第18話 呪術犯罪者
そんな感じだから、勇者養成学校で過ごす日常は気苦労が絶えない。
あの二人、喧嘩がおきるとすぐ仲裁にいくし、怪我人が出るとすぐ助けにいくしで。
でも、中でも一番大変だったのは……。
「学校に呪術犯罪者が潜り込んでるだと!?」
幼馴染(馬鹿&お嬢様)から、そんな事実を打ち明けられた時の事だ。
呪術犯罪者は、生贄とかやばい薬とか使って魔法を使う奴等。
勇者や騎士でも手を焼く存在なので、呪術犯罪を起こした人間はもれなく指名手配されている。
「しーっ、声が大きいだろ」
「そうよ、他の生徒が不安がっちゃうじゃない」
「僕はお前達の頭の方が心配だ! なんで黙ってたんだよ!」
幼馴染(馬鹿)と幼馴染(お嬢様)に聞いた情報によると、この学校にもぐりこんだ呪術犯罪者が人質を取っているという事だ。
下手に騒ぎ立てるとその人質の体が遠隔爆殺されてしまうとか。
なにそれ、もう事件じゃん。
情報全部が不穏じゃん。
本職の騎士とか勇者の出番だろ。
「……。なあ僕もう帰って寝て良いか?」
「えっ、何で? 協力してくれよ」
「駄目に決まってるじゃない、ヨルンがいないと私達だけじゃ細かいこと考えれないのよ」
僕の方が「えっ、何で?」だよ!
なんでお前らが解決する流れになってんの!?
おおざっぱな性格自覚してるんなら、そんな面倒に首突っ込むなよ。
もおおおおお!
もう、やだこの幼馴染。
僕、良いように使われてない!?
いい加減大人しくしてくれよ!
頭を抱えて盛大に嘆いたけれど、ここでストレスに押し潰されているようでは、この二人の幼馴染はやってられない。
「計画を立てるぞ」
僕は急いで、相手を追い詰める方法を考えた。