16.束の間の癒し
ありがとうございます。
「~~~あ~よく寝た」
体を伸ばし立ち上がる。
いよいよ今日が最終日か。
昨日ようやく和解することができて本当の意味でチームになれた。
「私は別にずっと4人でもよかったんだけどな~」
まあランキング上位に入るためだ。少しくらい我慢しよう。
そういえばソラとるりは大丈夫だろうか。
昨日あれからソラとるりがブレスレットになれないという事実が判明したのだ。
ログアウトしている時の状況が分からない。
なので今日は早くログインしようと思っていた。
急いで朝食を食べる。
「じゃあ今日も頑張りますか!」
私はAWOにログインした。
あれ?誰かいるな。
かなり早い時間にログインしてきたのに誰かの声が聞こえる。
「るり。私の事はクロお姉ちゃんって言って欲しい」
はっ!?
黒が朝早くからるりにお姉ちゃんって言わせようとしてる。
超レアな黒を見ることができた。
もう少し見ていようと隠れて様子を窺う。
「くろ」
「ちがうるり。クロお姉ちゃん」
「くろ」
何度も試すが頑固としてお姉ちゃんとは言わないるり。
なんだあの可愛い光景は。
多分るりにとって黒はお姉ちゃんって言うより友達なんだろうな。
落ち込む黒をソラやルナが心配そうに見ている。
仕方ないな。
偉大な私の力をお見せしますか!!
少し大げさに音を出してあたかも今ログインしてきました感を出す。
「ヨ~シキョウモガンバルカナ~」
黒の方へ行く。
「オハヨウクロ。ハヤイネ」
「見てた?」
まずいばれたか?
相手は黒だ。もっと慎重に.....。
「ナンノコトカナ?」
「もういい蒼。お願い、皆には内緒にしてほしい」
すぐに黒にばれてしまった。
何が悪かったんだ?
「別にネタにしようと思って見てたんじゃないんだよ!黒のお手伝いをしようと思って」
この言葉に間違いはない。
黒お姉ちゃんって言うるりも、
そう言われた黒も可愛いに違いないからだ。
イベントが始まるまでしか時間はない。
それまでに少しでも多くの癒しが欲しいのだ!
「蒼…ありがと」
おっふ、デレ黒も可愛いな。
しっかり心のフィルムに収めた。
でもまずはソラやるりの調子を見なきゃ!
「おはようソラ、るり」
「キュー」
「おねえたんおはようなの!」
2人が胸の中に飛び込んできた。
朝からキュンに溺れる。
2人は朝から私を溺死させる気?
黒も普段のポーカーフェイスを捨て去りデレデレしてるよ。
もう私には隠す必要がなくなったからね。
「ソラ、昨日は大丈夫だった?」
「キュ?」
「ずっといっちょにいたっていってるの!あたちもそらといっちょにねたの!」
「え?どういうこと?」
「蒼は本当に話を聞いてない」
「え?」
「昨日言った。ログアウトする際プレイヤーからは見えないけどその場所で寝ている状態になるから消えることはない」
本当に覚えていない。
「そうだっけ?」
「そう」
なるほど、そういうことか。
じゃあログアウトしても問題ないんだね。
まぁ問題あっても困るけど。
でも朝からこんなに幸せになれたから聞いてなくてよかった?
まぁどっちでもいいや。
とりあえず補給するか。
私は今日の活動源を回収すべく
「おいでみんな~」
両手を開いて受け入れ態勢をとる。
ソラとるりはすぐさまやってきた。
「キュ~」
「あたちもぎゅ~なの」
ぎゅ~て可愛いな。ソラもぎゅ~って言ってたのか。
惜しかったよ。もう少しだった!
最高だがまだ足りん。もっとだ!
「ほら、ルナもおいで~」
そう言うとルナは恐る恐るやって来る。
「はい捕まえた」
「ニャ~」
一瞬のうちに、はい。モンスターホッカイロができました。
上手にできました~!
今AWOでここが一番気持ちいい場所です!
断定できます。
私の体と心があったかい。
よし!黒も羨ましそうに見てるな。
さらに両手を広げる。
「来ても…いいんだよ?」
「くっ」
黒も諦めたようだ。
悔しそうに腕の中に入って来た。
ふっ、この温もりからは何人たりとも逃れることはできん。
もちろん私も!
「ふぁ~」
黒も温かさで今にも召されそうだ。
しばらくホッカイロになっていると、
「さっきから何をしてるのかしら?」
「あっ、お姉ちゃんおはよう」
「おはよう蒼。それに…黒ちゃんも?」
姉がにやにやしている。
黒は諦めた顔で、
「桃花に隠し事はできない」
なんて言っていた。
どうやら力関係では姉の方が上みたいだ。
姉も交えてみんなで遊びながら今後の話をする。
最終日はもう始まろうとしていた。
「おはようございます~」
白もやって来たな。
時間ギリギリで白がやって来た。
「クロ酷いよ。
ログインするなら起こしてよ!」
「起こした。でも白が起きなかった」
2人が睨み合う。
仲良し姉妹と思ってたけど喧嘩もするんだな。
「まあまあ落ち着きなさい2人とも」
姉が仲介に入る。
「もうそろそろ向こうの拠点に行きましょ!」
「はーい」
「ん」
「え!?」
こんなに早く喧嘩って終わるものなの?
喧嘩をしたことがない私には分からない。
喧嘩をする友達がいなかったしね。
考えていて落ち込む。
「ほら蒼、行くわよ」
今はイベントに集中か。
「はーい」
私もみんなに続く。
拠点につき一通り挨拶を終える。
「おはよう。最終日頑張ろう!」
レオンが朝から爽やかすぎてキツイ。
爽やかなのに胸焼けしそう。
「よ、よう。
今日はその...よろしくな」
「は、はぁ」
デッドが不慣れな感じで挨拶してくる。
乱暴だった人が急に優しくなるとこんな空気になるんだ。
なんかギャップで少し良い人に見えるからずるい。
最初から地味でも良い人の方がずっといいに決まってるよ。
まぁ良い人に越したことはないか。
「みんな揃ったし、さっそく作戦を立てようか」
このチームのリーダーはレオンになった。
私たち全員断ったのと向こうのチームの推薦でね。
「お互い以前より戦力が上がったはずだ。
温存しつつ討伐していこう!」
なんと私のレベルは2日で16まで上がっていた。
でも本当はもっと上がるはずだったって言われていた。
黒には前もって謝られていた。
自分の作戦のせいでレベルが上がりにくくなるから。
もちろん誰も文句なんて言わない。
それは黒も同じだからね。
向こうのチームは高ランクモンスターをたくさん倒し全員がレベル20を超えていた。
これで人数も増え個人も強くなり楽に戦えそうだ。
と思ってた時期が私にもありました。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
あと2話程でとりあえずイベント編は完結しそうです。(早く癒しが欲しい)
帰ったら急いで続きを書こうと思います。
最近、昨日も書いたように話の内容より後書きの内容を考えていることが多いです。
今日も結局ネタが思いつきませんでした。
次は頑張ります。
お疲れさまでした。