第54話 リスキラー
「ちょ、バルトさん、それ……」
「文字通りです。この間のイベントと同じように、地面にはダンジョンの入り口となる穴がたくさん開いています。うかつに走り回ると、危ないですよ。」
「ひええ……わかりました。」
「ちなみに、穴が特に多いエリアというのもありまして、そこは不注意な小学生が追いかけっこなどしてダンジョンに落ちるという事故が多発したため、運営によって12禁になったそうです。」
「そ、そうなんですね……。」
そう聞いて、レン君の顔が頭に浮かぶ。
まあ、12歳を超えていても、やらかす人はやらかすんだけどね……。
「ここはまだ、穴が少ない方ですが、油断は禁物。僕のそばを離れないでくださいね。」
サクラちゃんは、言われなくてもバルトさんの脇にぴったりついてきてる。私も一応アーマーはあるけれど(結局メラニアさんの即席ハンガーには、動きやすさとデザインが両立され、かつ私のバストサイズに合うものがなかったみたい)下手な戦闘は避けたいところだし、気を付けよう。
歩くことしばし。
「おーいバルトー、気を付けるのもいいけど、そろそろ適当な穴に入らなーい?」
ダイアさんが、しびれを切らしたように声をかけた。
「いや、僕もそうしたいんだけど、どの穴も先客がいるみたいで。」
「バルトさん、そういうのわかるんですか?」
「はい、イベントと違って、穴を覗くと人がいるかどうかわかるんです。見てみます?」
例えばここ、とバルトさんにさされた穴を覗き込むと、穴の淵から30センチほど行ったところに、学校の放送室のドアの上によくあるような「使用中」のランプが点灯していた。
「こんな感じです。この表示がないところを探していきましょう。」
それからいくらもしないうちに。
「おっ……ここ、空いているようなので、入りましょうか。」
「やったー!バトルだバトルだー!」
「じゃあ、まずは私が入って安全を確認しておくわ。声をかけるから、そうしたらバルト、サクラちゃん、コユキさん、メラニアの順で入ってきて。ダイア、しんがり頼むわよ。」
「ラジャー!」
エマさん、めっちゃ指示速い。これじゃ、どっちがリーダーか、わからないよ……。
下に降りると、エマさんとバルトさん、サクラちゃん以外は誰もいない空間だった。
「ここは……モンスターが出ないのかしら?」
「そうじゃないです、院長。部屋の一番奥、見てください。それから、この二人のことも。」
「ええ……。」
サクラちゃんに言われて奥の方に視線を移すと、モンスターが出てきているのが確かに見えた。けれどそのモンスターたちは、出現して半歩も進まないうちに、炎をまとったナイフに刺され、矢に貫かれ、倒されていく。
エマさんとバルトさんが、黙々とモンスターの湧いてくる地点に武器の照準を合わせ、モンスターが湧いたそばから黙々と撃破していた。
「バルトとエマのコンビは、こういう戦法が得意なんです。俗にいう、リスキルですね。」
「そうなんですか……。」
横に降り立ったメラニアさんが教えてくれる。
「……もう、出てこなくなりましたね。」
「先に進んでも大丈夫よ。」
「バルト、エマ、調子はどうだい?」
「いつも通り、殲滅完了。」
「おー、お疲れ。」
そこへ降りてきたダイアさんが、バルトさんの報告を聞いて、ひょいと軽くうなずいた。
「まっ、二人ともいつも通りいい感じみたいで良かったけど、相変わらず雑魚エリアはボクの出番ないよなー……雑魚の相手の仕方、忘れてたりして?」
「いや、それはないでしょ。」
「ボス部屋では存分に働いてもらうわよ、リーダー!」
「アイマム!」
ここのリーダーがダイアさんという事実が、いよいよもって怪しくなってきた……。
お久しぶりです!
前回の投稿からずいぶん間が開いてしまいましたね、ごめんなさい。
このひと月ばかし、何をやっていたかというと……
スプラトゥーンでリスキルされまくってました☆
そこから今回のネタが浮かんで、掲載という運びに。最近はサーモンランに逃げてます。
こんなご時世ですが、ゆるっとエンジョイする心を大切に、ご自愛ください。




