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前置き
放課、学生たちは一先ずカリキュラムから解放されたけれど、部活に勉学に忙しそうである。
「ーそこに、両親の府と呼ばれた光井兼康が入ってくるのよ」
苦学生たちを横目に、抜け殻となった教室では熱い議論が交わされている。黒板は殴り書きの文字で埋め尽くされてある。
「たしかに兼康がしたことは素晴らしいけど、群雄割拠のあの時に戦いに消極的だったのは、国を治めるものとしてマイナスポイントじゃないか」
「それは違う、兼康公はそこにも才華を発揮していて、だって考えも見て欲しいけど、ただ内政だけしか天分がなかったら、あの時代なんて簡単に誰でも滅びるんだって。臣下の才能があったというのは、それを登用したり、教育したりとかをする術を兼康公が持っていたからというのがあって」
教卓で熱弁をふるうけれど、相手も簡単には解さず、討論は長々と続きそうである。
「例えばこういう話があってだねー」