13.答え合わせの時間
ありがとうございます。
「お…あお…蒼起きて!」
黒に揺さぶられて目が覚めた。
あれ?
後頭部が柔らかいと思ったら黒に膝枕をされている。
目を開けると私の顔を見て黒が笑っていた。
「作戦が成功した」
慌てて起きるとみんなはすでに集まっていて私を待っていたようだ。
私はあれから気絶してずっと黒に膝枕されてたんだ!
嬉しいような、恥ずかしいような。
そういえばソラたちは?
どうやら奥の方で遊んでいるようだ。
ごめん。今見ちゃうと気絶しちゃうから。
見たい気持ちを我慢して目をそらす。
今は集中しないと!
「黒それで成功って?」
「そろそろ今回の作戦のすべてを話す」
そういえばまだ答え合わせをしてなかったな。
「待って私もうわかったから!」
私は自信満々に考察した黒の作戦を話す。
「どう?」
正直ドヤ顔が止まらない。
黒が驚いた顔をしている。
どうやらまたステップアップしてしまったようだ。
成長が止まらない私、恐ろしい。
なんて浸っていると、
「はぁーー」
黒が長いため息をつく。
「聞かなきゃよかった。時間を無駄にした」
ん?どういうこと?
「ごめんね黒ちゃん。蒼は強いんだけど頭の方は…」
あれ?
「わかってる。時間がないから答え合わせをする」
私は間違ったみたい。
私が落ち込んでいるとるりとソラが両肩に乗り顔を覗き込んできたので2人を撫でてそのまま話を聞く。
「蒼でもわかるように1つ1つ教えていく。
今日の午前中、蒼に何をお願いした?」
「拠点からプレイヤーが出てきた回数の記録」
「そう。それは向こうのチームの状況が知りたかったから」
「なるほど」
でもなんでだ?
「その理由はまず昨日、私は向こうのチームを戦力として見ていないと言った」
「高ランクモンスターを倒せないからだよね」
「そう。その結果、予想通り昨日のポイントはほとんど私たちによってのものだった」
「うん」
「向こうのチームは自分たちで追い出した私たちより、ポイントが稼げなかったってこと」
「確かに...」
「彼らは焦ったと思う」
「そりゃそうだよ!クロも蒼さんも桃花さんもみんな強いんだから」
白が怒っている。
「そういう意味じゃないけど...」
黒の考えとは違うようだ。
私たちを追い出したことに焦ってるんじゃないのか?
「自分たちが戦力外だと決めつけた人間に、結果で負けてしまったらどう?」
「悔しいと思う」
「まぁそう。
「今回彼らはかなりの屈辱だったと思う。
そしてそんな彼ら自身このままではいられない。
どうする?」
「無理してでも高ランクのモンスターを倒す?」
「よくわかった蒼。
そう彼らは今日の午前中から明らかにデス数が多かった」
「確か6回だっけ?」
「そう。そこで私たちは午後何をした?」
「モンスターに攻撃しつつお姉ちゃんの方に誘導した」
「そう。まず私がキリングホークに向こうのチームの位置を追わせ、それを桃花に伝える。
そうして桃花に先導してもらう形で蒼にモンスターを向こうのチームの方に誘導してもらった」
「そうなの?」
私は黒と姉の方を見る。
「ええ、黒ちゃんの言う通りあいつらの場所に誘導したわ」
そんな高度なことを何回もしていたのか。
2人はすごいなと改めて思う。
「話を続ける。
向こうのチームは最初、高ランクモンスターを見つけ苦戦はするけどなんとか倒す。
しかしそれが何度も続き不信感を覚えたはず。
なんせ昨日倒せなかったモンスターが異常なほど現れ、そしてデスもせずになぜか倒せるから」
私が逆の立場でもおかしいと思うだろう。
「そして気付く。これが人為的なものだと」
「うん」
「ここに他の人間は私たちしかいない」
「うん」
「彼らは自分たちが倒した高ランクモンスターが全て、私たちのおかげであることに気付く」
「彼らが高順位に入りたいと思うなら行動を起こすはず。
そうじゃないならもう本当にいらない」
私は息を呑む。
黒は初めからここまで考えていたのか?
「失敗するとは思わなかったの?」
人が関わってくる以上何が起こるか分からない。
イレギュラーが起こりうる。
「最初は賭けだった。
だからひたすら情報は集めた。
それに蒼や桃花のおかげで私は考えることに集中できた」
なるほどね。
私たちも力になれていたのか。
「ただ蒼が最後デスベアーの攻撃を受けて倒しそうになったのは少し焦った」
「ごめん~」
唯一のイレギュラーが私だったなんて。
「冗談。むしろ良かった」
「黒はすごいね」
「本当に初めて聞かされた時は驚愕だったわ」
「すごいね!クロ」
「長所は人それぞれ。私にはこれが長所だっただけ」
なるほど。
私の長所はなんだろ?
生き物に好かれやすいところかな。
「良かった。どうやら本当にうまくいった」
黒がおもむろに後ろへ振り替える。
「私たちに何か用?」
黒の前方には6人のプレイヤーがいた。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
自分で読み返す用に書き始めたこの話が以外にも多くの人に読んで頂けています。
元々モチベーションはMAXでしたがさらに膨らんできてます。
破れるまでこのペースでやっていきます。
皆様にも楽しんで頂けると幸いです。
今日は特に話題がありませんでした。
真面目系な話で乗り切ろうと思いましたが無理でした。
とりあえず1週間話題探しに山に籠ってきます。
強引に終わらせていただきます。
それではまた明日