他クラス交流会のお時間です!
ふぁーあ。結局昨日も全然眠れなかった。欠伸がさっきから止まらない。
「……陰月。お前負のオーラ漂いまくってんぞ」
「……そりゃどーも」
「いや、返事適当かよ」
今日はいつもより眠いんだよ。許してくれ。
俺は内心で内田に謝る。
内田智樹。俺の隣の席のまぁ陰寄りの男子。冴えない外見だがたまに俺に話かけてくる。
まっ、俺も完全に陰の方だからな。
「……ったく。いつものことだけどお前冴えないよなぁ」
いや、お前が言うな。お前も充分冴えない分類にはいるぞ、内田。
「少しは態度っていうか……何かを変えたら、相澤達からいじられなくなるんじゃないか?」
一応、心配はしてくれるらしい。だがな。俺は変わる気ないぞ。全ては実力隠し実行のためにここまで頑張ってんだから。
「……余計なお世……」
「話」と言おうとしたところで嫌な顔が3つ。
「……よぉ、陰月〜。なぁ俺達と他クラス交流会のペア組まね??」
話しかけてきたのは、下衆な笑みを浮かべてくる相澤だった。
「……ふふっ。女子もいるけどね」
続く南。南の背後を見ると、俺は顔を少し歪めてしまう。
ゆ、夢島……なんで、お前が……。それに、暁……。聞いてないぞ……。
「……… 6人グループでさぁー、俺たち足りないもんあってさ。何か分かるだろ??」
家塚がそう言ってくるので、俺はあたりのメンツを確認する。
まず、相澤に、家塚に、南。そして……夢島に……暁……と。
夢島は、昨日の件から少し警戒すべき相手だ。けど、暁もいるのが厄介だな。
暁真由。セミロングの黒髪でロリ可愛いと有名な美少女だが、俺はとある理由があってこの女子を苦手としている。
はぁ。で、なんでこのメンツに俺が入るかってこと……か。周りをもう一度見回すとすぐに答えがでた。
「……優秀な奴らばっかだから……落ちこぼれの俺が入ることで、お前らの株が上がるってことね」
「くくっ。馬鹿のくせによくわかったじゃねーか」
気味の悪い笑みを向けてくる相澤に対して何故か夢島は微笑している。
「……俺がお前らのグループに入らないという選択は?」
「くくっ、無理だろ。だってぼっちに等しいお前が5人もメンバー集めれるわけねーだろ」
あぁ、なるほど。最初からこいつらはそれ狙いだったってことか。
暁の表情はどことなく暗く見えるが、気のせい……か?
「……まぁ元から陰月に拒否権なんてないんだけど〜」
南は、明らかに俺を見下した感じで言ってきた。
はぁ。俺、何もしてないだろ。
「……じゃっ。そういうことだから、他クラス交流会の時に、私たちの踏み台になってね♡」
ウインクをしながら、俺に甘い声を漏らす南。それに続いて、「よろしく〜」と馴れ馴れしく言ってくる家塚に相澤。
相変わらずのリア充三人トリオだ。
去っていく三人に、呆れながらため息をつくと。
「……ふふっ。よろしく」
「……あのっ。私! 陰月さんは良い人だと信じてますので!」
「あ……あぁ」
あいつらとは違う形で、挨拶をしてくる夢島に暁。こいつらは、『実力隠し』妨害の火種になりかねない。
とりあえず、よろしくとだけ伝える俺であった。
♦︎♢♦︎
「……よし、お前らいいか。他クラス交流会の説明をするぞ〜」
今は他クラス交流会についての説明を昨日俺を叱りつけた担任が行っているところ。
俺は眠さから、ほとんど情報が頭に入ってこなかったが、ある発言から俺は心を躍らせることとなった。
『グループの一人一人がクイズの問題に答えていき、またそれは匿名とする』
と、匿名!! き、きたぞ……。きた! 実力発揮の時が……!!!
「……まぁ、このクイズぶっちゃけると難しすぎて俺もどうかと思うレベルなんだが」
ん? なんか重要なこと言ったか? あたりが「えー」とか言ってるが。俺は匿名という言葉に物凄く感動しているところなんだけど。
「まぁ、説明は以上だ……今から他クラスと合流するぞ」
ということで、他クラス交流会が始まることになるのだが……俺はこの時の俺を呪いたい。
そんな他クラス交流会が始まってしまうのだった。
ふっ。やっときた……。匿名制だからこそできるんだ……。さぁ……実力発揮のお時間だ。