第14話 入学早々にやらかす幼馴染達
喧嘩の原因はなんでも、気性の荒い先輩が後輩に手を出した事がきっかけらしい。
それで、後輩がキレてとっくみあいになったと。
でも力量差があるから、後輩はボコボコで流血。
それを見た他の生徒が騒ぎ出したという流れだ。
ちょっと姿を見たけど、その先輩やばいな。
言う事聞かない野生の猛獣みたいな雰囲気まとってる。
ケンカしてるのに、笑ってるし。
でもそんな相手にも幼馴染達は引かない。
幼馴染達は、結局僕の制止を振り切って、問題の渦中に飛び込んでいってしまった。
「おい、待て! 入学早々しょっぱなから面倒起こすな!」
一応止めた。
「そんな事言ってられないわ。止めてあげなくちゃ。怪我が増えたら大変だもの」
「あ、血が床に落ちてる。これはちょっとまずいかもな」
でも無駄だった。
「あーもうっ! これだからやなんだ」
僕の幼馴染達は、無駄に正義漢が強くて善人だった。
とっ組み合いがエスカレートして、教室の備品を投げあうような大喧嘩になっていた騒動を止めにいく、猛者系幼馴染ズ。
奮闘した二人は見事先輩(喧嘩ふっかけたやつ)を追い払ったんだけど、その後教師に見つかって怒られてしまった。巻き込まれて怪我人が増えるから、「そういう時は大人を呼べ」だそうだ。
だよな。まず先生呼べよ。
それで、幼馴染達は、廊下に立たされる事になってしまったとさ。
僕は、廊下でカカシになっているそいつを遠目から睨む。
言わんこっちゃない。
さんざん警告してやったのに。
「……」
その二人前を通りかかった僕に、二人は無言の視線で訴え。
「うぅ……」
「はぁ……」
ため息吐くなよ。
こうなる事は予想できただろ?
え、僕?
僕は巻き込まれないように離れた所にいたから、教師からは何も言われてない。
そういうのは今までの経験で回避するようにしてきたし。
確かにこれまであいつらの幼馴染としてやってきたけど、ここにきてまで何で一緒に罰を受けてやらなくちゃいけないんだよ。