15.天使と悪魔
ありがとうございます。
「私たちに何か用?」
黒の視線の先には6人のプレイヤー。
どういうこと~?
私は頭を過剰に使ったせいでオーバーヒート寸前だ。
「君たちに1つ確認したいことがある」
姉が前に出て聞く。
「あら、追い出した私たちに何か用かしら?」
姉の皮肉めいた言葉に男がたじろぐ。
「そう邪険にしないでくれ」
姉は何も言わずに見ている。
「君たちに1つ聞きたいことがあるんだ」
これは黒の作戦なのか?
もう訳が分からんので後ろでソラとるりと遊んでよう。
「今日の午後、君たちは何をしていたか教えてくれないか?」
「それを聞いてどうするのかしら」
「今更遅いのは分かっている。でも頼む!僕たちもランキング上位に入りたいんだ」
「そんなつもりあったようには思えないけど」
「もういい。桃花あとは私に任せて」
「はーい、わかったわ。黒ちゃん」
「レオンもう解ってると思うけど今日の午後、高ランクモンスターをあなたたちにけしかけたのは私たち」
「やっぱりそうか」
「ちょっと待てレオンおかしいぞ。こいつは嘘をついている」
「どういうこと?」
「お前らなんかが高ランクモンスターを相手にできるわけねえ」
「そう思うなら勝手にして。私たちは明日も同じ事を続ける」
「待ってくれデッド。もう認めよう彼女たちは強い」
「認められるか!こんなレベル15も満たない奴等が」
「話を纏めてから来てほしかった。じゃああなたたちは私たちにどうして欲しい?」
「出来れば協力してもらいたい!」
「あなたもそれでいい?」
「何だよ!俺が悪かったっていうのか?」
「落ち着けデッド」
「弱い奴等を切り落として何が悪い?最も効率的なやり方だろ!」
「別に悪くない」
「は?」
「あなたが正しいと思ったのなら別に何も悪くない」
「どういうことだ!?」
「これは所詮ゲーム。最悪自分だけが楽しければそれでいい。あなたのように!だから私たちも楽しませてもらってる。楽しかった、あなたたちが苦しんでるさまを見るのは」
「ふざけんな!お前、俺たちを監視してやがったのか?」
「うん。それで私は楽しめると思ったから。常識の無さで言ったら同じレベル。でも私が楽しめたから問題ない。特にあなたたちがゾンビアタックを始めたタイミングなんて想像通り過ぎて笑いを堪えるのに必死だった」
「楽しませてくれてありがとう。本当に滑稽だった。あなたが自分のことを特別だとか思っていそうで。私たちのおかげでモンスターが倒せて楽しかった?」
「もうやめてクロ!」
うぉっ!?
遊びに集中しすぎて何も話を聞いてなかった。
静かに昔話をしてたんだけど。
白の叫び声にびっくりしてしまった。
「キュ~」
「こわいのー」
生まれたばかりだから大きい声が怖くて当然か。
「大丈夫だよ2人とも」
大声に驚いた2人を抱きしめて慰めながら話を聞く。
「クロ言い過ぎだよ。みんな元々同じチームなんだよ!あんなに酷いこと言っちゃダメ」
「でもシロも酷いこと言われた」
「確かにそうだけど私はもういいの。皆さんが来てくれたってことはもう1度協力してくれるってことですよね?」
白がキラキラした目でプレイヤーを見てる。
双子で天使と悪魔だな。
「ああ。僕はそのつもりだ」
私も俺も、と声が続いた。
すると突然男が頭を下げる。
「俺が悪かった」
「デッド!」
なんか男が男見て感動してるよ。
名前すら覚えていない人たちだから興味が湧かないな。
「キュ?」
「おはなちは?」
「そうだね。それで意地悪ばあさんがね~」
「酷いこと言って本当に悪かった。許してほしい」
「もちろん許します。私たちはみなさんと一緒に楽しんでランキング上位になりたいんです」
「ありがとう白さん。僕たちも精一杯頑張るよ!」
「本当にすまねぇ。俺も全力を尽くさせてもらう」
ん?なんかいつの間にか大団円になってる?
天使と悪魔は終わったの?
悪魔はやけに引き際が潔いな。
天使の圧勝か?
白は私の膝上で寝てしまっている2人を見て、
「とりあえず今日は解散にしましょう。そして最終日みんなで頑張りましょう!」
白が締めて解散になった。
「ねぇクロ本当にあれでよかったの?」
「え?どういうこと白?」
「クロに言われてたんです。クロが指示を出したら私にクロを咎めてって。それから向こうの人たちに優しくしてあげてって」
「そうなの?黒」
「うん。それが1番早く話が終わると思った。あの男は扱いやすそうだったから。それに私は早くるりやソラを見たい」
どうやらここまでが本当の黒の作戦だったようだ。
「私はまだ全然許してないのに~」
白はまだ怒りが収まらないようだ。
どうやらこの場には悪魔しかいなかったようだね。
あとでソラを供えようなんて考えていると、
「終わったわね」
ここまで空気だった姉が話に入る。
「桃花もありがとう。おかげで早く終わった」
ソラを撫でながら黒が言う。
「早く終わらせたかったのは私も同じだから良いのよ!」
あの姉の言動も黒の差し金だったのか。
黒の裏工作には本当に敵わないな。
今日のすべてが黒の掌の上だったわけか...。
当の本人は天使たちを抱いて幸せそうだ。
恐ろしいんだか可愛いんだか。
私にとっては可愛い一択だ!
ソラやるりごと黒を抱き入れる。
「キュー」
「きゃ~」
「く、くるし」
みんな楽しそうだ。
「あぁ良い」
過剰なキュンを持つ2人の前には策士もお手上げのようだな。
ハハハハハ。つまりその2人を従えるこの私が最強だということだ!
「黒ちゃんよく頑張ったわ」
「クロお疲れー」
私たちを見ていた2人も黒を抱きしめに来た。
カオスな状態だが楽しいから問題ない!
ごちゃごちゃとした状態が長らく続いた。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
今回のオチは本来のものとは変えております。
最初は和解もせずにズバズバと倒してすっきりするという内容でした。
しかし前回の休日なぜかY〇utubeのおすすめにUCガンダムの動画があり視聴しました。
両親の影響で当時中学生か高校生くらいの私も見ておりました。
久しぶりに見るとすごくおもしろかったです。
デッドを悪者にして倒そうと考えていた私が倒されてしまいました。
本当の意味で悪者なんていなかったのです。
真の悪人は私だったようです。
もっとまじめに書きます。