北のカフェテラス
今日は良い夜だ、多くの人達は休み前の夜と言うこともあって街には活気があった
「おっと、ネコかソーセージはやらんぞ」
「私は君からの施しは受けない、塩分過多で死にたくないからね」
「そいつは失敬、どうだ?割り勘でこのサンドイッチを食べないか?」
「それは良い提案だ、いただくよ」
「お代と言っては何だが、俺の失恋話を聞いてくれよ」
「君の失恋というと、先ほどまでこの席に座っていた女性の事かな?」
「話が早いな、原因は些細な事だったんだ」
「女性の涙はいつだって心に染みるもんさ」
「あいつはめちゃくちゃ怒ってたぞ、喧嘩別れだ」
「それは君が月を見ていたからだろう、私は月光に反射する輝きを見た」
「彼女の涙だって言うのか?」
「失恋という話だったがどうやら君の勘違いみたいだ」
「サンドイッチ食べないのか?」
「失恋の話じゃなくなったからね」
「なんだ?どこに行くんだ」
黒猫は夜の路地に消えていった、男に駆け寄る女性が見える
椅子に残る温もりが彼女を優しく迎えるのであった