8.智将クロ
ありがとうございます。
「大丈夫ですか蒼さん?」
洞窟に入ると早々に白が駆け寄ってきた。
「熊公ごときには負けないよ!」
「だから私は言った。蒼は強いって」
驚いた。慎重そうな黒に力では信頼されてたんだ。私が1番レベルが低いのに。
どうやら白はかなり心配してくれていたようだ。
「でもやっぱり心配だよ~」
「大丈夫だよ白何の問題もなかったよ」
「それに黒もありがとね」
「私は何もしてない」
「そんなことないよ。黒がいたから心置きなく戦えたんだよ!」
私が2人の頭を撫でると、
白はニッコリ笑顔になり
クロは真っ赤になって逃げてった。
「みんな拠点も決まったしこれからどうしようか」
お姉ちゃんは通常モードに戻っている。
こっちが通常モードであっちが異常モードなんだ!
異論は認めない。
「じゃあ私はお姉ちゃんに装備を作ってもらおうかな」
「「お姉ちゃん??」」
「私もさっき気付いたんだけどね…」
デスベアーの事からお姉ちゃんとの関係まで白黒に話した。
「っていうことなんだ」
「私たちが言えることじゃないけど驚いた」
「すごいねクロ!」
黒は驚愕し白はテンションが上がっている。
本当にエラい確率だよ。
姉妹2組が同じチームでさらに同時に追い出されるなんて。
やはり運命ってあるのか…?などと真面目に考えていると
「はいはい、これから何するか決めるわよ」
「「「はーい」」」
まだまだイベントは始まったばかりだ。
やり残しがないように楽しむぞ!
「まずは今のチームの成績からね」
おぉイベント中に今の成績を確認できるのか。
「私たちのチームは…48位ね」
全体が約1000チームだから、
「かなり上位だよ!」
「すごいですー」
私と白は手を合わせて喜ぶ
「こんなのは今だけ」
黒には喜べる結果ではなかったのか?
「どういうことなのクロ?」
白も分かってないみたい。
「いい?まだイベントは始まったばかり。私たちは運よく高ポイントのモンスターに遭遇して討伐できた。でも今のポイントはそれだけ」
黒はそのまま続ける。
「おそらく向こうのチームは私たちが抜けたことであまり期待はできない」
「どういうこと?」
「まず私が見た感じ向こうのチームに蒼よりも強いプレイヤーはいない」
レベル面ではなく戦闘面でってことか。
「そもそも今回のイベントの趣旨はチームでのモンスターの討伐。基本的にチームでしかモンスターを倒せないようにしていると思う。彼らが6人で高ランクのモンスターを倒せるとは思えない」
「それなら弱いモンスターをたくさん倒せば」
「思い出して。彼らは6人中半分がレベル15近くの魔法職だった。MPの都合上戦闘数は限られると思うから大量ポイントは見込めない」
なるほど。
ん?
でも待てよ!
「私は1人でデスベアーを倒せるからデスベアーをたくさん倒す?」
私は1人で高ランクモンスターを倒せたのだ。
リスクはあるが何とかなるだろう。
「やめといた方が良い」
「なんで?」
「私たちがデスベアーをたくさん倒したところで上位入賞の可能性は極めて薄い。」
「まずなぜ蒼が1人でデスベアーを倒せたか」
「それはもちろん蒼が異常なのもある。でも、それでも敵わない程のレベル差があったはず。それを覆したのがモンスターとの相性」
「相性?」
「うん。蒼はデスベアーに相性が良かったと思う。蒼はデスベアーと戦っていて何か気付かなかった?」
えーと、そういえば全力の攻撃ではあったけど一撃でHP1/4くらい削れたな。
「攻撃が通りやすかった」
「そういうこと。モンスターとの戦闘において相性は非常に大切。相性1つで戦況はガラッと変わる」
「でも...なら向こうのチームも相性のいいモンスターと戦えば」
「向こうのチームの主戦力は魔法職。今回のイベントで魔法が相性のいい高ランクモンスターはポイント1位のブレイクバード、2位のジャイアントワーム」
「向こうのチームだけで倒せるの?」
「極めて難しいと思う。大前提にチーム戦においてメンバーが多いメリットはヘイトが分散するから。前衛がダメージを食らったら下がって代わりのメンバーが前に出る。そのローテーションを繰り返すことで後衛に攻撃が来ない」
「でも彼らの前衛は多くて3人それにローテーションを確立する見込みも少ない。後衛が全滅したら終わり」
なるほどなんとなく解ってきた。
「なんとなく今の状況がわかったよ」
「よかった」
今回のイベントは上位入賞は厳しそうだ。
長い黒との話が終わりふと隣を見ると、姉と白がお茶会をしている。
私たちも参加する。
「ねえクロさっきの話聞いてたけどもう私たちどうしようもないの?」
「どうしようもないとは言ってない」
「え!そうなの?」
私はつい前のめりになる。
「蒼落ち着きなさい」
「ごめんお姉ちゃん」
姉に言われて少し落ち着く
「で黒どうすればいいの?」
「選択肢は2つ。1つは何とかして彼らにチームに入れなおしてもらう。もう1つはまだ教えない」
「えぇ!?」
「クロ教えてよ」
「流石のシロにも教えられない。蒼は以ての外、桃花になら教えてもいい」
「あら、それなら教えてもらおうかしら」
「ん。じゃあこっち来て」
黒と姉が席から離れる。
なんか気になって気持ち悪いな。
「蒼さんどう思います?」
白も気になっているようだ。
「私には全然わかんない」
「私もです~」
やはり何度考えても分からないな。
すると2人が戻ってきた。
「黒ちゃんすごいわ。よくそんなことが思いつくわね」
「そんなことない」
どうやら姉には認められたようだ。
なら私が聞くことは1つだけ。
「その方法なら上位に入れるの?」
「おそらく、とだけ」
「わかった」
どうするか多数決をとる
私たちは満場一致で後者の方を選んだ。
そんなにチームに入りたくないんだろうかと思ったり思わなかったり。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
モンスター考えるのがキツイ。
今までやってきたゲームの記憶はどこかにおいて来てしまったようです。
仕方ないですね
のんびり考えていけたらと思います。(現実逃避ではない)
それではまた明日。