第44話 イベント結果発表!
イベント終了から一週間。
私とサクラちゃんは、また整体院に来ていた。
「あと5分で結果発表ですね!」
「私たちの順位はわかってるけれど、ほかの人たちがどうだったかも知りたいしね。」
「はい!バルトさんとか、イリーさんとかも、どうだったんでしょう!」
やがて、目の前が白くライトアップされた。
「皆さん、お久しぶりです。タヌキと申します。今回は、先日行われたイベントの第十位までを発表したいと思います。まず、第十位から。」
……第十位から第七位までは、私たちは全く面識のない人たちだった。ここにジョーさんやレン君がいたら、誰が誰だかとか、知ってたかもな。
「……続いて第六位、『整体院』チーム!」
急ごしらえのチーム名がコールされる。みんな、結構ひねったチーム名を考えてたから、なんだかしょぼい感じがして、ちょっぴり恥ずかしいな。
『活動期間も短い中で、こんなにいい順位が出て、とてもうれしいです!』
ジョーさんが、慣れた様子でさわやかにコメントしている。
『これからも頑張りまーす!』
そしてレン君がしめる。インタビューの時は私もサクラちゃんもしゃべったんだけれど、向こうの都合でカットされたらしく、チーム名が仮にも「整体院」なのに、肝心の整体院組のセリフが何も入っていない。……ああ、無念。
「……第五位、『ビーチ・B』チーム!」
あ、「ビーチ」って、ジョーさんやレン君が所属してるチームだ。
『最大パーティーの名に恥じない順位が取れて、正直ホッとしています。』
「第四位、『睡眠』チーム!」
「院長、院長、イリーさんです!」
横からサクラちゃんの声が、かぶさって聞こえてくる。
「ええ、それに、喋ってる男の人の服装!」
『初めてのメンバーや用事で来れないメンバーが多いにもかかわらず、ここまでやれたというのは、とても意味のあることだと思いました。』
そう語る、私たちとあまり年の変わらなそうな若い男の人は、バルトさんやレン君とおそろいのシャツにジーンズ、ベルトを身に着け、色違いだけれど形状は全く同じな、幅広のゆったりしたマフラーを首に巻いていた。バルトさんは紺色の、レン君は臙脂色のそれは、常磐色とも形容される、深い緑色だった。
隣に立つのは、チャイナドレスに水色ロングヘアのイリーさん。残りの3人は面識がないけれど、みんなその2人と同年代の男女だった。
「第三位、『仕事人』チーム!」
「あっ、バルトさん!」
中央で話すのは、やや明るい茶髪を、頭の高いところで二つにまとめた若い人。キャラメルカラーのゴスロリを着た姿は、かなり派手だ。
『ボクたちは、まだまだ結果に満足していません。これからも精進していきます!』
「これは、男なんでしょうか、女なんでしょうか……?」
「第二位、『ごった煮』チーム!」
『今回限りということで、フリーな人たちに声をかけて結成したチームですが、とても楽しむことができました。』
「そして栄えある第一位、『ビーチ・A』チーム!」
『これからも、盤石の一位を目指します。』
銀髪碧眼の美青年が、さらりとクールにコメントした。きっと、この人が『ビーチ』のリーダーだと直感した。オーラが違う。両脇に立つ、上半身裸の青年や青いコスチュームの筋肉だるまのオーラもなかなかのものだけれど(っていうか、筋肉だるまのほう、確か別のゲームでボコった記憶があるんだけど)、彼らの存在さえかすんでしまうほど、他を圧倒する力がある。そして、存在感抜群の3人の後ろで、視認するのさえ難しい人が2人。私とジョーさんが倒した、確か名前が……ストレアさんと、ジンジャーさん。かわいそうに委縮して。まあ、確かに、アオバとして相対した時の感想は、2人とも「凡人」だったしね。
「……さて、これで結果発表も含む、イベントの一切を終了します。お疲れさまでした、そしてありがとうございました。今後もよろしくお願いします。」
「……では、あの2人が、お前たちと組んだものだな?チーム名からすると、例の整体院の女のようだが。」
結果発表を見終えた後のセルリアスの目は、この間以上に厳しかった。レンはすでに泣いている。
「そいで、俺らの処分はどーするんすか?レンもこんなんなっちゃったんで、早いことケリをつけて欲しいんすけど。」
「うむ、そうだな。」
こめかみを押さえつつ、セルリアスも同意する。さすがに、子供の泣き顔を見ても冷徹を貫けるほど、彼も鬼ではない。
「まず、整体院への出入りは当分禁止する。」
「へい。」
それは当然の措置だと思う。
「念のため、アサとオーガに監視を頼む。」
「かしこまりました。」
「了解でさぁ。」
「以上だ。」
「フーン……」
ジョーは顎をこすりつつ、ボスに問いかける。
「そりゃ、このお二人さんが向こうに行かないっていう自信があるからっすか?」
「お前たちほど行く確率は高くないという自信はある。」
「そうっすか。」
「この話をいつまでも引きずりたくない。このことは忘れて、ゴールドベアの討伐に行こう。」
そのゴールドベアは、くだんの整体院の女たちに手なずけられ、整体院の庭でステルスをかけられ、平和に眠っているということを、彼らは知らない。
この後にプレイヤー紹介を挟んで1章終了です。




