいた。
「ヨルンの知り合いの人達の無念も一緒に晴らしてやる」
「そうね、彼らから盗った物が見つかったら、持ち主に返してあげましょ」
やる気満々で町を巡回する幼馴染ズ。
前のめりな二人にクギをさしたかったけど、頼んだ手前今日だけは口が重い。
「無茶はするなよ」
「分かってるって」
「大丈夫よ」
本当かな。
やる気に満ち溢れたお人よし共の手綱を、今日だけはうまく引けないのが、どうにも不安だ。
さっさと見つかってくれないかなコソ泥。
と思っている間に偶然にも目の前に民家の中で一仕事し終えたコソ泥と遭遇。
おい、その家誰の家だ。
僕の家だよ。
いー天気ですね窓からこんにちは、くそ野郎。
正当防衛だからいいよね?
今回は珍しく、幼馴染ズより先行してコソ泥を殴り倒した。
木刀?
人殴るのに凶器なんているの?
こぶし一つあれば十分だろ?
「ヨルン怖っ!」
「……っ」
僕の逆鱗に触れたコソ泥を一秒でのして縄で縛った後は、震える馬鹿と無言で青ざめるお嬢様と一緒に、しかるべき場所へ犯罪者をつきだした。
馬鹿の称号・ランク こなれた魔物ハンター。お手伝い屋さん、弱い物いじめ討伐者 「B」
お嬢様の称号・ランク こなれた魔物ハンター。天然記念物よろず屋 正義の執行者ただし優しい「B」
僕の称号・ランク かけだし魔物ハンター、お世話大好きマン、実力派みならい商人 「C」
ちなみに盗られた物は、お金以外ほとんど戻ってきた。