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【13】アマザキ春のバン祭りリターンズ(アプリ坊主外伝13)

作者: 蚊取TENGO

売れない同人小説サークルのメンバーがある日、ぼそっとつぶやいた



「小説が売れないなら、俺たちが小説になればいい」


『そうだ。俺たちが小説運営会社にナロウ』


「そして、そこの会社で人気順位やら大賞やらをでっちあげれば必ず売れる」


『そうだ。俺たちの売りたいものが必ず売れる』


「しかも、まずバレやしない」


『イイネ!』



というわけで自分達の売れない小説をどうにかしたいサークルがプロジェクトを立ち上げてはや数年。

影響力が年々と増大し、少なからず国民の関心を引く事が多くなった会社は今日も事案処理に勤しむ。


―― 結婚適齢期を多少オーバーした 女子(アマ)の行き着いた先。通称


『アマザキ』


正式名称ではないものの、ネット界隈で囁かれている愛称であり、個人的な感想としてなかなかに的を射ていると思う。

そのアマザキが利用者をことごとく抹殺しているとの噂が広まり、私が独自に潜入調査を決意し、今ここに天井裏にて秘密裏のうちに実態を暴こうという企画である。ニンニンゼミ。

尚、なにかのデジャウだが私は興奮すると《パオォーーン!》と鳴いてしまう癖があり、あまりこういった隠密行動には向いていないのかも知れない。




6月×日 晴れ


・ 今日の天井裏は妙に暑い。空調の調子がどうたらとか話す社員達の間にその会話を少しばかり拾う。



『しっかし、卑猥だとか隠語とか基準が難しいよね~』


「しらねえよ。大体BANしとけばいいんだろ?」


『3ポイント制なんだって?』


「めんどくせえからまとめてBANだ」


『そうはいかねえだろ』


「ハァー♪ビBANビBANビBAN♪」


『……』



ふむふむ、今回はしょっぱなから飛ばしてきておるのだな、気をつけねば




6月×日 くもり


・ コンビニのおにぎりを頬張る。毎度天井裏はほこりが凄い。



『100日後に商業化されるウニ』

『あれ、面白いよね~』



「しらねえけど。あれ、うちらと同じ案件だぞ」


『え?そうなの?』


「今の作品なんて9割型でっちあげレースだぞ」


『うわぁ、ひどいね』


「人の事言えねえけどな…」


『もともと売りたい作品ありきの世界だね…』


「商業色強いアニメとか萎えるよな、珍激の巨○とかな」


 /パオォーン!\


『ん?今なにか聞こえなかった??』


「しらねえよ。気のせいだろ」



おっといけないいけない。静まれ、静まれ…そう、良い子だ。忍び装束はあちこち窮屈でいかん。




6月×日 雨


・ アマザキの使われていない倉庫から慎重に延長コードを引っ張る。今日は自宅から炊飯器を持ってきて天井裏で自炊する事にした。


『キミ、ちょっと来たまえ』


「は、はい!」


『この前の指示…んだが、我…ん…奨の…こ』


「そ…は…申し…せん」


『う…んこ…漏…』



ん?今確か何でもするって言ったよね?…いや、言って無いか。ウンコがどうのとか言っていた気がするが下痢かな?




6月×日 雨


・ ここの空調は壊れている。天井裏が暑い。もしかしたら、もうひとつクーラーを増やしたほうがいいかも知れない。新しく購入した洗濯機をどうにかして配置したものの、こう雨続きだと乾き所が無い。


『大本営推奨アニメだってさ』


「しらねえよ。なんだそれ」


『国が、推奨する、アニメだよ』


「なんじゃそりゃ」


『国民を上手に誘導するアニメが推奨される、って事』


「じゃあ、それ以外のアニメは?」


『BAN。ババンがBANBANBAN♪』


「ハァ~ビバビバビバ♪」


/パオォーン!\ /パッ”ォ…ン”\


「ん?なにかきこえないか?」


『気のせいだよ、多分』



ハァ…ハァ…興奮させてくれる。やりやがる。かなり危ない所だった。きわどいラインだった。少し綺麗になった天井裏にあやうく出してしまう所だった。




6月×日 雨


・ 掃除機の調子が悪い。排泄した物を溜めておくタンクがそろそろいっぱいになって来た。社員達が居無い夜間にひんやりカーペットを配置した私は、茶碗にご飯を大盛りにして、レトルトと味噌汁を食卓に並べた



『おはよー!』


「しらねえよ。おはよう」


『政治家の息子から原案依頼来てるんだけど』


「ああ、いつもの相続税対策ね」


『怖いね』


「適当な作品渡しといて」


『アニメ化もオプションで付けとく?』


「くそアニメ確定だけどな」


『6千円のフリスビーだ』


『あっはっはっはは♪』


/パオォーン!\


zzz……。ドガッ!!!




潜入した調査員が寝ぼけて蹴飛ばした汚水タンクが転がり、ウン悪く炊飯器にぶち当たる。その衝撃でフタが空き、上に乗せられていた茶碗が吹き飛んだ先に洗濯物が干されており、その布の落下先がショート寸前のコンセントだった


『(メラメラ…)』

『(パチパチ…)』


コンセントから出火し周囲のホコリに火が付くとまたたく間に色々な物に飛び火した。それはアマザキの天井裏を火の海と化し、降り注ぐ汚水と逃げ惑う社員達と将棋などを楽しむ役員達とで混迷を分かちせしめた


《知ってた》


忍び装束がほどよくウェルダンな感じの下半身丸出しの潜入員が


「なに奴っ!!?」


『フルチン!?』


天井からあぶり出され、社員に目撃される


《御免っ!!》



潜入員は股間にTENGOを素早く装着し、社員を一刀の元に気絶せしめた。


《うおおおおお!!!》


そしてそのままTENGOを振動させ


《ブーン!!》

《ガシャーン!》

《パリーン!》


《パオォーーん”っ!》


燃え行くアマザキから飛翔し脱出した。後に提出される彼のレポートの最後には一言、短歌を添えてこう記されていた




レポートの最後 ⇒《BAN祭りだと思った?残念。デジャヴ祭りでした。テヘッ☆》


短歌 ⇒《炎上の 続きしアマの 行くサキよ カネの亡者に そこは御似合い》(字余り)




改稿版です

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