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夢島莉央②

「……あなた、悔しくないの??」

「………は?」


 彼は、警戒心を露わにしながら素っ頓狂な声をだした。


「は? じゃなくて、悔しくないのって聞いてるの」

「……なんで、夢島が??」


 ふふっ。理由づけなんて簡単よ。


「馬鹿にされて平気そうにしてるあなたが気にくわないから文句いいにきてやっただけよ」


「それはどうも……」


 むっ。相変わらず返事は適当ね。なんかいつも眠そうにしてるし……ってえ??


「あなた凄いクマね。普段何してるの?」

「……まぁ色々と」

「ふーん、そっ」

「それじゃっ。俺帰るから」


 ほんっとつれないやつ。何この無愛想ぶりは。私が話しかけると男子は皆鼻の下伸ばすじゃない。いやっ、別に私が可愛いって言いたいわけじゃないけど。


 まぁ、こうなったら本題に入るしかない。


「……あなた、本気だしてないでしょ……」


 横目で陰月を見ると、一瞬肩をビクッと反応させた。ふふっ、私の目は誤魔化せないわよ。


「意味不明だな…」

「ええ……意味不明ね」


 意味ありげな笑みを向けながら、私はその場を後にしようとした。


「……ふふっ。良い顔見れたわ。私、先帰るわね」

「………………」


 何とも言えない顔をしても無駄よ……。陰月礼人。彼は普通じゃない。もはや確信に近いけれど、まだ決定的なものがない。ど、どうすれば……。


 あっ、そうだ。明日……他クラス交流会があるじゃない。

 お兄ちゃんが、問題を難かしくするとかぬかしてたっけ……。

 ふふっ。そこで、あなたの本性を暴いてみせるわ……。


 内心ウッキウッキで、私は帰路を辿っていった。


♦︎♢♦︎


 他クラス交流会にて。

 私は、うまくあの三人に取り入ってメンバーの一員となれた。


 まぁ、あの三人が陰月くんをいれるのは明白だしね……。あの三人と組んでおけば問題ないと私はふんだ。


 そして、それは予想通りで。


「……けけっ。陰月、お前俺たちと組もうぜ」


 ナイス。


 まぁ、それから何かと色々あったけど……とりあえず陰月くんと組めて私は嬉しかった。


 まぁ、何故か彼は私と暁さんを見ると少し目を細めていたけれどね。



♦︎♢♦︎


 え? え? え??


 私は目を疑った。それはクイズでのこと。なんと陰月くんが問題を即答していて……しかもその問題が正解していたからだ。


 なんで、正解か分かるのか……。それは、お兄ちゃんから問題について少し聞いていたからだ。


 まぁ、カンニングだ! ずるだ! と言われればそれまでだけれど、私の目的は勝ちじゃない。彼について知ることなのだ。


 横目で相澤くんを見ると、数問間違っているのが目に入った。

 ふふっ。そこの答えはたしかAのはずよ。現に陰月くんもAと答えてるし……。


 まぁ、私はチームには悪いけどあえて間違えさせてもらうわ。そこの回答はCとした。


 周りを見ると、やはり苦戦している様子。まぁ当たり前だわ。こんなの遊びでやるレベルじゃないもの。


 けど……ふふっ。彼は、やっぱりおかしい。

 問題が出されては即答し、しかもマークした問題が正解しかない。


 これで、確実だわ。彼は間違いなく……

 実力を隠している。


 私は口角を上げながらクイズを楽しんだ。


 でも、何故??


 何故、暁さんまでそんなに瞳を輝かせているの??


♦︎♢♦︎


 他クラス交流会のクイズが終わり、今は帰りのホームルーム。

 その時間に何故か私たちのクラスに生徒会がやってきた。 


 し、しかも副会長の森美幸先輩だ。


「すみません。相澤誠さんっていますか? 生徒会副会長の森美幸です」


 あ、相澤くんに用事?? あっそういうことね。ふふっ。副会長が動くなんて……絶対お兄ちゃん絡みだわ。概ねクイズ全問正解の者がいたから特定しろってとこかしらね。


 まぁ、相澤くんは学年一位だし妥当な見解かしら。


「……………ふふっ。やっぱりそうだわ」 


 私は自席で肩を震わせながらそう口を開いた。


 ふふっ。陰月くん、あなた面白いわ。きっとこの様子だとクイズだけじゃない。勉学もスポーツも……。


 あなたの本性をもっともっと暴いてみせるわ。


 少し退屈だった私の学校生活に色がつき始める……そんな予感がした。

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