第17話 嫌味だよ、気づけ
「新商品の包装紙が可愛いのよ」
「犬と猫の模様だ。でも俺は、騎士の模様の方が格好よくていいけどな」
「さいですか」
購買豆知識を聞きながら、僕はため息をついた。
「昼の時間、ちょっとしか残ってないな」
屋上に取り付けられている時計で時間を確認する。
残りのお昼休憩の時間は十数分ほど。
生徒会の手伝いを行っていたため、お昼時間が少なくなってしまったのだ。
入学早々、箔がつきそうなポジションに座れたのはいいけど、ストレスになるのは勘弁だった。
今の所利益が大きいからやってるけど、これ以上忙しくなるのはなぁ。でもせっかくスカウトしてもらったんだから、活用しないともったいない気もする。
「ヨルンは生徒会の活動もしなくちゃならないから大変だよな」
「そうね、何か手伝える事があったら言ってね」
その言葉を聞いた僕は、ジトっとした目を二人に向けた。
なぜなら、生徒会に持ち込まれるごたごたの八割が、ほとんどこの二人関連なのだから。
手伝うというのなら、何もしないで平穏に学園生活を送っていてほしい。
「ああ、本当に仕事が減る手伝いをしてくれれば、何も文句はないな」
「ふーん、大変そうだな」
「お疲れ様、肩凝ってたら揉んであげるわよ。上手って評判なの」
けれど、何も気づかなかったらしい幼馴染ズは、きょとんとした顔して、そんなセリフを吐いた。
嫌味だよ、気づけよ!